いま、東京の鮨店では、クオリティとコスパを両立したカジュアルな店が続々と誕生している。
今回は、高級鮨の代名詞である「おまかせ」を、1万円以下で気軽に楽しめる店を厳選。
カウンター鮨デビューを考えている人にもおすすめだ!
◆
※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。
1.新橋のディープな雑居ビルで堪能する、艶やかな21品の実力
『おまかせ寿司すしのすけ』
昭和風情漂う大衆店が軒を連ねる、新橋駅徒歩1分の雑居ビル。
その地下に誕生した『おまかせ寿司すしのすけ』の店内はまるで、オーセンティックなバーのよう。
期待に胸を膨らませスツールに腰を下ろせば、店主・江見 奨さんによるおまかせコースの幕開けだ。
アレンジが光る握りから贅を凝らした名物丼まで!
先付け的な酒肴数品から始まり、握りの合間に一品料理を挟みながら、約20品を提供。
都内高級店の他、米国や豪州でも研鑽を積んだ江見さんが繰り出す握りは、例えば酢飯に山椒を混ぜ、刻みたくあんをのせた手渡しの鰻など、経験に裏打ちされたアイデアが光る。
ハイライトは、妖艶にきらめくいくらと粒が立ったうにを、これでもかとオンした名物「すしのすけ丼」だ。
おまかせ全21品 8,800円
左上.「メカブ」。
右上.九州の“ごま鯖”から生まれた「ゴマ鯛」。
右下.自家製醤油ダレで和えた「カツオ」。
左下.酢飯とネタの間に柚皮を忍ばせたミナミまぐろの「赤身」。
左上.「ボタンエビ」は黒酢でコクを加えた酢飯との一体感が見事。
右上.「新生姜の漬物」。
右下.柚子胡椒でいただく「〆鯖」。
左下.青紫蘇とオリーブオイルを合わせた「蛸のカルパッチョ」。
左上.とうもろこしの「冷製茶碗蒸し」。
右上.「ホタテの昆布〆」。
右下.「ハモ」は辛子酢味噌で。
左下.炙った「カマス」
左上.じゅん菜とオクラの「酢の物」。
右上.「鰻サンド」は夏のみ。
右下.「縞鯵」。
左下.濃厚な「大トロ」は本まぐろを使用。
そのどれもが艶やかな上、輪郭のしっかりとした味わいで、厳選したシャンパンやワインともピタリとハマる。
ここまでの充実ぶりで、お酒と合わせても10,000円強というコスパには誰もが驚くだろう。
電話番号も非公開の隠れ家では、色気に満ちた夜が過ごせるのだ。
照明をグッと絞った、洞窟のような店内のカウンターは全8席。
BGMは主に80年代のソウルが流れ、お忍び感と陽気さが混じり合う。
2.素材が“光る”斬新なコース展開に、欲張りな大人は魅せられる
『ヒカリモノ 鮨とツマミ』
渋谷『食幹』や麻布十番『eatいいと』など、数々の話題店を手掛けてきた佐藤 幹さんが、昨夏オープンした新業態。
『ヒカリモノ 鮨とツマミ』の清々しい白木のL字型カウンターで繰り広げられるのは、佐藤さん自身が握る鮨を中心としたおまかせ全18品のコースだ。
「上質な空間で大衆的な“町鮨”をやりたい」と、六本木の一等地で、10,000円以下というコスパを実現している。
さまざまな光り物を主軸に揚げ物も取り入れる自由さ!
“素材を光らせたい”との思いを込めた店名よろしく、握りは光り物からスタート。硬めに炊いた赤酢の酢飯が、大ぶりなネタの旨みを引き立てる。
合間にアジフライや煮麺など、従来の鮨店ではなかなかお目にかかれないつまみが、テンポよく提供されるのもポイント。
「旬を逃さないように」と、鮨ダネをはじめ食材は豊洲、足立、横浜の市場へ自ら足を運び、チェックを欠かさない。
おまかせ全18品 9,900円
左上.佐島の「煮蛸」で幕開け。
右上.脂のりがいい腹身を揚げた「アジフライ」。
右下.「鯵握り」はネギのペーストがアクセント。
左下.赤酢で締めた「〆鯖握り」。
左上.伊豆産の「金目鯛握り」。ジューシーな脂の旨みが炸裂。
右上.「白イカ握り」はすだちと塩でサッパリと。
右下.鰹だしが沁み入る一口サイズの「ハマグリ煮麺」。
左下.「カレイ握り」。この日は旨みの強いマコガレイ。
左上.まるでソフトシェルクラブ(?)な「アナジャコ天麩羅」。
右上.「カマス燻製」は、佐藤さん得意の燻製料理。
右下.エビを一度冷ますことで甘さを引き出す「車海老握り」。
左下.「中トロ握り」は赤酢の酢飯と相性抜群。
さらに、コースは「一斉スタート」ではなくゆったりと過ごせるのも、うれしい限り。
江戸前スタイルの握りと、遊びを効かせたつまみの応酬を“腹パン”覚悟で堪能したい。
夜な夜な大人が集うL字型カウンターは、デートにも最適。
佐藤さんを中心としたスタッフのサービスも明るく、肩ひじ張らずに満喫できる。
◆
鮨の名店がしのぎを削る東京にあって、ここまで上質なクオリティのおもてなしを、1万円以下で受けられるとは…
鮨を愛する大人なら誰しもが歓喜するコスパ鮨へ、ぜひ気軽に立ち寄っていただきたい!
▶このほか:艶やかに煌めく「ミルフィーユ」。北山宏光の心を掴んだ、“イノベーティブ鮨”とは
日常で気ままに通える、1万円以下のカウンター鮨2選!
2022年9月13日