泊めてほしいという環に対し、狼は「男と同じ部屋で寝るってイミ 大丈夫?わかってる?」. と詰め寄るが、「……?食糧半分?」と答える天然?世間知らず?な環。寝床を探してうろちょろしている猫みたいで、なおかつ環(たまき)だから「タマ」と呼ばれるようになる。狼から「2、3日すきにつかえば?」と言われていたのに、いつの間にか2週間経っていて。「夏終わる前には出てけよ」と言われていたのに、「行きたい場所が見つかるまで お前のいたいところにいろよ」と言われる。環はいつまでもここにはいられないとか、はやく離れなきゃとか、どうしたいかもよくわからなくて……。でも「ここにいていいよ」って、誰かに言ってもらえるのって、嬉しいことに気づく。
狼はここにいればこわくないと、はじめて私を見つけてくれた人。「ここにいろ」とも「どっかいけ」とも言わない、自分で決めろと言ってくれた人。野良猫少女が狼や周囲の人たちと触れ合い、嬉しいとか痛いとか苦しいとか、知らない感情をひとつずつ知って人間らしくなっていく作品だ。
個人的には『なまいきざかり。』が完結してロスを感じていたところ、私の心の行き場、在りどころを与えてくれた作品でもある。