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ソファでゴロゴロしていたら、ついに…。同棲解消を告げられた後も、居候を続ける女に起きた悲劇

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ソファでゴロゴロしていたら、ついに…。同棲解消を告げられた後も、居候を続ける女に起きた悲劇

今となっては昔のことですが、港区に沙羅という女が生息していました。

「今夜、食事会あるんだけどどう?」と言われれば飛び入り参加して、必死に“彼氏候補”を探したものでした。

ある日、ようやく彼氏ができて食事会に行かなくなりましたが、その彼にも…。

残念に思って2年半ぶりに港区へ近寄ってみると、そこには以前と全く別の世界が広がっていたのです。

▶︎前回:先日、婚約したばかりの女が調子に乗って…。彼氏に内緒で出没していた“ありえない場所”とは



「沙羅、新しい家は決まった?」

ソファで寝っ転がっていると、元カレの裕二から声を掛けられ、思わずガバッと体を起こした。

同棲中にフラれた私は、新しい家が見つかるまで居候させてもらっているのだ。

「うっ…。ごめん、探してるんだけどなかなか見つからなくて」
「まあ、家探しも大変だもんな。頑張って」

本当は、心のどこかで戻れるかもしれないと思っていた。でも彼のアッサリとした態度を見て、もう私に対する気持ちは全く残っていないと改めて思い知らされる。

― もう33歳なのに、結婚どころか彼氏に捨てられるなんて。

仕方なく、賃貸情報が載っているサイトを見てみる。けれど自分1人で家賃を支払える物件だと、かなり古いか、もしくは狭い部屋ばかり。

平均月収30万の私からすると、都内での1人暮らしは相当ハードルが高いもののように思えた。

「ダメだ、これは…」

とりあえず港区を諦めて他の地域を検索してみるけれど、どうも心が踊らない。ため息を止められずにいると、久々に萌ちゃんから連絡が入った。

萌:今週火曜の夜って、お忙しいですか?

忙しくはない。しかも翌日にも全く予定が入っていないので、夜遅くまで飲んでも平気そうだ。

『空いてます』とメッセージを送り、私は彼女からの返信を待った。


シンデレラは12時前に帰宅…?


そして迎えた、火曜の夜。

私はこれまでの反省を生かし、だいぶカジュアルダウンした服を選んで家を出た。さらにタクシーを待ちながら「今日は飲みすぎないでおこう」と、何度も心の中で唱える。

― ベロベロに酔っ払うのは、時代じゃない。

そう繰り返しながら『Bar Corvinus 02』へと向かった。



「初めまして、沙羅です」
「沙羅さんは、フリーランスのPRをされているんですよ〜。インフルエンサー系の(笑)」

萌ちゃんの紹介にも、だいぶ慣れてきた。なんだかんだ言って可愛いところもある。それに、こうやって誘ってくれる彼女の存在に助けられていることも事実だ。

だからどうも、私は萌ちゃんを嫌いになれずにいる。

すると彼女のパスが良かったのか、1人の男性が私に食いついてきた。年齢は35歳くらいだろうか。私と同世代に見える彼の左手薬指には、ちゃんとシルバーの結婚指輪がはめられている。

「フリーランスって、何系のPRしてるの?」
「インフルエンサーのマーケティングとかです」
「そうなんだ。あっ僕、祥太っていいます」
「沙羅です、よろしくお願いします。…ご結婚されているんですね」
「えっ!?」

