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松居大悟監督が令和のロマンポルノにかけた思い「男性優位の作品にしてはいけない」

日刊SPA!

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松居大悟監督が令和のロマンポルノにかけた思い「男性優位の作品にしてはいけない」

日活ロマンポルノ50周年を記念する企画「ロマンポルノ・ナウ」。新作映画3本の先陣を切るのは松居大悟監督が手がける『手』(原作・山崎ナオコーラ)だ。

◆令和の新作ロマンポルノ

モテない男を描いた『アフロ田中』(’12年)で映画監督デビューを果たした松居は“童貞色”の強い作風で知られていた。それが今年2月公開のオリジナルラブストーリー『ちょっと思い出しただけ』では、リアルな恋愛やコロナ禍での日常を切実に映し、若者から高い支持を得ている。

「これまでは自分にとって一番身近だった男の群像劇、もしくは一番遠い存在の輝いている女性たち、どちらかに偏って撮ってきたんです。それが偶然、今まで避けてきた恋愛や家族を描いた『ちょっと思い出しただけ』と『手』が同じ年に公開となりました」

◆「制約があるから、嘘のない人間の交流が描けた」

本作はおじさんの写真をコレクションするのが趣味のさわ子(福永朱梨)が、年の近い同僚の森(金子大地)との恋愛を通して変わっていく様子が描かれている。

「ロマンポルノは10分に1回は性的描写を入れるのがルール。そうした制約があるからこそ、嘘のない人間の交流が描けたと思います。愛し合っているのに、布団やバスタオルで不自然にからだ全体を隠さなくていい(笑)。

だから、声を潜めた会話だったり、じらし合いだったり、二人の恋愛模様を覗き見しているような背徳感を抱きながら、自然にラブシーンにつなげていけました」

◆「絶対に男性優位の作品にしてはいけない」心がけたこと

令和の時代にロマンポルノを撮るために強く意識したこともあったという。

「女性にも気軽に観てもらいたいので、絶対に男性優位の作品にしてはいけないと心がけました。劇中でキスをしたり、ラブシーンを描くときには『いい?』と相手の同意を得るような。

原作者、プロデューサー、そして脚本も女性なので、打ち合わせは発見の連続です。なぜおじさんがいいのかも力説されました(笑)。僕は『バイプレイヤーズ』の監督をしていましたけど、おじさんをかわいいと思う気持ちはわからなかった。それが今は一生懸命なのに隙があるところなど、こういうところがかわいいのだろうと、わかりかけています(笑)」

◆ロマンポルノだから撮れる“愛”がある

ロマンポルノはルールを守れば内容は比較的自由なため、神代辰巳や相米慎二など多くの監督が才能を開花させるきっかけとなった。

「さわ子は父の手に触れられなくなり、誰かの手を求めていたはず。僕も父に演劇や映画をあまり観てもらえなかったので、勝手に被害妄想を抱いていた。父を振り向かせたくてがんばっていたところもあったんです。

だから家族を作品で描くことから避けてきましたが、この映画を撮れたことで、最近は面白いものになるなら成り行きにまかせようと思えてきています。ロマンポルノだから撮れる“愛”があるとわかった。『コメディ』や『サスペンス』みたいに、令和の『ロマンポルノ』は一つのジャンルになっていけばいいですね」

『手』
出演/福永朱梨 金子大地 監督/松居大悟 脚本/舘そらみ 原作/山崎ナオコーラ「手」(『お父さん大好き』文春文庫)’22/日本/ビスタ/5.1ch/99分/R18+

【映画監督・松居大悟】
’85年、福岡県生まれ。劇団ゴジゲン主宰。’12年『アフロ田中』で映画監督デビュー。主な作品は『私たちのハァハァ』(’15)『バイプレイヤーズ』(’17-’21)『くれなずめ』(’21)など

取材・文/ヒナタカ 撮影/志村 颯

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