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これは“「スター・ウォーズ」meets「ジェイソン・ボーン」”ドラマだ!3人の編集長による「キャシアン・アンドー」イッキ見座談会

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これは“「スター・ウォーズ」meets「ジェイソン・ボーン」”ドラマだ!3人の編集長による「キャシアン・アンドー」イッキ見座談会

9月21日にディズニープラスで独占配信がスタートした「スター・ウォーズ」の新ドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)に登場した反乱軍のスパイ、キャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)の知られざる過去、そして反乱軍の誕生の裏側に迫る、シーズン1全12話のこのドラマが早くも話題を呼んでいる。早速、一挙配信されたばかりの3話までを鑑賞した「月刊シネコンウォーカー」編集長の佐藤英樹、「DVD&動画配信でーた」編集長の西川亮、「MOVIE WALKER PRESS」編集長の下田桃子が、感想や今後の展望を語り合った。

まずは「キャシアン・アンドー」1~3話の簡単なストーリーを。時は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で描かれた時期の5年前、『スター・ウォーズ エピソード 4/新たなる希望』(77)に続く、銀河が帝国の支配下に置かれていた暗黒時代。主要な舞台はモーラーナ星系自由交易区の惑星フェリックスという工業地帯で、帝国の息がかかった大企業に牛耳られている。危ない橋を渡りながらそこで暮らしているキャシアンは、近くのモーラーナ1の歓楽街でトラブルに巻き込まれ、当局の従業員2人を図らずも殺してしまったことでお尋ね者となる。一刻も早く、フェリックスから脱出しないといけないが、そのためには金が要る。裏取引で金を得ようと奔走する彼に、迫り来る当局の追跡。やがて謎めいた取引相手と接触した時、キャシアンの運命は一変する。

※本記事は、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

■「『スター・ウォーズ』らしくないところが逆によかった」(佐藤)

西川亮(以下、西川)「このドラマを観る前に、ちょうどIMAXで再上映された『ローグ・ワン』を観に行ったのですが、改めておもしろかったですね」

佐藤英樹(以下、佐藤)「『スター・ウォーズ』らしくないところが逆によかったよね。明るいビーチが戦場となって、『地獄の黙示録』や『プラトーン』といった戦争映画の名作を彷彿させるシーンもあったり、リアルな戦闘シーンだった。それでも『スター・ウォーズ』の設定は活かされていて新鮮でした。シリーズのなかでもかなり好きな部類です」

西川「『スター・ウォーズ』ファンは、この作品をお気に入りに挙げる人が多いですね」

下田桃子(以下、下田)「公開当時はドニー・イェンが演じるチアルートがカッコイイとか、彼とベイズ(チアン・ウェン)のコンビがいいとか、そういうヒロイックな魅力に乗っかっていた気がしました。実はこの作品は製作後半で、脚本のトニー・ギルロイが弟のジョン・ギルロイと編集の指揮を執ったり、再撮影したりと作業が大変だったんですよね」

西川「ディエゴ・ルナのインタビューを読んだのですが、彼はギルロイに絶対の信頼を置いてるようですね。それが今回の『キャシアン・アンドー』につながったんでしょう」

下田「その基礎を築いたのが、『ローグ・ワン』ですよね。『スター・ウォーズ』には珍しい硬派な雰囲気があって、ギルロイの色が出ていた。そういう部分が好きです」

■「ファンもそうじゃない人も、同じ土俵で観られる」(下田)

佐藤「『キャシアン・アンドー』に話を移すと、3話まで観たけれど、ほかの『スター・ウォーズ』シリーズに関連づけている部分は、いまのところあまりないよね。そういう意味ではシリーズを観ていなくても楽しめる。キャシアン自体、ほかのキャラクターに比べて知名度が低いじゃないですか。例えば、オビ=ワン・ケノービは戦国武将で例えるなら明智光秀くらいの知名度があるけれど、キャシアンはそこまでではない。一般的には『ローグ・ワン』に登場する諜報員と言われて、『あ、あの人か』と思い出す程度じゃないかな。そこが、むしろこのドラマの強みですよね。まったくの新作として観ることができる」

下田「そこがよかったですね。『スター・ウォーズ』サーガとの結びつきを頑張って探す必要もないし、スパイものとして楽しい、と思わせてくれる。そういう意味では気楽に楽しめました」

佐藤「『スター・ウォーズ』のメインストリームではなく、外れの外れの世界の話だから、作り手としても自由に作れるし、伸びしろはまだまだありそうですね。監督の手腕に任せるので、どんどん話広げちゃっていいよ、というようなスタジオサイドの寛容さを感じます」

下田「『ローグ・ワン』もそうでしたが、『キャシアン・アンドー』も“こうあるべき”がない作品ですよね。ファンもそうじゃない人も、同じ土俵で観られるんじゃないでしょうか?実際に観る前は、『ローグ・ワン』だけ観ておけばOKだと思ったら、それさえも要らなかった(笑)」

