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「マジェプリ」「弱虫ペダル」プロデューサーが振り返るTOHO animation10年の歩み「チャレンジングなスタートだった」

MOVIE WALKER PRESS

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「マジェプリ」「弱虫ペダル」プロデューサーが振り返るTOHO animation10年の歩み「チャレンジングなスタートだった」

東宝が2012年に設立し、今年で10周年を迎えたアニメーションレーベル「TOHO animation」。現在、アニメファン、視聴者への感謝を込めて、1年間にわたるTOHO animation 10周年プロジェクトを実施中だ。9月25日(日)には大型配信番組「TOHO animation 10周年 大感謝祭」がTOHO animation公式YouTubeのチャンネルで無料配信される。今回、レーベル立ち上げ時から在籍する製作プロデューサーの山中一孝、宣伝プロデューサーの下山亮に、製作、宣伝チームそれぞれの視点から、TOHO animationの10年間の歩みや想い入れのある作品、「大感謝祭」における見どころまでたっぷり語ってもらった。

■「期せずしてオリジナルから始めるという、なかなかチャレンジングなスタートになったなと」(山中)

――最初に、お2人がTOHO animationにどう携わってこられたのかを教えてください。

山中「私は2012年にTOHO animationが発足したタイミングから、製作のプロデュースという形で関与しています。現在は室長という立場で、現場を統括して見ています」

下山「僕は2013年4月に放送開始した、TOHO animationの第1作となる『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』の宣伝から担当しています。以来10年、様々な作品の宣伝プロデューサーとして携わっており、現在はテレビアニメの宣伝チームの統括リーダーとしての業務にもあたっています」

――「映画ドラえもん」や「劇場版ポケットモンスター」などの数々のヒット作を送りだしてきた東宝が、当時、改めてアニメ事業室を設立するにあたっては、どのような意図があったのでしょうか?

山中「実は『ドラえもん』に関しては、我々はあくまでも映画配給会社として配給をやらせて頂いているだけで、製作者ではありません。また、『ポケットモンスター』や『名探偵コナン』は、一部少額出資しているものの、我々がメインとなってアニメーションを作って世に送りだしているということではなかったんです。厳密に言うと、80年代の『タッチ』などは東宝が作っていたんですけれども…。つまり、東宝の映画のラインナップのなかで、我々が主体的に手掛けたアニメーション作品というのは、当時はなかったんです。
そのうえで、いま、我々がいる映像事業部は、劇場パンフレットや劇場販売グッズの制作、ビデオパッケージを販売、レンタルするチームでした。当時は深夜帯のアニメーションは基本的にパッケージで収支を成り立たせる構造だったので、アニメ事業室を立ち上げるにあたっては、我々がアニメーションの分野に製作という形でタッチしようということになりました」

――アニメーション製作に本格参入する際の最初の作品に、テレビアニメ『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』を選ばれた理由は?

山中「これは明確に『ここからスタートするぞ!』ということではなくて、どちらかというと、編成のなかで偶然決まったという感じなんです。ただ、期せずしてオリジナルから始めるという、なかなかチャレンジングなスタートになったなと思っています」

下山「当時は僕自身、実写映画やそのBlu-ray、 DVDの宣伝はしてきたんですけれども、テレビアニメの宣伝の経験がほぼなかったんです。なので、テレビアニメはどういうアプローチをしていけばいいんだろう?とすごく考えながらやっていました。

それと、レーベル立ち上げ当時はちょうどロボットアニメがあまり放送されていなかった時期で、僕らとしては『『マジェプリ』をロボットアニメとして久々に打ち込むぞ!』という意気込みだったんですけれど、なんと同じ2013年4月クールに『革命機ヴァルヴレイヴ』と『翠星のガルガンティア』という2作品のロボットアニメもあって。『わあ、これは大変だぞ』と思ったのを覚えていますね(笑)。

ただ、結果、作品自体をファンの方にすごく喜んでいただけて、『マジェプリ』独自の色を出せたと考えています。それはアニメ本編が本当にすばらしかったからなんですけど、そこをうまく盛り上げようとチームで色々と工夫をしていました。オリジナルものであり、スタートの作品だったこともあって、当時のことはとても印象に残っています」

■「『弱虫ペダル』はいまのレーベルの礎になった作品だと思っています」(下山)

――ちなみにTOHO animationが、この10年間で手掛けられてきたテレビシリーズ、劇場公開作は何タイトルくらいになりますか?

