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『鎌倉殿の13人』に集結したミュージカル俳優 三谷幸喜が信頼する演技巧者たちを紐解く

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『鎌倉殿の13人』写真提供=NHK

 今、SNSであるタグが話題になっているのをご存じだろうか。その名も「#死ぬどんどん」。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で毎話のように主要な登場人物が討たれていくさまを朝ドラ『ちむどんどん』(NHK総合)に引っ掛け作られたタグだ。

参考:大竹しのぶ、『鎌倉殿の13人』にサプライズ登場 「おもしろさ7、深み1、あとは勢い」

 当初は父や姉、わがままな上司に振り回され、困り顔の天然モードで駆け回っていた小四郎=北条義時(小栗旬)が、源頼朝(大泉洋)なき御所で、闇のように暗い目をして謀殺の沙汰を下し、どんどん鎌倉から人が消えていく展開はなかなか厳しくそして切ない。

 ということで、ここではちょっと趣向を変え『鎌倉殿の13人』を一風変わった角度から覗いてみたい。

 第35回「苦い盃」では事前に予告等がされていなかった大竹しのぶがサプライズ登場。和田義盛(横田栄司)の館近くに逗留する歩き巫女を演じ、源実朝(柿澤勇人)に「雪の日は出歩くな、災いが待っている」と不吉な予言を与えた。これはもちろん、1219年1月に実朝が暗殺されることを示唆しているわけだが、和田や北条泰時(坂口健太郎)らが去った後、残った実朝にこのおばばが伝えた言葉が別の意味で衝撃的だった。

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「お前の悩みはどんなものであってもそれはお前ひとりの悩みではない。はるか昔から同じことで悩んできた者がいることを忘れるな」

 おばばのこの言葉にピンときた方はいるだろうか。そう、これは『鎌倉殿の13人』の脚本家・三谷幸喜が手掛け、2018年に初演されたオリジナルミュージカル『日本の歴史』へのセルフオマージュ。劇中で歌われるナンバー「INGA」の一節“あなたが悩んできたことは、いつか誰かが悩んだ悩み”をフィーチャーしたせりふだ。

 三谷幸喜といえば、数学的ともいえる緻密なせりふで紡ぐシチュエーションコメディの名手だが、じつはミュージカルにおいても深い造詣と愛情を持つクリエイター。2009年には香取慎吾、川平慈英、新納慎也、堀内敬子の出演でオリジナルミュージカル『TALK LIKE SINGING』をひっさげオフ・ブロードウェイにも進出している。それゆえか、本作『鎌倉殿の13人』の出演者にはミュージカルの舞台で活躍する俳優や、じつはミュージカルに出演歴があるプレイヤーが非常に多い。おそらくこれまでの大河ドラマの中でも群を抜くレベルだろう。思い出す限り挙げていきたい。

 まず先述のミュージカル『日本の歴史』キャストだと、壮絶な死を遂げた全成役の新納慎也とその妻・実衣を演じる宮澤エマ、巴役の秋元才加、藤原兼子を担うシルビア・グラブ、時房役の瀬戸康史(2021年の再演版のみ)が『鎌倉殿の13人』にも参加。中でも新納と宮澤は特にミュージカルへの出演が多い。また、実朝役の柿澤勇人は高校時代に『ライオンキング』を観劇したのをきっかけに劇団四季に入団し、退団後も『スリル・ミー』や『デスノート THE MUSICAL』等で主演。柿澤と上演時期は違うが、同じく『デスノート THE MUSICAL』で和田役の横田栄司は死神・リュークを演じている。

 第31回「諦めの悪い男」で半ばだまし討ちのように滅ぼされた比企一族。当主・比企能員役の佐藤二朗は福田雄一演出の『プロデューサーズ』で少々危ない男を演じ歌も披露したが、比企の妻・道を演じた堀内敬子はバリバリのミュージカル畑出身。劇団四季在籍時には『美女と野獣』や『ウェストサイド物語』、『エビータ』等の作品でヒロインを務め、退団後もさまざまな舞台に立つ。また、子ども時代の公暁に「北条を許してはなりませぬ」と呪いをかけて姿を消した比企尼役の草笛光子は『ラ・マンチャの男』日本初演版(1969年)でオリジナルキャストとしてヒロインのアルドンサを担ったレジェンド的存在だ。

 全成と実衣の子・頼全を謀殺し、何事もなかったように鎌倉に現れた源仲章役の生田斗真はジャニーズ版の『WEST SIDE STORY』や『グリース』等に出演。頼朝の弟で非業の死を遂げた義円役の成河もストレートプレイの舞台で活躍しながら『エリザベート』や『スリル・ミー』等のミュージカルでも存在感を見せつけている。さらに頼朝と一時期関係を持ったかめ役の江口のりこはオリジナルミュージカル『夜の女たち』で主演しているし、あっさり討たれた武田信義役の八嶋智人はスティーブン・ソンドハイム作曲の『太平洋序曲』に出演。義経(菅田将暉)の妻・さとを演じた三浦透子はオリジナル作品『手紙』で歌を披露した。

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