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映画『よだかの片想い』松井玲奈&中島歩インタビュー「ろうそくの火がふっと消えてしまう様な恋の終わり方」

ガジェット通信

中島:恋愛している女性の気持ちの大きな揺れが、上手に描かれていて。本当にワクワク、キュンキュンしながら読みました。これまで恋愛小説って全然読んだこと無かったので。でも、撮影前に読まなくて良かったなと思いました。原作にはアイコさんの気持ちが全て書かれているので、それを知った上での演技になっちゃうし、飛坂を演じる上でその気持ちを再現しようとしちゃうから。そうなると、こぼれ落ちていく本質みたいなものがあると思うので。

松井:私が難しいと感じたのは、原作が好きすぎて、「なぜこのシーンが無いのか」とか「ここのセリフが削られている」とか、最初に脚本を読んで思ってしまう事だったんですね。ある意味驚きというか。私はここすごく好きなのに、映画には無いんだ!という。スタッフの皆さんが「今回は小説をそのまま映画にするのでは無く、映画の『よだかの片想い』を作るんだよ」と言ってくれて。確かに、原作をそのままなぞっても良い映画になるわけじゃないよなと思ったので、映画の物語を作り上げようと思いました。

でも、やっぱり自分の中の“アイコ像”というのが凝り固まってしまっている部分もあったので、監督と話合いながら、映画にとって一番良いアイコを作って行こうと思いました。今中島さんがおっしゃった様に、原作を読んでいなかったからこその「私の知らない飛坂さん」でやってきてくれるので、作品オリジナルのアイコが作られていったんだなと思っています。

中島:今、松井さんの言葉を聞いていても改めて、原作を読んでいなくて良かったなと思いました。松井さんを見ている先に小説のアイコ像が浮かんできてしまうと思うので。一緒にお芝居しているのは松井さんですから、どういう芝居になるかは現場のその瞬間に立ち上がってくるので。僕も最近原作を読んで、映画に無いシーンばかりだからビックリしたんですよ。でも、両方に両方の良さがある。

松井:結果的に今完成したこの作品がが、映画の『よだかの片想い』の最善のものだと、自信を持って思っています。

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――本作をご覧になった方が小説を読んで、また本作を見て、と楽しさが広がっていきそうですよね。先ほども少し話には出ていましたが、改めて完成した作品をご覧になっていかがでしょうか?

松井:現場では分からなかった、安川(有果)さんが撮るリズム感というのが、完成した作品を観て理解出来たというか。現場では色々と話し合いながら撮っていたのですが、完成した映画は思いもよらないシーンになっていたりして。それが特にラストシーンでした。いつも自分の作品を観る時は、どこか客観的に観ることが出来ないのですが、このラストシーンはすごく綺麗だなと魅入ってしまいました。

中島:思ったよりも恋愛映画だなという感想が一番最初にきましたね。アイコの恋が成就してほしいってずっと応援していたくなる作品で。自分の役は…観ていて気持ち悪いって思っちゃうんですけど(笑)。ラストシーンを見て、「アイコのこの顔が見たかった」と思えた。

――原作は言葉がとても美しくて、映画は言葉はもちろん映像がすごく美しいですよね。監督の撮影の仕方、演出の仕方で印象に残っていることはありますか?

松井:目のアップのシーンはすごくカメラが近くまで寄ってきて、こんなに近づかれたことは無いというほどでした。最初はドキっとしましたが、慣れた後はそのカットをすごく印象的に使っていただいて嬉しかったです。

中島:アイコの抱えている悩みであったり、不安がすごく映像的に現されているなと思いました。子供の頃のアイコと今のアイコのシーンなんかが、とても特徴的で。好きな人によく思われたいからこそ、どんどん自分のコンプレックスが強調されていく。そのリアルな心情を映像的に表現しているな、と。

あと、僕はあまり手持ちの撮影が好きじゃないんですね。カメラマンの意図みたいなものが、どうしても出てきてしまうので。でも、本作では手持ち撮影のシーンが効果的に使われていて。良いなあと思いました。

