9月23日(金)に公開される「プリキュア」シリーズの映画最新作「映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ!」 に、花江夏樹がゲスト声優出演する。今作は、ある日突然おいしーなタウンに現れた“お子さまランチ”のテーマパーク<ドリーミア>が舞台。花江が演じるのはテーマパークの園長・ケットシー役だ。花江には2020年に双子の娘が生まれており、とにかく可愛く「仕事の一番の原動力」だという。そんな花江に、親目線で見た「プリキュア」シリーズの魅力や、奮闘する育児の楽しさ、子どもが生まれて変化した仕事への向き合い方について語ってもらった。
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■「プリキュア」は、大人も男性も楽しめる作品
――演じられたケットシーについて、印象とお芝居で意識した点を教えてください。
見た目はもうこのまんま、着ぐるみなのですごく可愛いです。でも、着ぐるみであるために本当の顔はわからないんですよ。だからこそ色々な表現をしていけたらと思って、同じセリフでもいくつかのプランを試しながら、どれにしようかと試行錯誤しながらですね。可愛さがあって、その中に面白さもあるといったような。そういう愛される感じにできたらいいなと思って演じました。
――今回、「プリキュア」の世界に入って感じたシリーズの魅力はどういうものでしたか?
「プリキュア」は僕が小学生の頃に始まったんですよね。それからいくつかのシリーズは観ていて、男性目線かもしれないですが、戦う女の子たちというのがすごく格好良く見えました。それと「フレッシュプリキュア!」(2009-2010)から定番になった、3DCGでのエンディングダンス。あれはすごかったです。CGの動きってもっと違和感のあるものだと思っていたのに、とても可愛くて、近未来的な雰囲気もあって、「プリキュアってすげえ!」となったのを覚えています。「プリキュア」ってバトルシーンの作画もしっかりしているし、子ども向けだけど、大人が観ても楽しめる作品なんですよね。
――「プリキュア」は女性声優にとっては特別な作品だと聞きます。アフレコ現場などで「プリキュア」の話を聞くことはありますか?
ありますね。「今度のプリキュアに出るんだってね!」「ついに私も出られたんですよ!」みたいな話は耳に入ってきて、女性声優さんの中では「プリキュア」への出演は憧れであったり、1つの登竜門みたいになっているんだなというのはすごく伝わってきます。
■サプライズで「お父さん、実は出ていました」と
――「プリキュア」のメインターゲットは小さいお子さんたち。中でも一番は女の子たちです。双子の娘さんを持つ花江さんから見た「プリキュア」シリーズの魅力はどういうところにありますか?
まだ小さい女の子たちが頑張っているというだけで泣けてきますよね。自分の子どもではないけど、見守っているような、応援したくなるような気持ちになってきます。もし自分の娘が悩みを抱えたり、一生懸命になれるものを見つけたとき、親としてそれを応援してあげたり、手伝ってあげたいって、「プリキュア」を観ているとそういう気持ちにさせられます。
今作であれば、「ごはんは笑顔」みたいな、当たり前にあるものに対する感謝の気持ちや楽しむ気持ち。そういう、頭ではわかっていても…ということをわかりやすく言語化してくれるのも、いい作品だなと思います。
――花江さんが今おっしゃったように、プリキュアは目標や目指すものを持っています。もし将来、娘さんから声優になりたいと相談されたらどうしますか?
嫌ですね(笑)。でも本当になりたいというのなら、どうしてなりたいのかを聞いた上で、お芝居がしたいという気持ちが一番にあるのだったら応援してあげます。ただ、仕事の上辺だけを見て、キラキラしていて、ちょっとアイドルっぽいこともできるし、みたいな動機だったら、一回声優のことをちゃんと考えてみようかって話すと思います。
――共演できる嬉しさはあるのかなと思いました。
できたら嬉しいですけどね。でも、そこは本人たちがどういう道を選ぶのかだし、まだ全然わからないですから。きっと最後は止めることはできないと思いますが、僕の気持ちとしては声優はやめたほうがいいんじゃないかなって(苦笑)。
――お子さんは9月で2歳に。「プリキュア」はまだちょっとわからないでしょうか?
