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腸内細菌は進化し、腸以外の臓器に生存する可能性が示唆される

カラパイア

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 そうなったらもう「腸内」細菌とは呼べないのかもしれない。イェール大学のグループによると、腸内細菌は腸から脱出する力を進化させ、他の内臓に潜伏する可能性があるという。

 腸内細菌の多様性は、我々の健康に大切な役割をはたしているが、腸から漏れ出してしまうと危険だ。

 『Nature』(2022年7月13日付)で発表した研究によると、腸から流出した細菌は、ほかの内臓に滞在し、やがて慢性的な炎症やこれに起因する病気を引き起こすようになるという。

腸内細菌が2つのタイプに分岐し、1種が脱出

 腸内細菌は健康状態と密接に関係していることが知られており、その多様性が良い影響をもたらすこともある一方、病原性のあるものが、悪影響を及ぼすこともある。

 そのメカニズムは完全には解明されていないが、腸内細菌が、腸から漏れ出し、慢性疾患を引き起こす「リーキーガット(腸管壁侵漏)仮説」がある。

 だが1つ謎なのは、潜在的に病原性がある細菌が、宿主を病気にすることなく数十年も存在していることだ。

 そこでイェール大学の免疫生物学者、ノア・パーム氏率いる研究チームは、腸内細菌が時間の経過と共にどう変化していくのかを調査する研究を行った。

 パーム氏らは、腸内細菌を持たない無菌マウスに、「エンテロコッカス・ガリナラム(Enterococcus gallinarum」という細菌を感染させる実験を行った。この細菌は、バンコマイシン耐性腸球菌で、人間の腸内細菌叢の6%を占めており、病原性があることで知られている。

 3ヶ月間観察したところ、その細菌は2つのタイプに分岐したという。

 1つは元の細菌株と同じようなタイプだ。だがもう1つのタイプには、DNAにわずかな突然変異が起きていた。

 腸内に住み着けるだけでなく、そこから脱出して、リンパ節や肝臓にとどまるようになったのだ。

 変異したタイプは臓器に半ば隠れるように潜伏しており、少なくとも一時的には免疫に見つからない。だが、これが長期間存在すると、やがて自己免疫疾患などの炎症性の病気を引き起こす。

 パーム氏は、病原性があるだろう細菌がいても病気にならない人がいる理由や、年齢によって病気になりやすくなる理由は、こうした現象によって部分的に説明できるのではないかと説明する。

photo by Pixabay

細菌は宿主ごとに進化し直している

 こうした腸内細菌の変化を「宿主内進化」という。パーム氏によると細菌が個体から個体へと移るとき、まず非病原性の細菌が優先されることから、この進化は新しい宿主に移るたびにやり直されていると考えられるそうだ。

 そしてこのことは、腸内細菌によって病気になるかどうかは、私たちの暮らしもまた大きな要因であることを示している。

 たとえば、健康的な食生活を送っている人の腸内では、さまざまな細菌群が形成されやすい。

 だが細菌にしてみれば、場所や資源をめぐってそれだけ多くの細菌と競争しなければならないことになる。その結果、個々の細菌グループは小さく抑えられる。その分、病原性の細菌が出現して、腸から脱出するリスクも抑えられる。

 逆に言えば、細菌の多様性が乏しくなる生活を送っていると、それだけ危険な突然変異株が増殖しやすくなるということだ。

 こうした宿主内進化が腸内細菌に与える影響を理解すれば、危険な病原菌の進化を予防したり、それが漏れ出て発症してしまった病気の治療もできるようになるかもしれないとのことだ。

References:Yale Scientists Discover How Gut Microbes Can Evolve and Become Dangerous / written by hiroching / edited by / parumo

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