下山「テレビアニメは70作品前後ですね。総集編としての劇場版などもあったりするんですけれど、映画と合わせて100くらいにはなっています」

山中「テレビアニメはその中にはシリーズで継続されているものもカウントされていますね。おかげさまで、弊社のアニメは比較的、単発の作品というよりは、シリーズ化しているものが多いという印象は持っています」

――TOHO animationとして、特に大きな手応えを感じられた作品は?

山中「かなりいろいろな作品があるので、1作を選ぶことはできなくて、ぜんぶ血肉になっていると思うんですけれども…。例えば、『ハイキュー!!』や『血界戦線』ですね。アニメ制作会社のオレンジさんと作ったフルCGの『宝石の国』も印象に残っています。

TOHO animationとしての“型”みたいなことで言うと、『僕のヒーローアカデミア』は劇場とテレビをうまく使いながら、シリーズを広げていくやり方で、いいものになっているのではないかと思います。『呪術廻戦』や『SPY×FAMILY』は、社会的な反響もだいぶ大きくなってきていますので、我々がこれまで見てきた地平線とは違う、世の中に影響を与えているという実感を持っています」

――そのほかにも、お2人にとって、個人的に印象深い作品はありますか?

山中「僕らは2013年10月クールの『弱虫ペダル』を、製作と宣伝でずっと一緒にやってきました。TOHO animationのなかで、わりと早いタイミングで世に出ていった作品だったので、いろいろあったなあと思い出されます。劇場版や総集編の展開、イベント開催など、多岐にわたって、いろんなことをやらせていただいているタイトルでもあり、イベントをやる時はこうだよね、総集編やる時はこうだよね、といった雛型を作れたタイトルだったと思います」

下山「『弱虫ペダル』の原作は、秋田書店さんの『週刊少年チャンピオン』での人気作です。自転車ロードレースという、もちろんコアなファンはいるものの、まだ世間一般的にはそれほど知られていなかった競技を題材にしているなかで、アニメーションでどういう描き方ができるかについて、鍋島修監督とアニメ制作会社のトムス・エンタテインメントさんをはじめとする皆さんと協議を重ねながらやっていました。製作チームはすごく試行錯誤しながら作り上げていったと思っています。
しかも、1期目は3クール(38話)からスタートしましたので、かなりめずらしい長期シリーズだったんですよね。その後の2期が2クール(24話)。要するに、ひとつの“1年生編”が終わるまで、5クール使っていたんです。このロングスパンの作品を、宣伝としてどういうふうに盛り上がりを作っていくか?というのに苦心しました。放送前、放送期間中と、ファンの熱量、反応をしっかり見ながら、すごく考えてやっていたのを覚えています。

テレビアニメと映画、映像エンタメを観るという点は一緒なんですけれども、やはりお金を払って劇場で観るのと、テレビアニメでずーっと継続しながら観るのとでは、構え方や没入の仕方が違うと思うんです。テレビアニメのファン、視聴者の方々に、どうやったら楽しんでもらえるのかを、すごく勉強させてもらいました。映像や宣伝、イベント、グッズも含めた施策を展開した時のリアクションが“ドン!”と出るのもうれしかったです。もうすぐ10月から5期が始まりますが、いまのレーベルの礎になった作品だと思っています」

■「『こういう作品もあるんだ!』というところを、皆さんで一緒に1日楽しんでいきたい」(下山)

――「10周年大感謝祭」のプロジェクトは、いつごろから考えられていたのですか?

