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日本で最も水質の良い水浴場は?

日刊ホントの話

夏になると水辺のレジャーを楽しみたくなりますよね。水資源豊かな日本では、海はもちろん川、湖といったさまざまな場所で水遊びをすることができます。 いっぽうで、気になるのがその「水質」。

特にお子さんがいるご家庭では、子どもの健康に影響はないか、心配になる方も多いのではないでしょうか。

 でもご安心ください。施設として開かれている水浴場(海水域、淡水域含む)については、地方公共団体が毎年厳格な水質調査を行っていて、「水浴場として適している水質」とされた場所だけが水浴場として運営することが許可されています。

 そうした水質調査の結果は、環境省によって取りまとめられています。2020年(令和2年)~2021年(令和3年)の2年間は新型コロナウィルスの影響により調査は行われませんでしたが、2022年に再開され、このたび最新の調査結果が公表されました。

 その調査の結果、調査対象となった水浴場756か所すべてが水浴場として適した水質であったこと、そしてその756か所のうち、良好な水質である「適」(「水質AA」または「水質A」)と判定されたのが全体の79%にあたる596か所となったことが判明しました。

●水浴場の水質の判定基準とは

 水浴場に適した水質かどうかは、特定の物質の有無とその検出量、透明度によって判定されます。また、水素イオン濃度(ph)や気温、水温、病原性大腸菌として有名なO-157も、参考値として調査対象に含まれています。

<調査対象項目>
(1)ふん便性大腸菌群数
(2)油膜の有無
(3)化学的酸素要求量(COD)
(4)透明度

 水質は「適」「可」「不適」で区分され、その中で「適」「可」の水浴場は上記の調査対象項目ごとに水質AA~Cにランク分けされます。水質AAまたはAの水浴場は「適」、水質BまたはC判定を受けた水浴場は「可」となります。

 たとえば(1)ふん便性大腸菌群数が不検出、(2)油膜が認められない、(3)CODは2mg/L以下(※湖沼は3mg/L以下)、(4)透明度は全透(※または1m以上)という基準が満たされた場合、水質は最高のAA判定となります(環境省の「水浴場水質判定基準」参照)。

 最新の2022年の調査では「不適」に該当する水浴場はなく、調査したすべての水浴場が「適」または「可」とされ、水浴場として適当な水質であると認められました。またO-157も、すべての水浴場で不検出となりました。

●過去の調査から水質の変化はあるのか

 過去の調査を見てみると、1976年(昭和51年)に1か所出たのを最後に、「不適」となった水浴場はありませんでした。日本の水浴場は、水遊びをするのに十分適した水質だと考えてよいでしょう。

 また過去の水質調査の推移を示す資料を見てみると、2013年~2019年は水質AA・A判定を受けた水浴場数が全体の81~84%と8割台だったのに対し、調査が再開された2022年は79%と8割を割り込んだこと、2019年と比べ水質AAランクの水浴場の割合が減少した(72%→63%)こと、さらに2022年の水質Bの水浴場数の割合が水質Aの数の割合を上回った(B判定:21%、A判定:16%)ことなどが見受けられます。

 また「不適」の水浴場はなかったものの、「可」の中でも最低ランクである「水質C」の水浴場が1か所だけありました。

 こうして見ると「新型コロナウィルスによる影響で調査が中断された2年の間に、全体の水質が悪くなったのでは」と感じられるかもしれません。しかし環境省の「水浴場(開設前)の水質調査結果の推移」という資料をもとに過去10年までさかのぼって比較してみると、水質AA判定の水浴場の割合はおおむね60%台を推移しており、水質C判定の水浴場も例年1件程度はあることから、2022年の水浴場の水質が特別悪いというわけではないことが分かります。

 確かに2020~2021年の2年間は新型コロナウィルスによる影響で各地の水浴場が閉場するなどイレギュラーな対応が多かったため、水質の管理に影響が出た可能性は否定できません。それでも例年の水質を維持できているというのは、水浴場管理者や地元住民の不断の努力の結果であり、素晴らしいことだといえるのではないでしょうか。密を避けるため、水浴場に人が集まらなかったことも理由のひとつでしょう。

