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女性のあとをつけて病院に潜入!仮病で手に入れた幸運に驚き

幻冬舎ゴールドライフオンライン

その花や球根に強い毒性をもつという彼岸花。ある日、ある男が道ばたで見つけた彼岸花の異様さに魅了され、手を伸ばす。――意識が途絶えた後、傍には見覚えのない女性が立っていた。※本記事は、神野岳仁氏の小説『赤い毒に揺られて』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

博樹、多枝子をつけ回す

多枝子のアパートの前、やはり電柱の陰から見守る。菓子パンと野菜ジュースを手にアパートを見ている姿は、まるで刑事の張り込みのようだった。一時間ほど待たされただろうか、彼女がアパートから出てくる。今日はワンピースにカーディガンという女性らしい服で出かけるようだ。探偵気取りで博樹はひたすら後を追った。

途中、バスに乗り込んだ際に顔を見られそうになったが、彼女はこちらの様子などまったく気にしていないようだ。バスは病院前停留所で止まり、多枝子はそこで降りた。気づかれないように少し間を空けて博樹もバスを降りた。病院前停留所があるぐらいなのでかなり大きな総合病院だ。

「彼女はどこか悪いのか? いや。学生という事は、インターンか何かなのかな?」

後をついていくと、彼女はエスカレーターに乗り四階へ上った。入院患者の病棟だ。通いなれた様子で奥へ奥へと進んだ。四一二号室をノックをしたのち入っていった。博樹は足音を立てないように病室の前へ歩を進めた。患者の名前は沙羅秀夫さらひでお。患者が一人しかいないということは個室のようだ。扉に耳を当てて、中の様子をうかがった。

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たまたま通りかかった看護師に不審な目で見られ少したじろいだが、そんなことより今は中が気になる。再び張り付くようにドアの中へ耳を傾けた。

「お父さん、今日は具合が悪い様ね」

ゴホゴホと秀夫のせき込む声が聞こえる。

「大好きな水ようかん買ってきたけど、その様子じゃあ……。あ、横になって」

「すまないね、多枝子」

一言告げて、秀夫はまたせき込んだ。

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