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例えボイスチャットをしなくても、オンラインゲームの協力プレイで共感力が鍛えられる

カラパイア

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 ネット上で簡単に誰とでも会話できる時代となったが、それでも孤独を感じる人は多いだろう。そんなときはネットのゲームで、協力プレイをするといいかもしれない。

 フィンランドの研究グループによると、たとえ同じ部屋にいなくても、オンラインで協力プレイをするだけで、脳の同期率(シンクロ率)がアップするそうだ。

 ボイスチャットなど、言葉でのコミュニケーションはいらない。直接顔をあわせる必要はないし、文字で会話する必要もない。

 ただ一緒にプレイするだけで、心がつながっていると感じることができ、共感力が鍛えられるという。

オンラインゲームの協力プレイでシンクロする脳

 脳の同期(シンクロ)は、社会的なコミュニケーションと関係しており、他人に共感する心や協力関係を育んでくれる。それゆえに健全な社会にとっては大切なことだ。

 今回の研究では、それが人と人が直接対面していなくても起きることが示されている。

 ヘルシンキ大学のバルテリ・ヴィクストロム氏は、「相手がそばにいなくても、脳間位相同調が起きることを証明しました」と、プレスリリースで語る。

 彼らの研究は、このところ増えているオンライン交流において、脳の社会的メカニズムがはたす役割の解明につながるかもしれないという。

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 この研究では、42人の大学生がペアを組み、車を協力して運転するレースゲームをプレイした。

 車の運転は少し変わっている。単独で運転するのではなく、1人がアクセルを、もう1人がハンドルを操作するのだ。走り終えたら、今度は役割を交代して、各コースを2周する。

 ペアといっても、それぞれ別の防音室でプレイするので、直接顔をあわせることはない。通信で会話を交わすことすらできなかった。

 ペアができたのは、ゲーム内のアクションを通じたやりとりだけだ。

a) 被験者がプレイしていたゲーム画面。b) 研究者が見ていた画面。区間ごとのパフォーマンスがわかるようになっていた / image:Wikstrom et al., Neuropsychologia, 2022

脳のシンクロ率アップが成功の鍵

 この時、両者の脳波を計測すると、脳内のアルファ波・ベータ派・ガンマ波がシンクロしていたという。

 このシンクロが本物かどうか、”偽のペア”で検証された。一緒にプレイしたわけではないが、走行タイムが似ている人たちのデータを比較してみたのだ。

 すると、走行タイムが似ているからといって、脳の活動までが似ているわけではないことが判明。実験で見られた脳波のシンクロは、ペア同士でしか起きていなかった。

 脳のシンクロは、ゲームのパフォーマンスの鍵であるようだ。

 ガンマ波のシンクロ率が高いほど、短期的な走行タイムが速かった。アルファ波のシンクロ率の高さは、走行タイム全般に関係していた。

 また1周目よりも、2周目の方が、脳はシンクロしやすいことも明らかになっている。

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共感を鍛えるゲームが登場する可能性

 ゲームを介した脳のシンクロは、まだまだ研究が始まったばかりで、わからないことだらけだ。

 しかし「意思決定力が鍛えられる」など、ゲームが脳に良い影響を与えることが、すでに明らかにされている。

 そして今回、ゲームが共感力アップにつながる可能性があることが示されたわけだ。

 ヴィクストロム氏は、「この研究は、オンライン協力プレイでは脳のシンクロが起き、それを確かな方法で計測できることを示しています」と解説する。

 「シンクロをうながし、共感を高めるゲームを開発できれば、ゲーム以外でも良い影響を与えられるでしょう」

 今後の課題は、オンライン・コミュニケーションを分析して、脳のシンクロに一番重要な要素を見つけ出すことだそうだ。

 現代社会では、オンラインでのやりとりがますます増えつつある。

 だが、それが社会的な脳の発達に与える影響はまだ完全に理解されていない。今回のような研究が大切なのはそのためだ。

 研究の中心人物カトリ・サリキヴィ氏は、「共感の基本的メカニズムを刺激する交流型デジタル体験を作れれば、オンラインの社会関係・幸福感・生産性はさらに向上するかもしれません」と述べている。

 この研究は『<a href="https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0028393222001750?
via=ihub” target=”_blank” title=”” rel=”noopener”>Neuropsychologia』(2022年7月8日付)に掲載された。


References:Interacting brains sync without physical presence | University of Helsinki / People’s Brains Sync Up When Gaming Together, Even When Nobody’s There : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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