top_line

【 最新ニュースをアプリでサクサク読むなら! 】

私が大好きだった少年…「彼の隣には今だれがいるのだろう」

幻冬舎ゴールドライフオンライン

×

※本記事は、大津珠実氏の小説『ぼくのカレーライス』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

雲と少年

彼はしゃべれなかった。私と話すときはいつも空書きかジェスチャーをつかっていた。土手の階段の半分ぐらいのところに二人で座り、空に向かって彼が人差し指で一文字ずつ言葉をかいていく。

ある夏の日、空に向かって、

「あ、い、す」

そう書いて私の方を見つめる。

広告の後にも続きます

「アイス……アイス食べたいの?」

と聞くと彼は首を横に振る。

彼の眼差しの先に私も視線を合わせると、そこには真っ白でモコモコと膨れあがったわた雲が浮かんでいた。

「あ~、ほんとだ、アイス……。ソフトクリームみたい!」

と私が思わず子どものような声ではしゃいで彼の方を見ると、うれしそうにニコッとはにかむ。

私は大きなソフトクリームの雲の下に右手をグーにしてコーンの部分を作り、空にかざした。

  • 1
  • 2

TOPICS

ジャンル