――ここからは、原作の魅力についてもお話をお聞きします。松井さんは島本理生さんの作品を全て読んでいらっしゃるという事ですが、「よだかの片想い」は本屋さんの天体関連コーナーで見つけたそうですね。

松井:雛鳥が初めて見たものを親だと思ってしまう様に、「よだかの片想い」が一番最初に読んだ島本理生さんの作品なので、特別な一冊です。「ラブストーリー」と言い切っていいのか、今も悩むのですが、すごく静かに恋愛の決断をするということが、当時の私にはすごくセンセーショナルに感じて。それまでは、人って何かを決断する時に激しくぶつかり合うイメージがあったんです。でも「よだかの片想い」は、ろうそくの火がふっと消えてしまう様な恋の終わり方に見えて。その静かな瞬間を映像で見たいとずっと思っていたので、これまでの取材等で「よだかの片想い」の映像化を希望しているお話をしていました。

そこから島本さんの描く人間描写にとても惹かれて、(「よだかの片想い」を)読み終わった翌日に本屋さんに行って、出ている本を全部買って、今も一番楽しみにしています。

――今は、そんな憧れの島本さんとお会いしたりお話する機会もありますよね。

松井:もう本当にただのファンなので、お会いしても上手に話せません(笑)。私が読んで感じたことが、間違った解釈だったらどうしよう…と思ってしまうんですよね。作家さんと映画監督さんに感想をお伝えするのは本当に難しいです。

――そんな松井さんから、中島さんにオススメしたい島本作品は何ですか?

中島:キュンキュンしたい!

松井:キュンキュン!迷いますね(笑)。島本さんの作品は、いつもちょっとヒリっとする部分があるので。中でも、少しコミカルなものだと「クローバー」。「真綿荘の住人たち」は「めぞん一刻」の様な下宿先のみたいな世界観のお話です。あと、私が「よだかの片想い」とおなじくらい好きなのが「波打ち際の蛍」です。このお話に出てくる男性は、中島さんが演じたらすごくピッタリだなと思っています。

――もし「波打ち際の蛍」が映像化されて、中島さんがキャスティングされていたら、松井さんもビックリしてしまいますね。

松井:すごく喜んでしまいます。そして、やっぱり「よだかの片想い」の飛坂さんが一番好きなキャラクターなので、中島さんが演じてくれて嬉しいです!

中島:ありがとうございます。良かった。

――松井さんの長年のハマりものである、島本作品の魅力を聞いたところで、最近中島さんがハマったものがあれば教えてください。

中島:最近、ブライアン・イーノの展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」に行ってきて(現在は終了しています)、素晴らしかったです。3時間くらい、ずーっと座ってその世界観に浸っていました。アンビエント=環境音楽というものの魅力が分かる素晴らしい展覧会で、期間限定では無くずっとやって欲しい、全国にこういう場所が欲しいと思いました。今僕たちにすごく必要な場所だなと。音楽はずっと大好きだし、色々な曲を聴いているので、今日松井さんに教えてもらった本も、素敵な音楽と一緒に楽しみたいと思います。

――今日は素敵なお話を本当にありがとうございました!

撮影:オサダコウジ

『よだかの片想い』
原作:島本理生『よだかの片想い』(集英社文庫刊)
監督:安川有果
脚本:城定秀夫
主題歌:角銅真実「夜だか」(ユニバーサル ミュージック)
音楽:AMIKO
出演:松井玲奈、中島歩
藤井美菜、織田梨沙、⻘木柚、手島実優、池田良、中澤梓佐
三宅弘城
企画協力:グリック、SPOTTED PRODUCTIONS
制作プロダクション:ダブ / 配給:ラビットハウス
公式 HP:https://notheroinemovies.com/
公式 Twitter:https://twitter.com/NotHeroineM
公式 Instagram:https://www.instagram.com/notheroinem/
©島本理生/集英社 ©2021 映画「よだかの片想い」製作委員会

【ストーリー】
物語の主人公は、理系女子大生の前田アイコ(松井玲奈)。彼女の顔の左側にはアザがある。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、友人の編集者・まりえ(織田梨沙)の紹介で、監督の飛坂逢太(中島歩)と会う。話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めていくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への想いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる・・・。

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