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芸能プロデューサー×原武史“近代の皇室を題材にするということ”|ダメ業界人の戯れ言#3

ホンシェルジュ

二・二六事件を起こした陸軍軍人たちは、“昭和維新”を謳い、その中には、昭和天皇ではなく、秩父宮が皇位につくべきだと言う意見を持っている者がいたと言われていますが、秩父宮自身は公的な発言の中で一切このようなことを口にはしていません。

この時、皇居に着いた秩父宮は、まず兄・昭和天皇に面会し、そこで事件を起こした陸軍軍人たちに対する兄の強い怒りに触れ、非常に驚き、そのまま実母である貞明皇后(大正天皇の妻)に会いに行き、二人で長い時間話し合ったと言われていますが、そこで何が話されたかは分っていません。

ただ、母・貞明皇后は、長男の昭和天皇と考えがぶつかることが多く、その分、次男・秩父宮により一層の愛を注いだと見られるのは一般的にも知られています。

原武史氏は、2015年、この貞明皇后についての研究・考察を中心にした『皇后考』という分厚い本を出します。この頃にはちょっとした原ファン読者になっていた僕は、あいまを見つけて慈しむようにこの本を読みました。

皇后考 (講談社学術文庫)
著者原 武史 出版日

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明治天皇の時代まで、天皇は側室を持つことを許されていて、大正天皇の実母も側室なのですが、世界の王室の傾向を受けて、大正天皇からは皇室も一夫一婦制になりました。その中で当時の宮内省は、男児をたくさん産めそうな九条節子(=後の貞明皇后)に白羽の矢を立て、彼女はその期待通り、後の昭和天皇を初めとして4人の男児を設けることになるのです。

彼女は病弱な夫・大正天皇を支え、天皇が亡くなった後も終生その弔いを決して怠らない人でしたが、欧州留学なども経てより国際的な視野を持つようになる長男・裕仁皇太子(=後の昭和天皇)と皇室のあり方などについて意見が食い違うようになり、その一方で次男・秩父宮へと心は傾斜していきます。しかし秩父宮も太平洋戦争後半に大病になって皇室の表舞台から退いていくことになるのですが。

日本の敗戦が近づく中で、結局、貞明皇后も長男・昭和天皇にすべてをかけるしかなくなっていきます。僕は原氏の著作の影響も受けて、今のこの時代こそ、この貞明皇后を主人公にした映画企画を考えられないものかと、企画書にまでしましたが、やはりと言うか、どこも乗ってくれそうな様子はありません。

まだ歴史になり切っていない近代の皇室を舞台にした映画企画など、日本ではまだ難しいのかもしれません。その点、英国王室を舞台にしたNetflixの連続ドラマ『ザ・クラウン』(私見ですがこれは凄く面白いです)のような物を作るのは難しいようです。

原武史さんを取り上げた『情熱大陸』は当初2005年5月1日に放送予定で前週の4月24日の放送時の最後に次週予告が流れました。しかし翌25日、JR福知山線の脱線事故が起き、それは死者107人となる大惨事になり、鉄道を一つの軸として考察する原さんの回をその6日後に放送することはできなくなり、ほぼ一か月後の5月29日放送になりました。それでも、大事故が起きても鉄道趣味を表立って映像で見せられるようになるまでは、これぐらいの時間で大丈夫だったようですが、皇室に関してはスケールの違う時間の経過が必要なのかもしれません。

 

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2022年9月25日

提供元: ホンシェルジュ

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