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10年前は”つらい・苦しい・死にたい”だった…トランスジェンダーの取り上げられ方の変化:チェイサーゲーム

テレ東プラス


木ドラ24「チェイサーゲーム」(毎週木曜深夜0時30分放送/テレビ東京系)で、トランスジェンダー男性の渡邊凛を演じている若林佑真さん。実際にトランスジェンダー男性である若林さんは、俳優だけでなく、舞台プロデューサー、ラジオパーソナリティなどとしても活動している。精力的に活動する上での原動力、これからの目標、そして、どんな人も生きやすい社会にするために出来ることなどについて語ってもらった。

家族へのカミングアウト


――インタビュー【前編】では、最初に親友にカミングアウトした時のことをうかがいましたが、ご家族へのカミングアウトする心境はまた違いましたか?

「まったく違いましたね。人により考え方は違うとは思いますが、僕は家族と死ぬまで付き合っていくと思っているので、他の場所で受け入れてもらったとしても、家族に受け入れてもらえないと息苦しくなってしまう…だから、めちゃくちゃ緊張しました。

母親と姉は受け入れてくれて。でも、父親には直接言えなくて、便箋7枚の手紙を書きました。両親が離婚して父親とは一緒に暮らしていなかったので、二十歳の誕生日の日に茶封筒に手紙を入れて、父の家の玄関に置いていきました。その後、父親から『自殺するのかと思ってビックリした』と、すぐにメールが来ました。家のドアを開けたら玄関に”父へ”と書いた茶封筒が置いてあって驚いたみたいでしたけど、内容を見て、父も『なんだ、そんなことだったのか』という反応でした」

――カミングアウトして、何が変わりましたか?

「嘘をついていないというか、自分自身として生きられるようになりました。胸を切除する手術をしたり、ホルモン注射をするのは体に負担がかかるので、人から『寿命が縮まるよ』と言われることもありましたが、”幸せ度”は確実に増しました」

――周囲の変化はあったのでしょうか?

「全然変わらなかったです。カミングアウト前の高校時代の友達は、女性の時の名前で呼んでくる子もいるんですが、外で呼ばれると『恥ずかしいわ~』と思うくらい(笑)。カミングアウトして友達がいなくなったり、いじめられたりということは、ありがたいことに一度もなかったです」

――若林さんのようにカミングアウトできるケースは、珍しいのですか?

「人それぞれですね。中には、親にまったく受け入れてもらえない人もいますし、みんながみんな、すんなり受け入れられているとは言えない状況ではあります」



ジェンダーの考え方に対する変化

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――今、ジェンダーの考え方は大きなテーマになり、若林さんのような当事者の方からの発信も増えています。

「これも、考え方は人それぞれなんです。僕が、トランスジェンダー男性として表に出て活動を始めた時、同じトランスジェンダーの友達に『マジでやめてくれ』と言われたことがあって。世の中に男性と女性以外の人間がいると知られたら、自分がトランスジェンダーということが周りにバレてしまうから、と。

中には、”埋没”といって、誰にも言わずに生活している人もいるんです。そういう人たちにしてみれば、世の中に声を上げることがすごく嫌だという方もいると思います。戸籍も変えて結婚して家族もいるのに、自分がトランスジェンダーだとバレたら、家族に迷惑をかけるかもしれない。絶対に守り抜かなければいけないものを持っている人もいるので、一概に世の中に出て発言することが良いとは言えないんですよね。

僕もカミングアウトすることが全てとは思っていません。ただ、なぜ隠したいかというと、そもそも言う必要がないということもありますが、中には、声を上げてバレると偏見を持たれたり、差別されたり嫌な目に遭うかもしれないと思っている方もいます。それって差別する側が悪いわけで、トランスジェンダーであることは悪くない。僕は、世の中にはいろんな人がいると知ってもらうことが大事なんじゃないかと考えて、今の活動をしています」

――ジェンダーの考え方についてメディアにも多く取り上げられるようになって注目度が高まっていることを、どのように感じていますか?

「取り上げられ方が変わってきているのは感じます。僕が大学生だった10年前、トランスジェンダーの人の話はドキュメンタリーでも”つらい・苦しい・死にたい”の3拍子で扱われることが多い印象でした。トランスジェンダーのであるが故に、苦しい思いをしている方ももちろんいますが、苦しんでいる人ばかりではないので、”つらい・苦しい・死にたい”だけではない取り上げられ方が出てきたのは、うれしいです」

――LGBTQ(セクシャルマイノリティ)に対する理解が広がったとはまだ言えないかもしれませんが、少しでも良い方向に向かっていると思われますか?

