【3行まとめ】
・ドラマ24「雪女と蟹を食う」第10話「嘘」をプレイバック
・北と彩女は、ついに”最期の地”と決めた稚内にたどり着く。ホテルの部屋に向かう途中、ブライダルサロンが目に入り、北は彩女が結婚式を挙げていないことを知る
・彩女の表情からウエディングドレスへの憧れを感じた北は、なんとかして彩女にドレスを着させようとスタッフに掛け合うが…
毎週金曜深夜0時12分からはドラマ24「雪女と蟹を食う」(主演:重岡大毅 ジャニーズWEST)を放送!
「テレ東プラス」では、第10話「嘘」をプレイバックする。
※下記ネタバレあり
痴漢冤罪により全てを失い、人生に絶望した男・北(重岡大毅)は自殺を図ろうとするが、あと一歩踏み切れずにいた。
テレビでグルメ番組を見た北は「人生最後の日は北海道で蟹を食べたい」と思い立ち、図書館へ。そこで見かけたセレブ妻・雪枝彩女(入山法子)に狙いを定め、家に押し入り、金を要求するが、彩女に促されるがまま情事を交わしてしまう。彩女に「私も食べたいです、蟹…」と告げられた北は、戸惑いながらも2人で不思議な旅を始めることに。
旅の途中、北は彩女が死ぬために自分についてきたこと、夫で小説家の雪枝一騎(勝村政信)との間で孤独を感じていることを知る。
北と彩女は、ついに”最期の地”と決めた稚内にたどり着いた。宿泊するホテルのロビーで、海を眺めながら「ここが日本の最北端か…。なんか、この世の果てって感じしますね。よくここまで来たな」と言う北に、どこか元気がない彩女は、「そうね」とつぶやく。
「長かったような、あっという間だったような…」
黙り込み、今までの旅を振り返る2人。思い出を噛みしめている北に、彩女は真っ直ぐ向き直り「ここまで辿り着けたのは、北さんのお陰です。ありがとうございました」と深く頭を下げる。その姿から死への強い決意が伝わってきて、やるせない気持ちになる北。
2人がホテルのロビーを歩いていると、どこからか風船が飛んできた。北が反射的にそれを手に取ると、スタッフの森(堂ノ下沙羅)が駆けてきて「すみません! 今、そこで結婚式の前撮りをしてまして」と言う。見ると、少し離れたところで新郎新婦が撮影をしていた。
北が風船を手渡すと、森は北と彩女を交互に見ながら「あの…お2人、とてもお似合いですね」と目を輝かせる。ぎこちなく微笑む彩女。
「もし今後何かございましたら、いつでもご相談…」
「俺たち、そういうんじゃないんで」
「あ、失礼しました!」
森はそう謝ると、新郎新婦の方へ戻って行った。北が「なんかいいですね」と視線を向けると、彩女はウエディングドレス姿の新婦をぼーっと見つめていた。
「彩女さん?」
「…行きましょうか」
我に返り、その場を離れようとする彩女。北が呼びかけると、立ち止まる。
「この近くに、蟹料理が食べれるお店があるんですって。蟹のフルコースが美味しいって、評判らしいです」
「…彩女さんは、何かやり残したことはない?」
「…ありませんね」
彩女はそう言って微笑むと、チェックインカウンターへ向かって歩き出す。
(ここで俺たちの旅は終わる。蟹を食べて、死を迎える。それがこの物語の結末。でも…俺は、そんな物語の結末を変えたい)
彩女の後ろ姿を、悲し気に見つめる北。
チェックインの手続きを済ませ部屋に向かう途中、何かに釘付けになって立ち止まる彩女。目線の先にはブライダルサロンがあり、きれいに飾ってあるウエディングドレスを凝視する。
「彩女さん?」
「…良いもの見れましたね。行きましょうか」
「彩女さんのウエディングドレス姿って、きれいだったでしょうね」
「どうかしら。私、式は挙げてないの」
「えっ?」
「当時はお金もあまりありませんでしたから」
「え、今なら? あんな豪邸が建って、あんなに本が出てるのに?」
「……」
「女の人にとったらさ、一生に一度の機会なんじゃないの?」
「…そうね」
北は何かを決意したようにブライダルサロンに入って行く。
「北さん!?」
誰もいないブライダルサロンで、北が「すみません、ちょっとお尋ねしたいんですけど」と呼びかけると、奥から森が驚いた様子で出てきた。
「さっきの! この人に、ここで一番良いドレスを着させてあげたいんですけど」
「い、今からですか?」
「はい。さっき、何かあったらって!」
