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なぜアメリカでは、死刑囚が処刑前に好きな食事を頼める「最期の食事」が導入されるようになったのか?

カラパイア


 アメリカには、死刑囚が処刑直前に、希望の食事をリクエストできる「ラスト・ミール(最期の食事)」という制度がある。

 最期の食事といえば、イエス・キリストの「最後の晩餐」が思い浮かぶが、ラスト・ミールはこの出来事が由来なのだろうか?

 とある学者の説によるなら、意外にもこの習慣は古代ギリシャ時代までさかのぼるそうだ。

死刑囚が幽霊になって化けてこないための儀式

 最後の食事というと、磔刑になる前にイエス・キリストが食べた”最後の晩餐”を想像する人も多いだろう。

 だがジョージア州のマーサー大学の研究者が2014年に発表した論文によるなら、この習慣はキリスト教以前のギリシャにまでさかのぼる可能性があるという。

 論文ではこう説明されている。
古代ギリシャでは、処刑される人に食事を与えねばならなかった。そうすれば、ステュクス川(日本で言う三途の川)を渡って冥界に行くことができる。飢えた幽霊となってこの世に戻ってこないようにするためだ
 処刑された人が空腹の為に化けて出てこられては、いかに豪胆な処刑人も嫌だろう。それを防ぐために、ちょっとした食事で済むのなら安いものだ。

ヨアヒム・パティニール作『ステュクス川を渡るカロン』プラド美術館所蔵(1515年 – 1524年) / image credit:public domain/wikimedia

 論文によるなら、当時のこの習慣は、アメリカに渡った清教徒たちによって新大陸に伝えられたようだ。

 マサチューセッツの清教徒たちは、死刑囚のために盛大な祝宴を開いたという。それがキリストの”最後の晩餐”を模倣し、社会と死刑囚の罪滅ぼしになると考えたからだ。

photo by Unsplash

州によって最後の食事に違いがある

 なおアメリカでは州によって、最期の食事(ラスト・ミール)の内容に違いがある。そもそも死刑が禁止されている州もある。

 たとえばテキサス州では、最期の食事が禁止された。

 2011年に死刑になった白人至上主義者ローレンス・ラッセル・ブリュワーが、大量の食事を注文したにもかかわらず、一口も食べなかったことがきっかけだ。

処刑されたローレンス・ラッセル・ブリュワー
 アリゾナ州では、死刑執行の14日前までに希望の食事を記した注文書を提出することになっている。州当局には、この希望を叶えるべく合理的な努力をする義務がある。

 一方、フロリダ州では、食材は地元で入手できるもので、注文できるのは40ドル(1ドル/142円換算で、5700円)までと決まっている。日本の物価感覚では、それなりにいい食事が楽しめそうだが、インフレが進むアメリカではどうだろうか?

 幽霊にならない儀式として始まった最期の食事だが、現実問題としては、これから殺される人に慈悲を示すという側面が強かったのではないだろうか?

 なお日本では、死刑囚に当日の朝まで死刑執行の予定は知らされず、午前中に執行されてしまうので最期の食事のような制度はない。ただし、刑務所によっては普段の食事がおいしいところもあるようだ。

References:US News: The real reason why death row inmates get a last meal before execution / written by hiroching / edited by / parumo

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