変化球を武器に8回無失点と好投した佐沼の先発・佐藤稜樹
<第75回秋季東北地区高校野球宮城県大会:佐沼1-0日本ウェルネス宮城>◇18日◇2回戦◇鹿島台中央
ベスト16のうち13校が県立、市立と、公立校の躍進が目立つ第75回秋季東北地区高校野球宮城県大会。そのうちの1校で、昨秋に続くベスト16入りを果たした佐沼は、春夏ベスト8の強敵・日本ウェルネス宮城相手に接戦を勝ち切り、価値ある1勝をもぎ取った。
佐沼は初回から日本ウェルネス宮城のエース・三浦真之介投手(2年)相手に連打で2死一、二塁の好機をつくるが、5番・千田 大翔外野手(2年)は二ゴロに倒れる。2回は3四球で2死満塁とすると、2番・津藤隼捕手(2年)の打球が相手遊撃手の失策を誘い、1点を先制した。その後も4、5、9回に得点圏まで走者を進めたが本塁は遠く、追加点を奪い楽な展開にすることはできなかった。
息の詰まる状況で好投したのが、1回戦に続き先発のマウンドに上がった佐藤稜樹投手(2年)。昨秋の東陵戦で1年生ながら先発を任され、直近の練習試合でも古川学園などの強豪校相手に結果を残していた期待の右腕だ。
初回、1死から四球を出したものの無失点で切り抜けると、2回以降も凡打の山を築く。5回に1死一、二塁、7回に2死二、三塁、8回に2死一、二塁と中盤以降はピンチが続いたが、持ち前の打たせて取る投球でいずれも内野ゴロでアウトを奪い、得点を許さなかった。この日は105球を投じ、その約9割が変化球。直球はそれほど速くないものの、スライダーやチェンジアップを有効に使い、日本ウェルネス宮城の強力打線を翻弄した。最終回は背番号1の及川莉央投手(2年)が締め、完封勝利。虎の子の1点を守った。
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この日は守備機会の多かった遊撃手・阿部裕太郎内野手(2年)をはじめ、内野の守備力も光った。佐藤は「変化球を低めに集めることができた。後半はコントロールにばらつきが出てしまったが、バックに助けられて8回まで投げ切れた」と振り返った。
次戦はまたしても私立の強豪・東北と対戦する。昨秋の2回戦でも当たり、0対10でコールド負けを喫した相手だ。松井康弘監督は「公立の意地を見せたかったのですごくうれしい」とこの日の勝利を喜びつつ、「去年の借りを返したいという思いでやってきた。挑戦できるチャンスをいただいたので、思い切り戦いたい」と気持ちを切り替えていた。
日本ウェルネス宮城は悔しい完封負けとなったが、2番手で5回3安打無失点と好投した新沼櫂我投手(1年)や、最終回に登板した190センチ右腕・大内誠弥投手(2年)ら、4投手がそれぞれの持ち味を発揮した。1期生が卒業し次のステップに進む新鋭校の今後が楽しみだ。
(取材=川浪 康太郎)