母が熊本生まれなので、当地の菓子店もよく訪ねます。2018年、都内の有名店で修業したパティシエの方が県北の山鹿市に帰郷され、新店を開業されると聞き、楽しみにしていたのがこちらのお店です。
もともとご実家が業務用アイスの製造販売をされていたことから、7月にオープンしたお店は、フランス菓子とジェラートが揃う魅力的な品揃えとなりました。
木立の中にふと現れる店舗は、熊本地震の被害で解体された木造洋館の建具類を再利用し、明るいアンティーク調の落ち着いた雰囲気。また違う季節に訪れてゆっくりお菓子とお茶をいただきたい!と思ったものです。
そんなriccaのジェラート詰合せは、熊本・阿蘇の新鮮なジャージー牛乳100%で乳味濃厚な「ジャージーミルク」のように地元素材を使ったものと、海外産の厳選素材を使ったものとを、共に楽しめる内容。なめらかな口当たりとふんわりとした口どけで、さすがスペシャリスト!と納得でした。
中でも印象的なのは、西日本一の生産量を誇るという、山鹿の栗をふんだんに使った「和栗」ジェラートです。
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実はこちらでは、自社で栗の栽培も行い、栗の加工施設も新設。お店でジェラートやモンブランにするのも、新鮮な栗を使った自家製の加工品のため、香り高さも格別です。
所々、黄色い栗の粒々や極小の渋皮が見え隠れし、丸ごと栗感が満載。口の中に、秋に新栗で作られた栗きんとんを思わせる、繊細な風味とやさしい甘さが広がります。
パティシエとしてこの店を切り盛りする市原勇生さんを支えるのは、お2人のお兄様。それぞれ、元々のアイス事業や、里山の環境を守りながら行う農業に取り組まれています。家業を継承しつつ新たな挑戦により、三兄弟で力を合わせて山鹿の活性化を目指していらっしゃるのですね。
他にも注目すべきは、山鹿市内の鹿北町岳間(かほくちょう・たけま)の抹茶ジェラート。
清流に恵まれ、朝夕は深い霧に覆われる岳間渓谷は、熊本の有名なお茶どころですが、その抹茶は、まだほとんど流通していない貴重品。苦みよりもまろやかな甘みが感じられ、スッキリと軽やかです。