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「ママってそんなに偉いの?」同窓会で子持ち女にマウンティングされ、悶々とする32歳DKNKS妻は…

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「ママってそんなに偉いの?」同窓会で子持ち女にマウンティングされ、悶々とする32歳DKNKS妻は…

お金も時間も自由に使える、リッチなDINKS。

独身の時よりも広い家に住み、週末の外食にもお金をかける。

家族と恋人の狭間のような関係は、最高に心地よくて、気づけばどんどん月日が流れて「なんとなくDINKS」状態に。

でも、このままでいいのかな…。子どもは…?将来は…?

これは、それぞれの問題に向き合うDINKSカップルの物語。

◆これまでのあらずじ

外資系メーカーで働く彩奈は、大学のサークル時代の同期・祐樹と結婚。なんとなく子どもを持たないまま、結婚3年目に突入。しかしサークルの同窓会で、友人・レイナから「子どもはまだ?」と聞かれ…。

▶前回:「子どもはまだ?」の質問にうんざり!結婚3年目、32歳妻の憂鬱



彩奈・32歳。DINKSライフが楽しくて…【中編】


「彩奈、途中レイナと話してたけど、大丈夫だった?表情がこわばってたよ」

「うそ。そんなに顔に出てた?」

「いや、レイナは気づいていなそうだったけどな」

同窓会の帰り道。

乃木坂の自宅マンションに向かうタクシーの中で、出し抜けに祐樹に質問されて、私は面食らった。

「レイナから、『まだ子どもは考えないの?』って聞かれたの」

「なるほどね。考えるだけで子どもができるなら、みんな苦労しないよなぁ」

夫の言葉に、無言でうなずく。

30歳という年齢のせいなのだろうか。20代の時は気にならなかった“子アリ”の友人からの何気ない一言が、心の中にしこりのように残ってしまっている。

「俺たちももう30歳だし、いわゆる妊活とか、した方がいいのかなぁ」

祐樹も、同じことを考えているようだ。

「妊活、ねぇ」

子どもについては「いつかは」と思うけれど、今すぐ“妊活”を開始するほど、覚悟があるわけではない。


「俺、あのあとレイナと話してたけど。『健司がホワイト企業で働いてるから毎日早く帰ってきてくれて、子育てにすごく協力的』だって言ってたよ。

健司も、『会社がホワイトでよかった』なんて言うしさ。外資コンサルというブラック企業で働く俺は、落ち込んじゃったよね」

「あはは。そうね、子どもができたとしても、祐樹はたぶん、健司ほどコミットできないよね。私もそれなりに忙しいし…シッターさんとかに来てもらうことになるのかな」



レイナ・健司夫婦は、2人とも日系ホワイト企業勤務。

健司の職種だと全国転勤の可能性があるものの、福利厚生は整っているし、残業は少なく定時で帰れる日も多いと聞く。

対して、私たち2人は外資系勤務で、給与は高いが仕事に比重を置いた働き方をしている。

もちろん、どっちがいいとは一概には言えない。

けれど…こと“子育て”においては、子どもに対して割く時間をしっかりとれるレイナたちのほうが、色々とやりやすいはずだ。

「出会った時はお互い10代だったのに、子どもの話をするなんてさ…俺たちも、年取ったよなぁ」

祐樹がぽつりとつぶやく。タクシーの中で、なんともいえない沈黙が流れた。

その時…。



― ヴヴッ。

バッグの中で、スマホが振動した。

取り出してみると…そこには、懐かしい名前が表示されている。サークルの同期・菜々からの連絡だった。

「ねぇ、祐樹。菜々からLINE来た!え、ウソ。あの子、3ヶ月前に結婚したんだって!」

菜々といえば、政治経済学部卒・日系大手証券会社で働くバリキャリで、同期で集まってもなかなか捕まらないことで有名だ。実際、今日の同窓会も、出張だと言って来られなかったのだ。

― なんか…すごく、菜々に会いたいなぁ。

レイナと健司の幸せオーラに当てられたからだろうか…菜々のチャキチャキとした話し方が妙に恋しくなった。

女性は年齢を重ねるにつれ、ライフイベントが目白押しだ。

独身で居続けるのか。結婚するのか、そして子どもを産むのか…。

30歳を超えてくると、皆それぞれの人生を選択し始めるけれど、なんとなく、同じステージにいる人の方が話しやすいように思う。

― 3ヶ月前に結婚したばかりってことは…さすがに、子どもはまだだよね?

