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父が亡くなり、残された母は認知症…相続手続きはどうする?【弁護士が解説】

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相続人のなかに認知症患者がいるというような場合、手続きはどうすればよいのでしょうか? 具体的な手続きの方法や必要書類、事前準備を相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

相続人のなかに認知症患者がいる場合の相続手続き

父が亡くなったが、高齢の母は認知症で施設に入っているという場合、相続手続きはどのように進めればよいのでしょうか? また、相続人のなかに認知症患者がいる場合にできる対策はあるのでしょうか?
 

認知症患者がいる場合の「遺産分割」

相続が発生し、相続財産について遺産分割協議をしなければならない場合、相続人のなかに認知症等で判断能力が無い人がいる場合、その人は遺産分割協議の当事者となるのでしょうか?

遺産分割協議の当事者は、相続人全員であり、相続人全員に判断能力がある必要があります。

たとえば、相続人のうちの1名が遠方に住んでいてなかなか連絡がつかないケースでも、その連絡がつかない相続人も遺産分割協議の当事者となります。

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被相続人の相続人が、配偶者、長男、二男の3名で、配偶者が認知症に罹患しており、遺産分割協議の内容について理解ができない状況の場合は、配偶者は判断能力が無いため、配偶者単独では遺産分割協議に参加できません。

なぜなら、配偶者が遺産分割協議の内容が理解できないことをいいことに、長男、二男が自分たちに有利な遺産分割協議を行ってしまう可能性があり、配偶者の権利が不当に侵害されてしまう危険性があるからです。このような場合、配偶者の代わりに遺産分割協議に参加してもらう成年後見人等の選任を家庭裁判所に申立てて、配偶者の権利を守ることになります。

ここでは、相続人のなかに認知症で判断能力が乏しい方がいる場合の成年後見人等の申立ての手続きや遺産分割協議の手続きについて、解説いたします。

「法定後見人の申立て」…余裕をもった準備を

上述のとおり、相続人のなかに、認知症等で判断能力が乏しい方がいる場合には、家庭裁判所に対し「成年後見人等」の選任の申立てを行う必要があります。成年後見人等には、判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3種類があります。

「後見」:判断能力が欠けているのが通常の状態の人
「保佐」:判断能力が著しく不十分な人
「補助」:判断能力が不十分な人

※以下、後見人・保佐人・補助人を「法定後見人」と総称します。

法定後見人申立ての主な必要書類

・申立書類
・本人情報シート(本人の福祉関係者に作成してもらうもの)
・診断書関係(主治医に作成してもらうもの)
・本人の戸籍謄本
・本人及び後見人等候補者の住民票又は戸籍附票)
・本人について成年後見等の登記がすでにされていないことの証明書(東京法務局から取り寄せるもの)
・本人の健康状態に関する資料(介護保険被保険者証、療育手帳など)
・本人の財産等に関する資料(遺産分割未了の財産も含みます)

法定後見人の申立てには、書類を準備するのに、1~2ヵ月程度かかります。また、申立て後、法定後見人選任の審判が出るまで、2週間~2ヵ月程度かかることもありますので、注意が必要です。

親族が法定後見人となることも

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TOPICS

“利益相反”の場合は「特別代理人」を選任

もし、本人と成年後見人が、被相続人との関係で、いずれも相続人であった場合、双方が被相続人の財産を取り合う関係性になります。そのため、この場合、本人と成年後見人の利益が相反することになります。

したがって、後見人を監督する人が選任されていない場合に、遺産分割協議を行う場合には、別途「特別代理人」の選任申立てが必要になります。特別代理人を選任し、上記の利益相反の問題を解消する必要があるのです。

特別代理人選任申立ての主な必要書類

・申立書
・被後見人の戸籍謄本
・特別代理人候補者の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
・利益相反に関する資料(遺産分割協議書案など)

特別代理人についても、申立後、選任の審判が出るまでに2週間~2ヵ月程度かかることもありますので、余裕をもって申立て手続きをとるようにしましょう。

本人の権利を守る…「遺産分割協議」の注意点

成年後見人・特別代理人が選任される場合の遺産分割協議の注意点は、2つあります。

1.法定相続分を下回ってはならない

1つは、原則として成年後見人・特別代理人が選任された本人の相続分は、法定相続分を下回ってはならないということです。成年後見人や特別代理人は、本人の権利を守るために選任されます。

また、本人は、自己の意思を表示できない状況になりますので、本人の権利を不当に制約することは、原則として認められません。そのため、本人の相続分は、法定相続分を上回ることが求められます。

