top_line

気持ちいい!サクサク進む爽快パズルゲーム
「ガーデンテイルズ」はここからプレイ!

西九州新幹線「かもめ」開業 本州とは異なる鉄道デザイン 水戸岡鋭治の仕事に注目してみよう

Real Sound

 2022年9月23日、西九州新幹線の武雄温泉~長崎間が開業した。出発式が行われ、颯爽と走り出す新幹線の姿を見て、その斬新なデザインに目が釘付けになった人も多いのではないだろうか。

 今回の西九州新幹線「かもめ」を筆頭に、JR九州の車両を長年に渡ってデザインしてきたのが、工業デザイナーの水戸岡鋭治である。水戸岡の著書や、その仕事を紹介した本は数多くある。中でもおすすめなのが、『ぼくは「つばめ」のデザイナー 九州新幹線800系 誕生物語』(講談社青い鳥文庫)だ。西九州新幹線ではなく、九州新幹線が開業した時期に出版された本だが、子ども向けに書かれているので平易で読みやすい。

 本書では、九州新幹線の800系「つばめ」を生み出すべく、奮闘する水戸岡の物語がつづられている。九州新幹線の車両は、東海道・山陽新幹線で使われている700系をベースにすることが条件になっていた。

  しかし、水戸岡は「南九州に初めて開業するまったく新しい新幹線に、すでに東海道・山陽新幹線でおなじみの車両を走らせたのでは、話題になりません。地元の人たちも喜んでくれないし、まして遠くからわざわざきて、この新幹線に乗ってみようという人もいないでしょう」と思っていた。

広告の後にも続きます

  それでも、水戸岡は「制約があるのが仕事というもの。その中でどれだけのことができるかが腕の見せどころです」と考え、JR九州の人たちの「どこにもない九州らしい新幹線をつくりたい」という熱意に応えるべく試行錯誤を重ねた。中でもこだわったのが、列車の“顔”ともいえる先頭車のデザインだった。それを解決したのが、700系を造るときに採用されなかった先頭車の設計図である。水戸岡はその設計図をもとにデザインを練り上げ、ほかにない“縦目”を採用したユニークな新幹線800系を生み出したのである。

  今回の西九州新幹線「かもめ」もやはり、制約が多い仕事だったようだ。東海道・山陽新幹線で使われているN700sがベースになったが、先頭車の形など、原型を変えることはほとんどできなかったという。それでも、できあがった車両を見てどう思うだろうか。外観も、内装も、N700Sとは思えないほどユニークだ。水戸岡の手にかかれば、見慣れた車両もまったく別物になってしまうのである。

  九州には水戸岡がデザインした車両が数多く走っていて、鉄道に乗ること自体が旅の楽しみのひとつになっている。また、西九州新幹線開業に合わせて水戸岡がデザインした「ふたつ星4047」もデビューし、西九州エリアを走り出した。こちらは速さを追求する新幹線とは異なり、ローカル線をゆっくりと走りながら、地元の魅力を発見できる列車になっている。

  長くコロナ禍が続き、そろそろ本格的に旅をしたい人も多いことだろう。これからは暑さも和らぎ、旅をするには絶好の季節だ。ぜひこの秋は、九州の鉄道の旅に出かけてみてはいかがだろう。

 
   

ランキング

ジャンル