下山「昨年くらいから、弊社内で、『そういえば2022年って、もう10周年になるよね』という話はしていて。アニメのレーベルという面で言うと、10年ではまだ新参者だと思いますし、10年くらいでおこがましいよ、という気もしないでもないんですけども(笑)、やはりこの10年走ってこられたのはファンの皆さま、視聴者の皆さまのおかげなので、『感謝を伝えましょう!』というのが、このプロジェクトのテーマになります。

僕らとしては、より多くの人に伝えるという意味で、配信を中心としたイベントをやりたいという想いがありました。おかげさまで、YouTubeのTOHO animationのチャンネルが200万人を突破するなど、ご好評を得ていますので、そこを媒体として、しっかりやっていこうと考えています。いま、まさに内容、細部をつめている真っ最中です。
たぶん、レーベル全体で見ている方よりも、やっぱり作品単体で見られるお客さんが多いと思います。だから、今回はTOHO animationというレーベルを媒介として、いろんな作品を知ってもらう機会にもなればいいなと。『あ、こういう作品もあるんだ!』というところを、皆さんで一緒に1日楽しんでいきたいと思っています」

――多彩なコーナーがあるなかで、お2人が特に楽しみにしているものは?

山中「いまは現場に任せているので、僕自身は『弱虫ペダル』を担当していないんですけれども、だいぶ間が空いて5期が始まるので、久しぶりのキャストさんのトークやお客さんの反応を非常に楽しみにしています。」

下山「うちのレーベルの歴代の作品で言えばコレ!というのを視聴者の皆さんからTwitterで投稿していただくコーナーをリアルタイムで設けているので、どんな声が届くんだろうとか、皆さんが好きなアニメはなにかなとか、すごく興味があります。懐かしの作品でも、現在進行形の新作でもいいですし、ぜひ熱いメッセージの投稿をお願いします!」

■「製作、宣伝共に、“真心込めて、丁寧に”という感じですね」(山中)

――作品によってカラーは違ってくると思いますが、TOHO animation全体として、アニメ製作、宣伝で、それぞれ大切にしていることはなんですか?

山中「大事な作品をお預かりして、それを世のなかに広めて、より大きなムーブメントを起こすというのが、映画配給会社としての務めだと思っています。そして、同じDNAはTOHO animationのなかにも当然強くあります。製作側としては、原作ものであれば、作品のエッセンスを理解して、いいものを、どこまでよく作れるか。クオリティには非常にこだわって作っていくべきだと思っていますし、そこはこれまでも意識してやってきた部分ではあるかなと思っています。」

下山「宣伝面では、クリエイターのみなさん、プロデューサーの皆さんが作ったものを受け取って、それを発信するという考え方が僕は強いんです。宣伝の難しいところは、決まった正解がないことなんですよね。それぞれの作品によって色や違いがあって、例えば、宣伝の施策の数や物量が多いほうがいい作品がある一方で、わざと施策を少なくしてポイントを抑えていく、という作品もありますし。一番心掛けているのは、まず作品を丁寧に扱うということですね。
それにプラスして、テレビアニメや映画は、作品を見るだけで終わるものではないんです。そこから派生したグッズ、イベント、宣伝でもTwitterを使った企画、各媒体での記事などパブリシティの部分…様々なものを通して、作品にどんどん没入していってもらう。宣伝も楽しむポイントのひとつとして捉え、どんどん楽しんでもらおう!と考えています」

山中「製作、宣伝共に、“真心込めて、丁寧に”という感じですね(笑)」

――これからのTOHO animationが目指していることを教えてください。

山中「我々は映画会社でもあるので、やっぱり最終的に劇場で上映するという目標は常に持っていたいなと思っています。あとは、全体の数としてはまだ少ないオリジナルのアニメーションをもっと世に出していきたいですね。次の10年でチャレンジしていければいいなと思っています」

下山「この10年で、アニメを楽しむ環境はどんどん変化していますよね。テレビだけだった時期、Blu-rayやDVDが活性していた時期があり、いまでは配信で観られる方が本当に多いです。スマホゲームでキャラクターを楽しんでいただいている方もいらっしゃいますし、アニメのいろんな楽しみ方が出てきている。いまはアニメが大衆娯楽として、どんどん広がっている真っ最中なんだと思います。
また、環境の変化としては、世界中がボーダーレスになったなと感じています。より多くの人に楽しんでもらいたいという点では、海外のファンのことも制作、宣伝共に意識していると思いますね。たぶんこの先もどんどん変化があると思うので、その変化のポイントを見逃さず、しっかり適応しながら、TOHO animationとして提供する作品のおもしろさを、正しく、丁寧に伝えていきたいと思っています」

取材・文/石塚圭子

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