2.遺産分割協議成立までに時間がかかる

もう1つは、遺産分割協議が成立するまでに時間がかかるということです。

成年後見人や特別代理人は、申立ての準備をしてから選任されるまで1~3ヵ月かかることもあります。また、選任されてから、遺産分割協議をはじめますので、遺産分割協議の成立までにさらに1~2ヵ月かかることもあります。

相続税の納期期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内となりますので、相続税がかかる場合に、納期期限までに遺産分割協議が成立しないということも生じる可能性があります。

もし相続人のなかに、判断能力が乏しい方がいる場合は、時間に余裕をもって、成年後見人の申立てを行うようにしましょう。

相続人のなかに認知症患者がいる場合は「生前対策」を

もし相続人のなかに判断能力が乏しい人がいる場合は、なるべく早く弁護士に相談しましょう。

相続税の納税期限までに遺産分割協議を成立させるためには、成年後見人の申立ての手続きや遺産分割協議をスムーズに行う必要がありますので、当事者のみでは手続きに時間がかかる可能性があります。

書類の収集等の負担が大きい場合は、成年後見人の申立ても専門家に依頼をして、なるべくスムーズに手続きを進められるようにしましょう。

また、相続人のなかに判断能力が乏しい人がいる場合、「生前の対策」も非常に有効です。

たとえば、生前に遺言書を作成し、遺産の分け方を決めておくことで、相続人による遺産分割協議(話し合い)を行わなくてもよくなりますので、わざわざ遺産分割協議のために成年後見人の申立てをすることも不要となります。

相続人のなかに判断能力が乏しい人がいる場合は、生前対策から弁護士に相談するようにしましょう。

まとめ

相続人のなかに認知症患者がいる場合の遺産分割手続きは、なるべく早く成年後見人の申立てを行い、後見人を含め、遺産分割協議を進めるようにしましょう。

遺産の分け方を考えたりする必要もあり、時間に余裕がないこともありますので、早めに弁護士に相談し、後見の申立てや遺産分割の手続きを依頼するといいでしょう。また、生前の対策も非常に有効となりますので、お悩みの方は弁護士に相談するようにしましょう。

堅田 勇気

Authense法律事務所
 

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相続人のなかに認知症患者がいるというような場合、手続きはどうすればよいのでしょうか? 具体的な手続きの方法や必要書類、事前準備を相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

相続人のなかに認知症患者がいる場合の相続手続き

父が亡くなったが、高齢の母は認知症で施設に入っているという場合、相続手続きはどのように進めればよいのでしょうか? また、相続人のなかに認知症患者がいる場合にできる対策はあるのでしょうか?
 

認知症患者がいる場合の「遺産分割」

相続が発生し、相続財産について遺産分割協議をしなければならない場合、相続人のなかに認知症等で判断能力が無い人がいる場合、その人は遺産分割協議の当事者となるのでしょうか?

遺産分割協議の当事者は、相続人全員であり、相続人全員に判断能力がある必要があります。

たとえば、相続人のうちの1名が遠方に住んでいてなかなか連絡がつかないケースでも、その連絡がつかない相続人も遺産分割協議の当事者となります。

被相続人の相続人が、配偶者、長男、二男の3名で、配偶者が認知症に罹患しており、遺産分割協議の内容について理解ができない状況の場合は、配偶者は判断能力が無いため、配偶者単独では遺産分割協議に参加できません。

なぜなら、配偶者が遺産分割協議の内容が理解できないことをいいことに、長男、二男が自分たちに有利な遺産分割協議を行ってしまう可能性があり、配偶者の権利が不当に侵害されてしまう危険性があるからです。このような場合、配偶者の代わりに遺産分割協議に参加してもらう成年後見人等の選任を家庭裁判所に申立てて、配偶者の権利を守ることになります。

ここでは、相続人のなかに認知症で判断能力が乏しい方がいる場合の成年後見人等の申立ての手続きや遺産分割協議の手続きについて、解説いたします。

「法定後見人の申立て」…余裕をもった準備を

上述のとおり、相続人のなかに、認知症等で判断能力が乏しい方がいる場合には、家庭裁判所に対し「成年後見人等」の選任の申立てを行う必要があります。成年後見人等には、判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3種類があります。

