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我が子の顔を見た瞬間、ゾッとした…。女遊びする夫を震え上がらせた、後妻の罠とは

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我が子の顔を見た瞬間、ゾッとした…。女遊びする夫を震え上がらせた、後妻の罠とは

「マイ・キューティー」

13歳上の夫は、美しい妻のことを、そう呼び溺愛していた。

タワマン最上階の自宅、使い放題のブラックカードに際限のないプレゼント…。

可愛い妻は、その生活を気に入り満足していた。

だが、ある女の出現で夫婦の生活は一変することに…。

今回は『キューティワイフの逆襲』、その後のお話…。

◆これまでのあらすじ

夫・英治の浮気が原因にもかかわらず、慰謝料ゼロで離婚した里香。ビジネスで再起を果たした彼女は、コンペで英治を叩きのめす。

▶前回:離婚後も嫌がらせを続ける元夫。見下されていた妻が仕掛けた、静かな復讐



浮気夫に訪れた悲劇


「ど、どういうことだ…?」

英治は、テーブルに置かれた書類をぐしゃぐしゃに握りつぶした。足下にあったゴミ箱をガンッと蹴り上げる。

デスク越しに立つ新入社員ふたりと、彼らの上司であるプロモーション担当の部長が、ビクッと体を震わせた。

「社長、申し訳ございません。ですが、あんなショボい自治体のPR案件なんて、大したお金にもなりませんし、そこまで気にする必要はないかと。今度の大手不動産会社のPR案件の方が、よっぽど…」