内容的なことはわからないでしょうね。でも今回の映画もそうですが、画面を観ているだけでも楽しい作品なので、お話が理解できなくても十分喜んで観てくれると思います。それに「プリキュア」はまだまだ続いていく作品でしょうから、少し大きくなってから見せて、そのときに「実はお父さんも出ていました」というサプライズもありかなって(笑)。
■我が子の成長を実感できる育児は毎日が楽しい
――今は男性も育児をしようという時代です。花江さんもTwitterで娘さんとの様子を見せてくれていますが、育児の楽しさを教えていただけますか?
子どもが成長していく過程がすごくわかります。大人が10年かけて成長していくのを1年の短い間に詰め込んでいるような、それくらいの速度でどんどん成長していくんです。教えたら全部吸収していくし、毎日が本当に楽しいです。
――子どもとの触れ合いで、幸せを感じる瞬間はどんなときですか?
ずっと幸せですけど、家に帰って、ドアを開けると「パパ!」って、笑顔で駆け寄ってくるんですよ。それがすっごく嬉しくて、ホント、仕事行きたくなくなりますね(笑)。仕事部屋に行こうとすると、「行かないでえ…」って、泣いちゃったりして、そういうのも含め、娘の全てが元気の素になります。
――逆に大変なのはどういうときですか?
やっぱり目が離せないことですね。特に今は何でも口に入れようとしちゃう時期なので。それと最近は行動範囲が広がってきて、すぐにドアを開けたり、引き出しを引っ張ったりするんで、全部にチャイルドロックをかけて危ないことがないように気を付けています。
あと、最近けっこう意思表示をするようになってきたんですよ。ジュース飲みたい、オモチャで遊びたい、本読んで、抱っこして、とか。とにかく可愛いんですけど、それが2人分なのでけっこう体力を持っていかれます。
――双子だとわかったときはどんな気持ちでしたか?
嬉しかったですよ。妻とも子どもは欲しいねって話していたので。「双子だ!」って嬉しくなりました。
――花江さんはみそちゃん、こんぺいくんという2匹の猫を飼われています。娘さんと猫の相性はどうですか?
こんぺいはけっこう娘に対して距離を取るんですよ(笑)。触ろうとするとちょっと威嚇したり。娘もそれが認識できているようで、この猫は触っちゃダメってなっているみたいです。みそはすごく人懐っこいので、自分から娘に近寄って、「撫でて撫でて!」って頭をこすり付けたりしてすごく仲が良いです。一緒に寝たりもしているし。娘が力加減をわからなくてバシバシやっちゃうこともあるんですけど、それでも怒ったりせず、かといって逃げもせず、みそはそれがわかった上でお姉さんとして接している感じで、見ていて良い関係を築いているなって思いますね。
――子どもと猫の組み合わせは最強の正義ですね。
そうですね(笑)。
――花江さん自身は猫と暮らすようになって生活に変化はありましたか?
僕は物心ついたときから家で猫を飼っていて、猫といる生活が当たり前だったんです。だから元々好きというのもありますけど、一緒にいるだけで気持ちが安らいで、懐いてくれると嬉しいですね。気まぐれで、構ってほしいときにしか近付いてこないんですけど、またそれが可愛くて(笑)。
■家族のために頑張れる。娘の存在は何よりの原動力
――家ではお子さんとご自身の出演作を観られたりするのでしょうか?
けっこう一緒に観ています。ありがたいことに最近は子ども向け作品への出演も増えてきて、そういうのを一緒に。僕が声をやっているというのはまだわかっていないけど、とても喜んで観てくれるんですよ。おかげで僕もその作品のアフレコが今まで以上に楽しくなったし、娘の反応から子どもに刺さるお芝居を研究したり、勉強にもなっています。
――お子さんができてから仕事への向き合い方も変わった感じですか?
変わりました。より頑張れるようになりましたね。今の話みたいに娘が喜んでくれるし、家族のためにという気持ちがすごく強いです。やっぱり大変な仕事もあるんですよ。これはキツイなあって。でも、そういう仕事も全部子どものためになると考えられるようになったので、妻と娘2人には感謝しかないです。
――今の花江さんの原動力?
もちろん、一番の原動力ですね。
■取材・文/鈴木康道
撮影/後藤壮太郎
花江夏樹、娘が生まれ仕事への向き合い方が変化 幼い娘の父として見た「プリキュア」の魅力を語る
2022年9月23日