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33歳、彼氏と別れて結婚は諦めた。女が、それと引き換えに手に入れたモノとは…

東京カレンダー

男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「交際2年で男が振られた理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:たくさんの愛情を注いだのに…彼女を真摯に愛していた男が、2年の交際を経て振られた理由は?



「2022年もあと3ヶ月か〜。僕たちも、もう33歳だね」

1ヶ月ぶりに会った、彼氏の涼太が目の前で呑気にコーヒーを飲んでいる。

涼太はいつも穏やかで、優しかった。コロナ禍で一緒にいてくれたこと。そしてたくさん愛してくれたこと。感謝しているし、私も大好きだった。その事実は変わらない。

けれども、私はすっかり彼に対する愛情を失っていた。

「涼ちゃん。私たち、終わりにしない?」
「え?」

驚いた様子の涼太を見ていられなくて、私は「ありがとう。ごめんね」と最後に言ってその場を去った。

いい人だし、彼氏としてはほぼ問題なかった。でも今の私からすると、涼太という存在がもうダメになってしまったのだ。


A1:同世代だし、お互い刺激し合っていける関係かと思っていた


涼太と出会ったのは、友人の紹介だった。

男友達から、「香奈みたいな子を絶対タイプな奴がいて、香奈も好きなタイプだと思う」と言われていて、私は期待に胸を膨らませてその会に参加した。

「香奈です、初めまして」
「涼太です。初めまして」

恵比寿にある韓国料理屋さん『韓国食堂 入ル 坂上ル』で涼太と出会った日のことは、今でもよく覚えている。



彼の、穏やかで優しそうな眼差し。初対面だけれど、強く惹かれるものがあった。そして友人の言うとおり、私と涼太は気が合った。

「そっか。じゃあ香奈ちゃんは同じ歳なんだ」
「そうなんですよ。じゃあ敬語はナシでいいかな」
「うん、タメ語でいこう」

この日は紹介してくれた友達と3人での食事だったけれど、すぐに打ち解けることができた。参鶏湯のお鍋の湯気が立ち込める中、私たちは一生懸命お互いのことを聞き、教え合った。



「香奈ちゃんは何のお仕事をしているの?」
「私は今渋谷にあるIT関連の会社で働いてるよ。涼太くんは?」
「僕は品川にある会社で、営業だよ。何の仕事をしているの?」
「私は今経営戦略課っていうところにいて。涼太くんは?」

お互い気になるせいか、ついつい質問が多くなってしまう。でもそんな会話のラリーも心地良い。

「経営戦略課にいるの?すごいね!僕はしがない営業だよ」
「しがなくなんてないよ!私初対面の人と話したりするの苦手だから、営業できる人って本当に尊敬するんだ」

私は人見知りなので、すぐに仲良くなれる人が羨ましいと思っていた。だから純粋に、営業職の人を尊敬していた。

「そうなの?」
「香奈ちゃんって、いいね。一緒に話していたら落ち着くし、ポジティブな気分になれるし…」
「明るさだけが取り柄だからね。でも涼太くんも優しいし、一緒にいると楽しいよ」