「まだまだ、という部分は正直あります。しんどい思いをしている人や、愛する人と結ばれることができない人もたくさんいますし。これから前に進んでいけるように、僕も頑張っていきたいです」

――若林さんの今後の目標、やりたいことを教えてください。

「いろいろあります。トランスジェンダー女性、ドラァグクイーン、ゲイの方は多いですが、僕と同じトランスジェンダー男性でメディアで活躍されている方って数少ないんです。なので、これからタレントや俳優として活躍していけたらと思っています。出演するだけでなく、映画、ドラマ、舞台をプロデュースする側としても作品を作っていきたいですね。あと、今、筋トレしているので、最終的には筋肉雑誌の表紙を飾りたいなと(笑)」

――ということは、筋肉バキバキになってるんですか?

「まだバキバキまでは行かないんです。女性として生まれているので、骨盤が広くて。それが目立たないように、逆三角形の体になるように頑張ってます。だんだん近づいてきましたよ」


――私はシスジェンダーで、LGBTQのことがまだよく分かっていません。自分なりに考えてはいますが、当事者の若林さんから、考えるヒントを伺いたいです。

「企業の研修で話をすることもあって、『トランスジェンダーの人にカミングアウトされたら、どういう反応をしたらいいんですか?』と、よく聞かれます。そういう質問に対して僕は『あなたの大事な人から”ちょっと話がある”と言われることを想像してみてください。その人が、身も心も震えてあなたの所にやってきて、”ずっと隠していたんだけど、実は左利きなんだよね”と言われたら、どうしますか?』と言います。『なんだ、そんなことか』と思うじゃないですか。そういう捉え方になったらいいなと。

ただし、LGBTQの話はまだまだセンシティブな問題ではあるので、一概に、この対応が正しいとも言えません。どうしたらいいのかと気を遣うよりは、分からないことは当事者に聞いていいと僕は思います。もしも傷付けてしまったら『勉強不足でごめんね』と言えばいいですし、トランスジェンダーの人にはこういう向き合い方をすればいい、ということではなく、それぞれの”相手”に応じた向き合い方がいいのかなと思います」

――相手の身になって、構えず正直に向き合うことを心がけてみます。ジェンダーのことに限らず、それぞれが自分らしくいられる多様な生き方が許される世の中であってほしいです。

「本当に、ジェンダー関係なく、すべてにおいて言えることですね。中学生や高校生に授業をすることもあるんですが、いつも『本来他人は、あなたの好きなもの、性自認、見た目を否定できないんだよ』と話しています。理想論かもしれないけど『あなたは最高だね、でも自分も最高だね』と相手と自分を認め合えればいいなと常に思っています」

【プロフィール】
若林佑真(わかばやし・ゆうま)
1991年11⽉5⽇生まれ。兵庫生まれ、大阪育ち。トランスジェンダー男性の俳優/舞台プロデューサー。女性として生まれ、現在は男性として生活する。東京レインボープライド2016、2017ではステージパフォーマーとして出演し、脚本・プロデュースも手掛ける。映画『フタリノセカイ』(2022年)ではトランスジェンダー監修を担当。Podcast番組「元女子兄弟のオールナイト0(ZERO)ホン」などでラジオパーソナリティとしても活躍。
Twitter:@ waka61y
Instagram:@ wakabayashi.yuma

(取材・文/伊沢晶子)

木ドラ24「チェイサーゲーム」第3話は?

第3話「最初から完成された会社なんてない」
インターンとして一緒に働く事になった美羽(宮﨑優)と凛(若林佑真)。早速企画会議に参加してもらうことになったが、チームメンバーに凛がトランスジェンダーであることを話せていない龍也(渡邊圭祐)は、会議での木本(バッファロー吾郎A)の発言にハラハラしてしまう。そんな時、トイレに行くと言っていた凛がコンビニにいたという情報が。龍也が事情を聞くと思いもよらない回答が…。そして、2回目の企画会議の日、木本の声かけで集まったチームメンバー以外の社員がいる中、凛は自分がトランスジェンダーであることを話す。

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