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5分でわかる江戸川乱歩『人間椅子』あらすじ解説 フェティシズム炸裂の怪作

ホンシェルジュ

名探偵明智小五郎と助手の小林少年の活躍に胸躍る『怪人二十面相』シリーズにとどまらず、エログロナンセンスに彩られた数々の小説を生み出してきた奇才・江戸川乱歩。

『芋虫』『孤島の鬼』『D坂の殺人事件』など、倒錯したタナトスとエロスが迸る作品群は現代も色褪せない磁力を放ち、読者を虜にしてやみません。

今回は江戸川乱歩の短編小説の中でも傑作と名高い『人間椅子』のあらすじや魅力を解説・考察していきます。

『人間椅子』の簡単なあらすじと登場人物紹介

『人間椅子』の主人公は外交官夫人の佳子。雑誌に小説を寄稿している才媛です。

書斎でファンレターをチェックしていた佳子は、分厚い手紙が紛れ込んでいるのに気付きました。

問題の手紙は佳子に「奥様」と呼びかける、「私」の一人称で綴られていました。「私」は生まれながらにとても醜い男で、貧しい椅子職人でした。しかも佳子に手紙を送った動機は懺悔だというのですから穏やかではありません。

得体の知れない胸騒ぎに駆られて手紙を読み進める佳子。

「私」は容姿に根強いコンプレックスを持ち、贅沢な暮らしを夢見る一方で報われず、親から継いだ椅子職人の仕事をこなしていました。そんな「私」の唯一の楽しみといえば、自分が作った椅子に腰かける人物を想像すること。

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「私」は理想の美女が自分の椅子に身を委ねる光景を想像し、彼女が住む豪邸を思い描いてうっとりしました。

かたや現実と妄想の落差にうちのめされた「私」は、こんなうじ虫のような毎日が続くなら死んだほうがマシだと自虐し、どうせ死ぬならもっといい思いをしたいと欲を出します。

時同じくして外国人が経営する高級ホテルから発注がきました。「私」は気合を入れて制作に取り組み、最高傑作の椅子を完成させます。

その出来栄えがあまりに素晴らしかったので手放すのが惜しくなり、中身をくりぬいて潜り込む「私」。特に怪しまれることなくホテルに移され、様々な紳士淑女の体を受け止めます。

しかしホテルの経営者が日本人に代わり、「私」は椅子ごと売られる羽目に。

その後「私」が恋に落ちたのは、買い取られた先の美しい人妻でした。外国人の体型に飽き始めていた「私」は、革越しに伝わる夫人の肉感に激しい劣情を覚え、彼女こそ運命の人と思い定めます。

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