部長がその場を丸く収めるためにペラペラとしゃべり出した。その様子が、余計に英治の癪に障ったようだ。

「ショボい案件さえ、お前たちは勝てないのか?こんなの楽勝って言ってたのは誰だ!」

ふたりの新入社員の視線が、同時に部長の方を向く。ここで部長の方を見てしまうあたり、社会経験の少なさを物語っている。

慌てた部長が、深々と頭を下げた。

「申し訳ございません。なぜこの案件にこだわるのか…」

「うるさいっ!」

― あの里香に負けるなんて、あり得ない。

こみ上げてくる怒りを抑えられず、部下を怒鳴りつけてしまう。感情をコントロールできないほどに、英治は怒り狂っていた。

82点と、68点。何度も、この2つの数字がフラッシュバックする。

里香の82点は、候補者の中で最高点。英治の会社の68点は、最低点だった。

「出て行け。早く出て行けっ」

英治は、部下3人を部屋から追い出した。



止められない女遊び


「急に何よ。どうしても今晩会いたいなんて、ずいぶん強引なんだから」

その夜。

行きつけのバーのカウンター席に座り酒を煽っていると、智美が憎まれ口を叩きながらやって来た。

智美は、英治の今一番のお気に入りだ。数ヶ月前にホテルのラウンジで声をかけてから関係が始まった。

「今日は酔いたい気分なんだ。付き合ってくれよ」

智美の体をグイッと引き寄せ、ウィスキーを一気に喉に流し込む。



「何があったか知らないけど。まあ付き合ってあげるわ」

「飲んだら行こうか」

英治の言葉に、智美はわざとらしく困った顔を見せ、そのあと伏し目がちにワイングラスを見つめた。

彼女が見つめるグラスに注がれたフルボディの赤ワインは、濃いガーネット色。

スタイリストとして働く智美の、スタイリッシュな印象によく似合う。

前妻の里香と別れて一緒になった現在の妻である春奈は、年齢的にも精神的にも若すぎたと反省した。

遊び相手のつもりで手を出した春奈が、本気になってしまったのは英治の誤算だった。

だからこそ今度は、遊びだと割り切ってくれる自立した大人の女性を選んだのだ。

「少し酔ってきたかも」

こちらを向いた智美の目は少し赤く、とろんと潤んでいる。

「行こうか」

英治は席を立つのと同時にスマホを立ち上げ、定型文をコピペして送信してからホテルへと向かった。





22時。

『急遽仕事の関係で帰れなくなった。ごめんな』

英治からのメッセージを見た春奈は、「また女ができたのね」と、哺乳瓶片手につぶやいた。

スマホを置き、再び寝室で泣き叫ぶ娘のためにミルクを作る。

10ヶ月になった娘のまゆは、まだ睡眠は安定しておらず、3時間おきに起きてしまう。

英治は遊び歩いてばかりで手伝ってくれることなどないから、春奈はひとりで子育てをしている。

「でも別に良いのよ…。一緒に育ててもらうことが目的じゃないんだから」

水でミルクを冷ましながら、目の前の大きな窓を眺めた。

窓の外には、まるで上空から東京を見下ろしているような夜景が広がっている。選ばれし者だけが見ることができる景色だ。

「私、うまくやったわ」

春奈は誇らしい気分になった。

英治にターゲットを決めた理由。

それは、彼がとても裕福で、簡単に騙せそうだったから。

何の罪もない前妻には悪いことをしてしまったが、離婚後ビジネスで成功したようだし、結果オーライだろう。

そろそろミルクも冷めたようだ。ミルクを持って寝室に戻る。

「まゆちゃんの“パパ”は、今どこで何をしてるんだろうねえ」

春奈は、娘に向かってポツリとつぶやいた。



― 収穫なし。つまんねーな。

ある土日。ホームパーティーに参加した英治は、ひとり寂しく部屋を後にした。

今日はタイプの女がゼロだった。タイプではなくとも、春奈のようにすり寄ってくれば相手くらいしてやるのに、今日はそんな女もいなかった。

どこかで一杯飲んでから帰ろうか。

そんなことを考えながら、ホームパーティーの会場となったマンションのエントランスを出たところで、声をかけられた。

「あの…。春奈の旦那さんですよね」



声の方を振り返ると、そこには学生のように野暮ったい格好をした若い男が立っていた。

「そうですが」

人様の嫁を呼び捨てにするなんて非常識なヤツだ。まともに取り合う必要もないだろう。

ムッとした英治は歩みを止めることなく、その場を立ち去ろうとする。

だがその男は、早足の英治を追いかけるように隣にくっついてきた。

「何ですか?」

厄介なことに巻き込まれては面倒だと、英治は彼を睨みつける。

するとその男は、何の脈絡もないことを話し出した。

「春奈、子ども産んだんですよね」

世間話でもするつもりなのだろうか。何が目的なのかわからず、英治の神経はチクチクと刺激される。

「ああ、そうだ。それが何だ?」

「そうですか。僕、あなたと春奈が結婚する直前まで付き合ってたんですよ。突然彼女から別れを告げられたんです。あなたと結婚するからって。正直、理解不能でした。お子さん、大事にしてくださいね」

フッと薄気味悪く笑った男は、その場を立ち去った。

“結婚直前まで春奈と付き合っていた”

この言葉が、英治の脳にこびりついて離れなかった。





「ただいま」

「あら早かったのね。まゆの世話で夕食の準備、何もできてないの」

さっきの男の言葉が妙に引っかかった英治は、これ以上お酒を飲む気にもなれず、タクシーを拾って足早に帰宅したのだ。

― まさかな。

英治は、何かを確認するように、そろりそろりと、まゆに近づいた。

「まゆ、元気にしてたか」

英治は久しぶりに、娘の顔をまじまじと見つめる。

赤ちゃんなので、まだ顔がぼんやりしていると思っていたが、10ヶ月になりずいぶん目鼻立ちがはっきりしていた。

まゆは、大きな二重の自分と春奈から生まれたとは思えないほど、糸のように細い目をしている。

春奈は、実は整形美人だったのかもしれない。そんな邪推で、英治は不安や疑念の心を押しつぶす。

だが、目の前のまゆが笑った瞬間。英治は思わず息を呑んだ。背筋がゾクゾクっと凍りつく。

まゆの笑った表情が、先ほど声をかけてきた男にそっくりだったのだ。

英治は動揺を悟られないように、春奈に話しかける。

「なあ、春奈。まゆの血液型は何だっけ?」

英治も春奈も、O型だ。2人の間からはO型以外の子どもが生まれるはずはない。

「さあね。最近はね、生まれてもすぐに調べてくれないのよ」

キッチンに立つ春奈は、ティーポットにお湯を注ぎながら答えた。何が楽しいのか、彼女はニコニコしている。

そしてふと顔を上げたかと思うと、英治の目をじっと見つめ、瞬きひとつせずにこう言ったのだ。

「まゆの血液型、私、一生調べるつもりないけどね」

不敵な笑みを浮かべる春奈に、英治の体がカタカタと震え出す。

思い返せば、春奈は「妊娠した」とは言ったものの、英治の子を妊娠したとは言っていない。

「嘘だろ、嘘だろ…」

心臓がバクバクと音を立てて、変な汗が体中から吹き出す。

「ちょっと出かけてくる」

「帰ってきたばかりなのに?まゆちゃん、“パパ”、また出かけるんだって」

春奈がまゆに話しかけるのを聞きながら、英治は玄関に向かう。

そして外に出ようとドアノブに手をかけた時、ポケットに突っ込んだスマホが振動した。

『私、妊娠したみたい』

智美からのメッセージに、英治は「誰の子だ」と、思わず漏らした。

Fin.


▶前回:離婚後も嫌がらせを続ける元夫。見下されていた妻が仕掛けた、静かな復讐

▶1話目はこちら:「噂通り、頭が悪いんですね」突然家に来た夫の浮気相手に挑発された妻は…


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