●水質AAの中でも特に良好な水浴場10か所

 2022年、水質AA判定の水浴場は474か所でした。その中でも、特に良好な水質を持つ水浴場(水質AAの水浴場のうち、COD平均値が0.5mg/L以下の水浴場)が10か所発表されています。

<水質が特に良好な水浴場>
・田沢湖(秋田県仙北市)
・弘法浜(東京都大島町)
・本村前浜(東京都新島村)
・大久保浜(東京都三宅村)
・大瀬(静岡県沼津市)
・島郷(静岡県沼津市)
・千本浜(静岡県沼津市)
・平沢(らららサンビーチ)(静岡県沼津市)
・伊計ビーチ(沖縄県うるま市)
・読谷村営残波ビーチ(沖縄県読谷村)

 都道府県別で見てみると、最も多いのは静岡県でした。中でも大瀬の海水浴場は環境省が選ぶ『快水浴場百選』のひとつでもあり、スキューバダイビングの名所としても知られます。周囲には国の天然記念物「大瀬崎のビャクシン樹林」があり、ビーチから富士山を望む絶景も人気です。

 また、東京都は対象の水浴場すべてが水質AAランクですが、これらはみな島の水浴場です。やはり自然豊かな地域の水浴場は、水質も別格ということになるのでしょう。

●水質Cの水浴場はどこ?

 2022年、1か所だけ水質Cランク判定を受けた水浴場がありました。それが愛知県のりんくう海浜緑地。中部国際空港セントレアの対岸にある人工の海水浴場です。愛知県の水浴場は、西尾市の大浦海水浴場が水質AAランクであるほかはすべて水質B判定を受けるという、若干不名誉な結果となっています。なぜ愛知県の水浴場の水質は悪いのでしょうか。

 その理由として考えられるのは、人口が全国4位という過密地域であるうえ、自動車産業を中心とする工業品の生産工場が集中しているため、生活排水・工場排水がともに多いこと。さらに、三河湾や伊勢湾独特の地形のために排水が湾の奥でたまりやすく、海へ流れていきづらいことも原因とされています。

●水質ランクが低い=海の栄養分が豊富という見方も

 もちろん、各水浴場とも利用することに何ら問題はありませんし、水質ランクが低いからといって目に見えてひどく汚れているわけでもありません。りんくう海浜緑地の場合、水の汚れを示すCODの数値が5.9mg/Lと全国で最も高いのですが、あくまで数値上のものと受け止めたほうがよいでしょう。

 ちなみにこのCOD、数値が高いほど水中の有機物が多いことを示します。これはいわば「水中の栄養分の豊富さ」とも言い換えることができ、実際に三河湾・伊勢湾は豊かな漁場としてよく知られています。特に海苔は特産品として全国的に有名です。またりんくう海浜緑地のそばにある釣りスポット・常滑りんくう釣り護岸には、アジやサバ、クロダイといった魚が集まり、毎年多くの釣り人でにぎわうそうです。

 以上、水浴場の水質について解説しました。調べていく中で「水よりも、人間が捨てていくゴミのせいでビーチが汚い」「近年の気候変動のせいか、水が汚れるスピードが早い」という声も散見されました。清らかで安全な水浴場を楽しむためにも今一度、自然環境への配慮とマナーを振り返るべきかもしれません。

<参考サイト>
・水浴場水質判定基準(環境省)
https://www.env.go.jp/content/000044972.pdf
・水浴場(開設前)の水質調査結果の推移(環境省)
https://www.env.go.jp/content/900513910.pdf
・水浴場(開設前)の水質調査結果(過去10年間)の推移(環境省)
https://www.env.go.jp/content/000046246.pdf
・水浴場の水質調査結果(環境省)
https://www.env.go.jp/water/suiyoku_cho/index.html
・令和4年度水浴場(開設前)の水質調査結果について(環境省)
https://www.env.go.jp/press/press_00137.html
・水が汚い海水浴場ランキング2022【全282カ所・完全版】(DIAMOND ONLINE)
https://diamond.jp/articles/-/307066

 
   

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