一体どれほど話し込んでいただろうか。

― あっという間に時間が過ぎちゃったな。

そう思っているとすぐに涼太のほうからデートに誘ってくれ、そしてそのデートで私たちは交際することになった。

「お互い良いパートナーでいようね」
「うん、よろしくお願いします」

― 同世代で話も合うし、お互い頑張ろうって思える最高の相手にに出会えたかも。

そう思っていた…。


A2:一緒にいる時のやっかみが面倒になってきた


私たちはすぐに、お互いの家を行き来するようになった。お互いリモートワークが多かったこともあり、家でのデートが楽しかったから。

しかし交際当初はそれで良かったけれど、徐々に私は会食が復活し始め、忙しくなってきてしまった。

必然的に夜の外食も増え、家に帰る時間も遅くなっていく。そしてこの頃から、私の心に引っかかることがあった。

「香奈、明日も遅いの?」
「そうだねぇ。会食が復活してきたからな…。明日は大手IT会社の代表との食事だから、結構遅くなるかもしれない。よく飲む人だし」

寂しそうな声を出す涼太に、ポロリとそんなことを言った時だった。

「え!あの人とご飯なの?すごいじゃん」

明日の会食相手は、メディアなどにもよく出てくる有名な経営者の方だった。

でも私は仕事だし、そこを特別視はしていない。だから涼太に話したのだけれど、彼はひとりで興奮している。



「仕事だけどね」
「どうやってつながったの?すごくない?いいな〜うまくいったら僕にも紹介してほしい!営業聞いてくれるかな」

― ……え?

何をどうやって紹介しろと言うのだろう。私の仕事関係のコネクションを使おうとしているのが見えた途端に、若干引いてしまった。

「どうだろうね。まぁ聞いてみるけど。ごめんね、忙しくて」
「何言ってるの(笑)。お互い仕事が忙しいのは良いことだし」
「涼くん、ありがとう」

― あまり仕事の話はしないほうがいいのかな…。

咄嗟にそう思った。ちなみに涼太は将来のこともちゃんと考えてくれていたようだけれど、私の不安はどんどん膨らんでいく。

そしてその嫌な予感は、コロナが明けるとともに現実のものになってしまった。

「香奈は、また今夜も有名社長と会食なの?」

この日も私は涼太の家にいたのだけれど、翌日の予定を聞く涼太は明らかに不機嫌だった。

「香奈の周りって、有名人多いよね」

そして、私はこの一言で、何かがプツリと切れた。

「香奈はいいな…。僕がどんなに頑張っても辿り着けないような人たちとすぐに会えるから」



― 何それ…。私がどんな思いでこの人脈を築き上げたと思ってるの?

私の仕事のこともよくわかっていないのに、表面の華やかな部分だけを見て羨望の眼差しを向けてくる涼太が、段々と鬱陶しくなってきた。

しかも勝手に私のことをライバル視し、私の周囲の仕事相手と比較して落ち込んでいる。

「涼くんとは仕事のジャンルも違うからね。それに私が会っている人たちは仕事相手であって、別に飲み友達なわけではないし」
「僕ももっと稼がないと」
「頑張っていれば、それでいいんだよ」

― 面倒くさくない?

一緒にいて楽しいはずの彼氏。でもいつしか相手のプライドを傷つけないように気を使いながら生活しなくてはいけない相手になっていた。

そしてこのタイミングで、子会社の立ち上げメンバーに選ばれることになった私は嬉しくて、つい涼太に嬉しそうに報告してしまった。

「涼くん、聞いて!!!ついに自分のやりたかった事業ができるかもしれない」

でも、言ってからすぐに気がついた。私の出世話や成功話を、彼にすべきではなかったことに。

「そうなんだ。おめでとう」

明らかに“おめでとう”とは思っていなさそうな表情。

涼太にとって、同い年の私はある意味ライバルなのかもしれない。嫉妬の対象にもなるし、自分より稼いだり有名人とつるむのは快くはないようだ。

「でもしばらく忙しくなるから、会える時間減っちゃうかも…」
「会える時間が減るのは構わないけど、香奈が遠くへいっちゃうのは寂しいな」
「どこにも行かないよ」

― 離れるタイミングなのかも。

幸い仕事は順調で、働くのが楽しい。飲むのも好きだし、それが仕事にもプラスになっている。

一緒に高みを目指すどころか嫉妬して不機嫌になる面倒な彼氏だったら、むしろいらないと思った。

― 涼太と別れたら、結婚はしばらくできないかもしれないなぁ…。

それでもいい。代わりに私は仕事に集中する時間と、自由を手に入れられたから。


▶【Q】はこちら:たくさんの愛情を注いだのに…彼女を真摯に愛していた男が、2年の交際を経て振られた理由は?

▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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