一方、色覚特性は制作物の精度を確認するのに苦労した。ツイッター上で色覚特性を持つユーザーに意見を聞きながら制作を進めたという。当事者から見て、色覚特性の項目を調整しても色の変化が起きないようにした。
VoxelKeiさんいわく、こだわったのは肉眼の模擬。陰影を処理する「シェーダー」の技術を使って視覚効果を自作した。そもそも、VR空間における視覚表現の技術を探究するなかで得られた発見が制作のきっかけとなったともいう。
発見に加えて、自分より視力の良い相手に口頭で感覚を共有する難しさを感じたという幼少期の記憶が組み合わさり完成にいたる。「『誰もがその場所にいた記憶がある』状況でこの体験をしてみて欲しいと思った」ため、教室を舞台に設定したという。
反響に喜び「それを目指して作りました」
投稿に寄せられた反響のなかでも、知見を得られたという声に対して「大変嬉しいです。それを目指して作りましたので」とVoxelKeiさんは喜ぶ。
「私がこれを作った目的が果たせているようなご感想が総じて多いので嬉しく思うと共に、今後より具体的に役立てるようにしていきたいと思っています」
今後の展望に関しては、次のように意気込んだ。
「いろいろ取り組んでいますので一言で言えませんが、『VR空間の技術を使って現実世界で役立つ何か』『現実空間には存在しない、VR空間から生まれた表現や楽しみ』の両輪で活動して行きたいと思っています。
今回の作品は一つ目の項目にあたり、二つ目のものについてはVR空間でToneVokという音楽ユニットを組んで活動もしています」