「後見」:判断能力が欠けているのが通常の状態の人
「保佐」:判断能力が著しく不十分な人
「補助」:判断能力が不十分な人

※以下、後見人・保佐人・補助人を「法定後見人」と総称します。

法定後見人申立ての主な必要書類

・申立書類
・本人情報シート(本人の福祉関係者に作成してもらうもの)
・診断書関係(主治医に作成してもらうもの)
・本人の戸籍謄本
・本人及び後見人等候補者の住民票又は戸籍附票)
・本人について成年後見等の登記がすでにされていないことの証明書(東京法務局から取り寄せるもの)
・本人の健康状態に関する資料(介護保険被保険者証、療育手帳など)
・本人の財産等に関する資料(遺産分割未了の財産も含みます)

法定後見人の申立てには、書類を準備するのに、1~2ヵ月程度かかります。また、申立て後、法定後見人選任の審判が出るまで、2週間~2ヵ月程度かかることもありますので、注意が必要です。

親族が法定後見人となることも

法定後見人には、親族が就任することもあります。

親族を法定後見人に選任して欲しい場合には、申立書に、誰を選任して欲しいかにつき、選任を希望する人を法定後見人候補者として記載するとよいでしょう。

“利益相反”の場合は「特別代理人」を選任

もし、本人と成年後見人が、被相続人との関係で、いずれも相続人であった場合、双方が被相続人の財産を取り合う関係性になります。そのため、この場合、本人と成年後見人の利益が相反することになります。

したがって、後見人を監督する人が選任されていない場合に、遺産分割協議を行う場合には、別途「特別代理人」の選任申立てが必要になります。特別代理人を選任し、上記の利益相反の問題を解消する必要があるのです。

特別代理人選任申立ての主な必要書類

・申立書
・被後見人の戸籍謄本
・特別代理人候補者の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
・利益相反に関する資料(遺産分割協議書案など)

特別代理人についても、申立後、選任の審判が出るまでに2週間~2ヵ月程度かかることもありますので、余裕をもって申立て手続きをとるようにしましょう。

本人の権利を守る…「遺産分割協議」の注意点

成年後見人・特別代理人が選任される場合の遺産分割協議の注意点は、2つあります。

1.法定相続分を下回ってはならない

1つは、原則として成年後見人・特別代理人が選任された本人の相続分は、法定相続分を下回ってはならないということです。成年後見人や特別代理人は、本人の権利を守るために選任されます。

また、本人は、自己の意思を表示できない状況になりますので、本人の権利を不当に制約することは、原則として認められません。そのため、本人の相続分は、法定相続分を上回ることが求められます。

2.遺産分割協議成立までに時間がかかる

もう1つは、遺産分割協議が成立するまでに時間がかかるということです。

成年後見人や特別代理人は、申立ての準備をしてから選任されるまで1~3ヵ月かかることもあります。また、選任されてから、遺産分割協議をはじめますので、遺産分割協議の成立までにさらに1~2ヵ月かかることもあります。

相続税の納期期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内となりますので、相続税がかかる場合に、納期期限までに遺産分割協議が成立しないということも生じる可能性があります。

もし相続人のなかに、判断能力が乏しい方がいる場合は、時間に余裕をもって、成年後見人の申立てを行うようにしましょう。

相続人のなかに認知症患者がいる場合は「生前対策」を

もし相続人のなかに判断能力が乏しい人がいる場合は、なるべく早く弁護士に相談しましょう。

相続税の納税期限までに遺産分割協議を成立させるためには、成年後見人の申立ての手続きや遺産分割協議をスムーズに行う必要がありますので、当事者のみでは手続きに時間がかかる可能性があります。

書類の収集等の負担が大きい場合は、成年後見人の申立ても専門家に依頼をして、なるべくスムーズに手続きを進められるようにしましょう。

また、相続人のなかに判断能力が乏しい人がいる場合、「生前の対策」も非常に有効です。

たとえば、生前に遺言書を作成し、遺産の分け方を決めておくことで、相続人による遺産分割協議(話し合い)を行わなくてもよくなりますので、わざわざ遺産分割協議のために成年後見人の申立てをすることも不要となります。

相続人のなかに判断能力が乏しい人がいる場合は、生前対策から弁護士に相談するようにしましょう。

まとめ

相続人のなかに認知症患者がいる場合の遺産分割手続きは、なるべく早く成年後見人の申立てを行い、後見人を含め、遺産分割協議を進めるようにしましょう。

遺産の分け方を考えたりする必要もあり、時間に余裕がないこともありますので、早めに弁護士に相談し、後見の申立てや遺産分割の手続きを依頼するといいでしょう。また、生前の対策も非常に有効となりますので、お悩みの方は弁護士に相談するようにしましょう。

堅田 勇気

Authense法律事務所
 

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