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土星の環と傾きの秘密。太古の失われた月「クリサリス」の影響であるという説が浮上

カラパイア

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 太陽系の中では木星に次いで2番目に大きな惑星「土星」は不可解なことに傾いている。これまで、この傾きは海王星の重力が原因であるとされてきた。

 しかしマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループは、かつて土星には「クリサリス」という、地球の月のような存在である衛星が存在し、これが近づきすぎて消滅したことが原因とする新たな説を打ち出した。

 この仮説は、土星が傾いている原因だけでなく、環の起源も明かしてくれるかもしれない。

 土星本体よりも環の方がずっと若い理由は、クリサリスが起源であると考えれば、うまく説明することができるという。

土星の傾きの謎

 不思議なことに土星は傾いている。太陽との公転面に対して26.7度の傾きがあるのだ。

 この傾きは海王星に合わせるようにして回転(歳差運動)しているため、海王星の重力が原因であるとされてきた。

 ところがその後の研究によって、大昔はシンクロしていたとしても、今では土星は海王星の重力から逃れていることが明らかになっている。

 だとするならば、一体土星の傾きは何によるものなのだろうか?

photo by iStock

土星を海王星の重力から解放し、傾きを残した衛星「クリサリス」

 『Science』(2022年9月15日付)に掲載された研究では、かつて存在したもう1つの衛星が原因であるという新たな仮説が提唱されている。

 その衛星「クリサリス」は、1億6000万年前に土星に近づきすぎて粉々になった。それは非常に荒々しい最後で、土星は永遠にかたむくことになったというのだ。

 そもそも土星はどうやって海王星の重力から脱出することができたのか?

 研究グループはその原因を探るために、土星の歳差運動(回転するコマの軸の動きを想像するといい)を数学的に検証した。

 その結果、土星の衛星の1つ(なお現時点で、土星には83個の衛星があることが知られている)が消滅すれば、海王星の重力から逃れられることが突き止められた。

 クリサリス(サナギという意味)と名付けられたこの仮説上の衛星は、数十億年にわたり土星を公転しながら、海王星と重力の引っ張りっこしていた。

 その大きさは、土星で三番目に大きな衛星「イアペトゥス」くらいだったと考えられている。

 ところが2億~1億年前のある時、クリサリスは不安定なコースに乗ってしまう、イアペトゥスやタイタンと何度も接近し、最後は土星に近づきすぎて粉々に引き裂かれた。

 これによって土星を海王星の重力から解放し、現在見られる傾きを残したのだ。

image credit:CC0 Public Domain

クリサリスの破片が土星の環に生まれ変わった可能性

 この仮説は、土星の傾きだけでなく、土星の環が形成されたストーリーをも語ってくれるかもしれない。

 粉々になったクリサリスの破片は、ほとんどが土星に衝突したと考えられている。だが一部は土星軌道にそのまま残り、やがて小さな氷になって土星の環に生まれ変わった可能性がある。

 もしこれが本当なら、1億歳とされる土星の環が本体よりずっと若い理由も説明できるだろう。

 「ちょうど蝶のサナギのように、長きに渡り眠った後で、突然活動し始め、環が出現しました」と、研究の主執筆者ジャック・ウィズダム教授は語っている。

References:Saturn’s rings and tilt could be the product | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo

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