そんなことを考えながら菜々とLINEを続けていると、彼女の方から『よかったら祐樹と一緒にうちに遊びに来てよ!』と提案を受けた。

「おお、いいじゃん。久しぶりに菜々に会うの、楽しみだな!」

祐樹も上機嫌だ。

何が解決するわけでもないけれど…同じライフステージにいる女性と、心おきなく話がしたい――そんな気分だった。


友人夫婦宅で


「おじゃまします〜!」

「菜々、啓太さん、今日はお招きありがとう!」

翌週の日曜日。

さっそく、菜々の家におじゃますることになった。

事前に菜々から聞いたところによると、夫・啓太さんとはお食事会で出会い、スピード婚したそうだ。

東大卒の啓太さんは、Tier1と呼ばれる外資系コンサルティングファームで働く戦略コンサルタント。

監査法人のグループファームで働く祐樹に言わせれば、「入社難易度はうちの会社の10倍」らしい。

― 菜々、すごくハイスペックな人と結婚したのね。

さわやかに出迎えてくれた啓太さんに笑顔を返しながら、私はこっそり感心していた。



「おお、赤坂タワマン30階。眺望、スゴイですね」

「ははは。菜々の会社のハウジングプランのおかげで、いい場所に住めてるんですよ」

タワマンからの景色に盛り上がっている男性陣の横で、菜々と2人で生ハムをつついていたけれど…“ハウジングプラン”という言葉が、妙に耳に引っかかった。

「菜々、もしかして転職したの?」

「そうなのよ、実は。LINEで言うタイミング逃しちゃったんだけどさ…」

体育会系で知られる日系証券会社のイメージが強かった菜々だが、コロナで会っていなかったこの2年間で、2度転職をしていたらしい。今は、誰もが知る外資系証券会社に勤務しているそうだ。

「ちなみに、あそこにあるディスプレイって、ブルームバーグ端末?家にも置いてるんだ」

リビングの端にあるデスクを、祐樹がちらりと見る。大きなデュアルディスプレイと、据え付けのカラフルなキーボードが印象的だ。金融マーケット情報が得られる端末で、月額20万円以上の契約料金がかかるという。

「うん。私、エクイティセールスやってるから。家でも取引情報をウォッチできるようにしておきたいの」

「へ~、すごい…」

菜々は帰国子女で、もともと英語が堪能なことは知っていた。しかし、大学時代から独学で勉強して、中国語も身につけたらしい。語学力を活かしてキャリアアップを重ねてきたのだそうだ。



「菜々はウチの稼ぎ頭ですから」

Tier1のコンサルで働く啓太さんに“稼ぎ頭”と言われるほどの菜々。

しばらく会わないうちに、着実にキャリアアップしている彼女を目の当たりにして、私の中に、チリチリとした感情が沸き上がる。

― なんだろう、この気持ち…。

レイナと話した後に感じたモヤモヤとは、少し違う。

どちらかというと、「焦り」に近い感情だ。

「そうだ!今日、ローストビーフつくったんだよね。我ながらすごく自信があるの」

「菜々、今日のために何回も練習してたもんな?」

「なによ、啓太。バラさなくたっていいじゃない~!」

キャッキャと楽しそうにじゃれあう2人。幸せそうな菜々を心から祝福しながら、私は…。

― なんか、私…。仕事も家庭も、中途半端なのかな。

レイナと話していると、「私も早く子どもを産んだ方がいいのだろうか」と焦る気持ちがわいて出てきた。

菜々と会ってみたら、「もっと仕事を頑張った方がいいのではないか」と思う自分がいる。

「ちょっと、お手洗い借りるね」

どうにも気持ちが落ち着かなくて、リビングを出る。

扉を閉めて、私は“あるサイト”を開いた。


▶前回:「子どもはまだ?」の質問にうんざり!結婚3年目、32歳妻の憂鬱

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バリキャリの菜々に焦燥感を覚える彩奈は、“あるイベント”へ行くことを決める。


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