西川「ファンにしても、『これが「スター・ウォーズ」だ!』みたいなものよりも、その世界観を使った新しいものを観たいと思っているんじゃないかな。そういう点では、3話の時点では成功していますよね」

■「強い敵が出てきて、それを倒す話ではない。ただ、あの主任はどんどんめんどくさいヤツになっていく予感」(西川)

下田「私は1話からどんどんのめり込んでいきました。特に、最初の雨のシーンからして、『ブレードランナー』のようなサイバーパンク感があり、巧い導入部だと思いました」

佐藤「世界観をきっちり見せていますよね。舞台となる工業都市にしても産業革命時代のイギリスの労働者たちが住んでいるような、搾取される苦境や犯罪の横行などの猥雑な雰囲気がある」

下田「SFではあるけれど、リアルですよね。冒頭でキャシアンに絡んだ2人のうち、1人は倒れた際の頭の打ちどころが悪くて死んじゃうけれど、これも現実的ですよね。こういうアクシデントは実際に起こり得る。その後もバンバン人が死んでいくような展開にはなりません。そういうところにリアリズムを感じました。だから、『思いがけず人を殺してしまった男の逃亡を描いたノワール・サスペンスです』と言われても納得します」

西川「そう言われると、トニー・ギルロイらしさを感じますね。『ジェイソン・ボーン』シリーズのようなハードボイルドさもある。キャラクターで気になったのは、“ビー”と呼ばれるドロイド。もしかしたら、BB-8のプロトタイプになるのかなあ?」

佐藤「B2EMOというのが正式名称らしいけれど、B系列のドロイドはサポートタイプ、などの設定があるのかもしれない。主任 (カイル・ソラー)と呼ばれていた企業の隊長もいいキャラクターだったよね」

下田「キャシアンを追う企業の保安本部は、これまでの『スター・ウォーズ』のような恐怖政治の執行者というよりは、フツーの警察組織っぽかったですよね。LA市警と、あまり変わらないような(笑)。とにかく、いまのところメチャクチャこわいヴィランは出てこないですよね」

西川「そういう話ではありませんよ、という前提を、最初の3話で提示しているのかもしれませんね。強い敵が出てきて、それを倒す話ではない。ただ、あの主任はどんどんめんどくさいヤツになっていく予感はします(笑)」

下田「主任は、制服をお直ししていることで上司から咎められますよね。あのシーン、なんだかわからないけど、かわいいなあと思いましたよ(笑)。悪びれることなく、自分からカミングアウトしちゃうところが」

■「チェ・ゲバラのような話になるんじゃないかという気がします」(佐藤)

佐藤「今後の展開も気になるけど、ディエゴ・ルナがラテン系ということもあり、反乱軍を組織していく物語になるとしたら、チェ・ゲバラのような話になるんじゃないかという気がしますね。ゲリラ的な戦術を駆使したり、独裁的な権力に対して弱き者たちが団結して義を持って戦う、そんな要素も含まれてくるんじゃないかなあ」

西川「それは思いました。キャシアンの子ども時代のエピソードで出てくる、ケナーリと呼ばれる星のコミュニティには、インカやアステカのイメージが踏襲されているような感じでしたよね。あとは最近のアメリカ映画に多い、移民問題のようなものが見えてきたりするのかも」

下田「キャシアンの妹の存在も気になりますね。生き別れた妹を探してバーに行くエピソードは冒頭で語られただけですが、回想シーンにも出てくるし、重要なキャラクターなんじゃないかと思います」

西川「あと、アナウンスされていたモン・モスマ(ジェネヴィーヴ・オーライリー)はまだ登場していませんよね。3話でキャシアンと接触するステラン・スカルスガルド演じる謎の人物は、悪役顔もあって不穏なキャラかと思ったら、そうでもなさそうだし。それに、ディズニープラスのシリーズ恒例になっているサプライズゲストが誰になるのかも気になります。たいていは最終話に出てくるけど、このシリアスな展開のなかにどう入れ込むんだろう?」

佐藤「回収していない伏線は結構ありますね。それに名の知れたキャラはキャシアン以外にいないので、彼の周りにいる人誰もが疑わしいし、このあとの関係性の変化については想像が広がるね」

西川「あと…僕は極論、3話から観始めてもいいと思うんです。なぜかというと、『機動戦士Vガンダム』という作品では、第4話で描かれるべき内容を第1話にするという手法を取っていたんです。ガンダムが出るまでストーリーとしては4話かかる。けれど視聴者の興味をつかむために、まず初回でガンダムを出したほうがいいという判断だったんです。そういう作劇の仕方ってシリーズものにおいては有効じゃないですか?この『キャシアン・アンドー』に関しても、1、2話は世界観や人物の説明パートが主になっているので、視聴者の裁量にはなりますが、派手な見せ場がある3話から観て、遡るのもひとつの手じゃないかなと!」
取材・文/有馬楽

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