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南極「終末の氷河」は崩壊寸前、爪の先で持ちこたえていると科学者

カラパイア


 南極大陸の西側には、「終末の氷河(doomsday glacier)」という不吉な異名を持つ氷河がある。これが崩壊すれば、世界的な海面上昇が引き起こされるだろうからだ。

 このほど『Nature Geoscience』(2022年9月5日付)に掲載された研究によると、この「スウェイツ氷河」は今、「爪の先」でどうにか崩壊をこらえている状態であるそうだ。

 研究グループは、今後数年で急速に崩壊する可能性があると警鐘を鳴らしている。

過去200年のどこかの時点で、氷河が激しく後退

 この恐ろしい事実は、南フロリダ大学の研究グループが、自律型水中ロボットビークルで「スウェイツ氷河」の目の前に広がる海底をマッピングしたことで明らかになった。

 研究グループが発見したのは、海面の700メートル下にある、まるで「あばら骨」のような地形だ。

 並行して並ぶ160もの嶺は、後退する氷河の先端が、潮の満ち引きによって浮き沈みを繰り返してできたもの。いわば足跡のようなものだ。

スウェイツ棚氷のすぐ前にある海底を深さで色分けした海底地形の3D レンダリング ビュー / image credit:Alastair Graham/University of South Florida

 これを分析した結果、過去200年のどこかの時点で、スウェイツ氷河の基部が海底の尾根から離れ、年に2.1キロの速さで後退していたことが突き止められた。

 これは、ここ10年で観測されたペースの2倍もの速さだ。

 南フロリダ大学の海洋地球物理学者アラステア・グレアム氏は、「この結果は、過去2世紀で、スウェイツ氷河では非常に急激な後退のパルスが起きていたことを示しています」と、プレスリリースで語る。

 しかも、おそらくは20世紀半ばに起きたことだと考えられるという。「ちょっとしたきっかけで、大きな反応につながったとしてもおかしくありません」と、グレアム氏は言う。

Faster in the Past: New seafloor images

今後数年で急激に崩壊が進む恐れ

 スウェイツ氷河が崩壊するかどうか、そしてその場合に世界の海にどのような影響が出るのか、はっきりとはわからない。

 しかし今回の研究によって、南境の氷河と氷床が弱まっているという、危惧すべき証拠がまた増えたことになる。

 共著者である英国南極観測所のロバート・ラーター氏によれば、スウェイツ氷河は「まさに爪の先だけで持ちこたえている」で状態であるという。

 今、スウェイツ氷河は低い尾根に爪をたて、どうにか崩壊をこらえている。だが、そこを越えて後退してしまえば、1、2年で大きく変化する可能性もあるとのことだ。

 南極での氷河の後退と温暖化のつながりは、北極のようなほかの地域よりも複雑だ。

 だが、それが自然の作用であれ、人為的な作用であれ、南極で解ける氷が世界に大きな影響を与えることは間違いない。

References:Faster in the Past: New seafloor images – the highest resolution of any taken off the West Antarctic Ice Sheet – upend understanding of Thwaites Glacier retreat | USF College of Marine Science / written by hiroching / edited by / parumo

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