「それは…あの、申し訳ありませんが、あと1時間で閉館となりまして…」
「本当に一瞬着るだけでいいんで!」
「こちら要予約制となっておりまして、スタイリストも今日は帰ってしまいましたし」
「お願いします、何とかなりませんか?」
彩女は「いいから、行きましょう」と北の腕をつかむ。するとそこに、ブライダルプランナーの空知(街田しおん)がやって来た。
「どうしたの?」
「空知さん! それがですね…」空知に状況を説明する森。
「あの…もうすぐ死ぬんです、彼女」
「……!」
驚く森と空知。
「だから最後に、彼女にドレスだけでも着せてあげたいんです」
「北さん、本当にもういいから…!」
「俺が見たいんですよ、彩女さんのドレス姿!」
北の真剣な眼差しに、顔を赤らめる彩女。そんな2人をじっと見つめる空知。
「今日スタイリストがいなくて、完璧なスタイリングは難しいのですが、私で良ければ少しなら…」
「ありがとうございます! 今から着れるって、ドレス!」
うれしそうな北に戸惑いつつ、彩女はそれを受け入れる。
試着室に移動した彩女と空知。
「すみません。彼が変な嘘ついちゃって…ご迷惑でしたよね」
「北海道にはご旅行で?」
「ええ…」
「じゃあ、次に来るのは当分先かもしれませんね。良かったんじゃないですか? 今このタイミングで。今あるものが未来にも必ずあるなんて保証は、どこにもないですからね」
「……」
「普通、なりふり構わずあんな嘘つけませんよ。愛されてますね」
彩女は恥ずかしそうにうつむく。
明るい光が差し込む階段の下で、不安そうに彩女を待っている北。するとバタンと扉が開く音がし、ウエディングドレスを身に纏った彩女が階段から下りてくる。
「……!」
あまりの美しさに、言葉が出なくなる北。彩女はゆっくりと階段を降りると、北に歩み寄る。
「ど、どうでしょうか?」
「え、あっ…」
「やっぱりこの歳でウエディングドレスは無理がありますよね…」
「違う、そうじゃない! すみません、すごい緊張してて…俺、彩女さんは世界で一番白い服が似合うと思う。いや、どんな色も似合うけど、もちろん…だからすごく…」
ドギマギしながら、必死で気持ちを伝えようとする北。
「きれいです…とても」
うれしそうに微笑む彩女。北は、我慢できずにキスしてしまう。階段から空知と森が見守っているため、彩女は「人が見てますから」と真っ赤になって北を押し退ける。
「た、旅の恥はかき捨てですから!」
彩女を強く抱きしめる北。だが空知は、虚しそうにうつむく彩女に気付く。
「どうかしました、空知さん?」
「う、うん…。一瞬ね、なんだかあの男の人の嘘が…あの女性が死んじゃうって話、嘘じゃないような気がしたの…」
ドレスから着替え、宿泊する部屋に入った2人。コーヒーを淹れている彩女と、それを見ている北。
(ああ…大したことは何もしてないのに、なんだかとても幸せだな)
そんなことを思いながら、北は窓際に立ち、外を眺める。
(世界に2人しかいないようで、お互いがいるだけで、特別な何かが起こらなくても。今になって俺は、いろんなものを取りこぼしながら生きてきたのだと、ようやく気付いた)
(幸せは、既にたくさん目の前にあったのに。大切な人と過ごす日常、この何気ない瞬間の中に…)
コーヒーを飲みながら、何か考え込んでいる彩女。北は彩女の手をぎゅっと握る。
(彩女さん…彩女さんもそうじゃないの? 案外蟹食って、幸せを感じられたら、死ぬことなんかどうでもよくなったりしないの? ねぇ、彩女さん…)
日が暮れ、レストランで料理を食べている2人。生気がない彩女は、食べるのをやめて、死んだ目で外の風景を見ている。その様子を注視ししながら、北は胸が苦しくなり…。
「生」に思いを巡らせる北と、「死」を強く決意する彩女。北は物語の結末を変えることができるのか?
【第11話】
彩女(入山法子)の死への決意を変えることができず葛藤する北(重岡大毅)。「明日、一緒に蟹を食べて、そして一緒に死ぬのよ」と言った彩女を思い出していると、彩女から特選蟹フルコースの予約が取れたと報告される。北は、彩女を救うため、自ら命を絶とうとしていた時のことを思い出すが、その中で自分は彩女によってとっくに救われていたことを実感し…。そして2人は、遂に“蟹を食べる日”を迎えてしまう。