思わず、心の声が漏れていたらしい。

祥太さんは自分の結婚指輪をいじりながら、少し恥ずかしそうに笑った。

「まぁ、いろいろあって。沙羅ちゃん見ない顔だけど、萌ちゃんと仲良いの?」
「そうですね…。いつも誘ってもらってます」
「萌ちゃん、顔広いからね」

身長はそんなに高くないかもしれないけれど、柔らかい雰囲気が漂う祥太さんと話していると、不思議と心が落ち着いた。



「祥太さんは、何のお仕事をされているんですか?」
「僕はIT系の会社をやっていて。沙羅ちゃんは自分1人でやってるの?」
「はい。一応フリーランスで…」

彼は元々、外資系のコンサル会社にいたらしい。けれど今は、いくつかのIT系スタートアップ企業に投資しているそうだ。

話を聞けば聞くほど面白くて、いつの間にか私は前のめりになっていた。

「沙羅ちゃんは、いつもどのあたりで飲んでるの?」
「西麻布とか六本木とかが多いです」
「そうなんだ!また飲もうよ」
「はい!!」

こうして、私たちは盛り上がっていた。しかし一軒目も終わりに近づいた頃。お会計を終えた男性陣が、帰り支度を始めたのだ。

「今日も楽しかったね〜。萌ちゃん、後でみんなのLINE繋げといて」
「え…?」

スマホで時間を見ると、まだ22時15分だ。

「もう解散なんですか?」

隣に座る祥太さんに耳打ちすると、彼は驚いたような顔をした。

「沙羅ちゃん、二軒目に行きたいの?…ごめん、僕22時過ぎると眠くなっちゃうんだよね(笑)」


今日の会が、盛り上がっていなかったわけじゃない。私は祥太さんとずっと話していたし、他の人たちも楽しそうにしていたはずだ。

それなのに22時半でアッサリ解散することに、私はショックを受けていた。

祥太さんだけではない。他の人たちも「明日ゴルフだから」とか「ちょっと顔出すところがあるので」などと言い、本当にお開きとなってしまったのだ。

― 港区は、眠らない街じゃないの!?

思わずそう叫びたくなる。でもみんなタクシーに乗り込み、萌ちゃんまでもが帰ろうとしていた。



「萌ちゃんも帰るの?」
「私も、明日撮影があるので早めに帰ります」
「撮影…?そうなんだ」

その場でポツンと1人立ち尽くしながら、頭をフル回転させる。

22時半に解散なんて、今まであっただろうか。

港区では、二軒目から男女のドラマが始まるものだ。終電なんて誰も気にしないし、艶やかな時間はここから始まるのに。

肩透かしを食らったような気分になり「どこかでもう一杯くらい飲んで帰ろうかな…」と思っていると、タクシーに乗り込んだはずの祥太さんからLINEが入った。

祥太:萌ちゃん、今日はありがとう。よければ今度ランチしない?

「ランチ!?…ディナーじゃなくて?」

男女が2人きりで会うのに、夜ではなくて昼を指定してきたことに驚きを隠せない。

「港区は、夜に動く街なのに…」

でもその後、本当に彼とランチへ行くことになってしまったのだ。



12時から、テラス席でのランチデート。

日差しが眩しくて、私は「ファンデがよれていないか」とか「毛穴の開きが目立っていないか…」など、そんなことばかりが気になってしまう。

でも祥太さんは、何も気にしていない様子だ。

「沙羅ちゃん、この前はありがとう」
「いえ、こちらこそ。ご馳走さまでした」
「明るい場所で見ても、相変わらず美人だね」

真っ昼間からそんなことを言われて、どう対応すればいいのか困ってしまった。夜だと暗いから表情も読み取られにくいけれど、ここまで明るい太陽の下だと恥ずかしい。

「まぁいいや、本題に入ろうかな。沙羅ちゃんの会社って、インフルエンサーの派遣とかをしてるってこと?」
「そうなんですよ。でも最近うまくいってないから、どうしようかなと悩んでて…」
「まあ、これからは差別化が必要だよね。沙羅ちゃん的には、今後どうしたいの?」

いつの間にか、仕事の面接みたいになっていた。

港区界隈では、昔から飲みの席で仕事をもらうなんてこともあったけれど、祥太さんの場合は何かが違う。それはランチタイムだからなのだろうか…。

「実は、実家が小料理屋で。いつか実家のお店を盛り上げられたらなと、思ってて…」

今まで考えたこともなかった。けれども彼と話しているうちに、自分でも気づいていなかった本音がこぼれ出てくる。

「そうなの?素敵だね。お店は継ぐの?」
「いや、継ぐことは考えていなかったんですけど。…浅草ですし」

浅草は好きだけど、私は港区で暮らすのが好きだ。離れるとしても、せめて渋谷とか世田谷がいい。だから、お店を継ぐなんて考えたこともなかった。

でも祥太さんと話していて、意外にそれもアリかなと思い始める。

「じゃあ時間だから、そろそろ行くね」
「はい、ありがとうございました!」

お酒も入らず、アッサリと解散した昼間のランチデート。でもこれもヘルシーで、意外に悪くないなと思えた。


▶︎前回:先日、婚約したばかりの女が調子に乗って…。彼氏に内緒で出没していた“ありえない場所”とは

▶1話目はこちら:同棲中の彼にフラれ、婚活市場へと舞い戻った33歳女。そこで直面した残酷な現実とは

▶NEXT:9月19日 月曜更新予定
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