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『ONE PIECE』から『名探偵コナン』まで 視聴者の成長に合わせて“変化”するご長寿アニメ

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名探偵コナン(102) (少年サンデーコミックス)

 「アニメ大国」と呼ばれる日本のアニメ作品は、世界中で愛されている。海外でも日本のアニメが放送されていたり、マンガ本が書店に並んでいたりする。海外での放送時には、文化や放送規定の違いによってキャラクターの設定が少し変更されていることもあり、アメリカ版『ONE PIECE』では、放送規定の関係でサンジの煙草が棒付きキャンディーとなっているのは有名だ。ある意味、その国オリジナルの要素が組み込まれながらも、日本の作品は世界中のファンを魅了している。

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 そんな世界で愛される日本のアニメ作品には、『ONE PIECE』をはじめ、『ドラゴンボール』、『名探偵コナン』、『美少女戦士セーラームーン』など国内でも人気の高い作品が名を連ねる。他にも、『ドラえもん』や、『ちびまる子ちゃん』のような子供がターゲットとなっている、いわば幼児向けアニメも海外で放送されており、人気がある。これらの作品は長年テレビ放送がされている、いわゆる「ご長寿アニメ」である。スーパーパワー系の『ONE PIECE』、『ドラゴンボール』、非現実的な日常系の『ドラえもん』、『名探偵コナン』、現実的な日常系の『ちびまる子ちゃん』、『サザエさん』とそれぞれの異なる魅力と長年愛され続ける秘訣を考えてみたい。

 まず『ONE PIECE』と『ドラゴンボール』に共通する魅力は、キャラクターたちの“スーパーパワー”とバトルシーン、ギャグ要素、友情や仲間との絆が描かれていることだ。空を自由に飛んだり、変身したり、未来が見えたり、異次元のパワーを持つなど、誰もが1度は想像したことがある“スーパーパワー” が描かれることで、多くの視聴者の憧れが詰まった世界が広がっている。そんな、“スーパーパワー”を全面に使った、真剣な眼差しの戦闘シーンがある一方、ギャグシーンも多く描かれている。典型的な「出会い→敵の登場→バトル→主人公たちの勝利」の流れだけでは、視聴者は飽きてしまうことが多いが、この中についつい笑ってしまうようなギャグ要素が入ることで、完璧ではないギャップがキャラクターたちの魅力となり、視聴者を惹きつける。

 また『ONE PIECE』では、奴隷や人身売買、魚人族への差別、戦争など、大人向けの少し重たい内容も描かれている。こういった題材を扱うアニメに幼少期から触れることで、「やってはいけないこと」を感じとるだけでなく、大人になるにつれて、幼少期には理解できなかったシーンに胸を打たれるという「子供と大人の見方の違い」が生まれる。子供はキャラクターの強さにかっこよさを感じ、大人は内容にも感動する。自らの成長に応じて魅力も変化するため、全ての世代の心に刺さるのだ。

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 次に『ドラえもん』と『名探偵コナン』に共通する魅力は、平和な日常生活の中に非現実的な要素が含まれることだ。『ドラえもん』では、ドラえもんの存在自体もそうだが、どんなことも叶えられる様々な秘密道具が存在する。“スーパーパワー”を自分自身の能力として持つのではなく、“スーパーパワー”的な機能を持つ道具を使う。

 一方、『名探偵コナン』では、必ず事件が起きて、それに巻き込まれる、ある意味物騒な世界だ。血を黒く描く、怖さを感じない演出は子供向けだが、大人でもわからない本格的なトリックと、犯人を真っ黒に描くことで性別も身長も謎が解明されるまでわからなくなっている工夫は大人を飽きさせない。登下校シーン、放課後に遊ぶシーンなどの日常的な場面は、私生活の中でもありえそうな現実味があるが、秘密道具の存在や、どこに行っても危ない事件に遭遇するというスリリングな状況は非現実的で、アニメならではのワクワク、ドキドキする表現が魅力的だ。また毎年のように映画が公開され、子供の成長に合わせて大人が観に行けるというのも、大人が我が子と重ねて楽しむことができる要素となっている。

 最後に『ちびまる子ちゃん』と『サザエさん』に共通する魅力は、これまで挙げてきた作品とは違い、特殊な力が出てくるわけでも、(トラブルは多いが)危険なことに巻き込まれることがあるわけでもなく、何気ない日常の中でドタバタで楽しい大家族の愛と絆が描かれる点にある。原作が『ちびまる子ちゃん』は1970年代、『サザエさん』は1950年代から1970年代の日本がそれぞれ舞台となっているため、当時を思い出す人もいれば、祖父母の家のような落ち着く雰囲気を感じ、観ていてどこか懐かしい気持ちになる。まる子やカツオたちのキャラが濃いクラスメイトや給食のメニューは、「こんな子いた!」「この給食好きだったな」と自身の小学校時代と重なる人も多いだろう。

 また、『ちびまる子ちゃん』と『サザエさん』は連なって放送がされており、18時から19時までの放送時間がちょうど夕食の時間に重なっているため、家族団欒をしながら観ることができる。キャラクターたちが大家族だからこそ、視聴者の家庭の中の子供たちや親世代も、必ずさくら家、磯野家のそれぞれと共通する部分があり、ついつい見入ってしまう魅力がある。

 ご長寿アニメには、キャラクター面では“スーパーパワー”や誰かのために立ち向かう精神的なパワーなどのかっこいい姿が描かれ、内容では友情、愛情などの絆やギャグ要素、子供には理解できなくても大人にとっては胸を打たれる感動的な内容など「大人も楽しめる」工夫がされているという共通点がある。そして、キャラクターたちはかっこいい憧れの存在から尊敬する存在へと変化し、自身の成長に応じて見方や価値観にも変化が生まれる。そのことこそが「ご長寿アニメ」に引き込まれる魅力であり、長年愛される秘訣へと繋がっているのではないだろうか。(岡崎有沙)

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