さまざまな格闘技の試合中継をはじめ、『格闘代理戦争』や『格闘DREAMERS』など、魅力的なオリジナル番組も放送しているABEMAの「格闘チャンネル」。ABEMAの格闘技といえば、「那須川天心 VS 武尊」というビックマッチを実現させた今年の『THE MATCH 2022』や、今週末に開催を控える「フロイド・メイウェザー VS 朝倉未来」を含む『超RIZIN/RIZIN.38』など、超大型のPPV(ペイ・パー・ビュー)放送も多い。
それらの仕掛け人でもあるのが、ABEMA格闘チャンネルのエグゼクティブプロデューサーを務める北野雄司氏だ。今回は目前に迫った『超RIZIN/RIZIN.38』の話はもちろんのこと、YouTubeでも異質の再生数を誇る『ABEMA格闘ch』や、異色のオリジナル番組を手がける背景、『THE MATCH 2022』の反響や違法アップロードへの対策、なにより格闘技や選手への深い愛情について、存分に語ってもらった。
〈格闘技のオリジナル番組を作った理由は、“選手への愛”にあり〉
--北野さんが格闘技番組に関わるようになったきっかけを教えてください。
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北野雄司(以下、北野):テレビ朝日に入社した際はスポーツ局のスタッフとして、フィギュアスケートや水泳などのオリンピックスポーツに携わることが多かったのですが、コンテンツビジネスの部署に異動し、新日本プロレスのお仕事をするようになったことが、自分と格闘技が仕事として交わった最初のタイミングでした。そこでは会員制の動画サブスクリプションサービス『新日本プロレスワールド』に立ち上げ段階から、会員数が現在の8割くらいになるまでの間、プロデューサーとして携わっていました。
--ABEMAに出向し、格闘技の番組を多く手がけるようになったのも、その経験があったからなのですね。
北野:ABEMAというプラットフォームで、格闘技は初期からほかのスポーツと比べて反響が大きかったんです。当時の自分は「格闘技はスマートフォンと相性がいいジャンルなのかもしれない」と分析していました。さらに、親会社のサイバーエージェントが、DDTプロレスリングとプロレスリング・ノアというプロレス団体をふたつ買収したのもきっかけのひとつです。そこから「格闘チャンネル」の方針をかため、現在ではボクシングなどにも目を向けるようになりました。
--北野さんにとっての大きな転機はそこだった?
北野:いえ、大きかったのは“オリジナル番組”を始めた時ですね。恋愛リアリティーショーのフォーマットを使って、『格闘代理戦争(※1)』を作ったこと。この番組をはじめとして、次世代のスターを発掘することに尽力し始めたのも、転機のひとつです。ABEMA初期からブームをもたらしてくれていた亀田(興毅)さんの1000万円企画を、朝倉(未来)選手でやってみたり(『朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円』)。コロナ禍で、にわかに大きくなってきたPPVのビジネスモデルとして、朝倉選手の番組があったことも、今日に至るまでの仕事につながっています。
※1:名声あるレジェンド格闘家が次世代選手を推薦&育成し、トーナメント戦へ挑む姿を映した”格闘ドキュメンタリー&中継”番組。