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男友達が電話中に、2枚の画像を送りつけてきて…?写真を見た女が唖然としてしまった、その内容は

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男友達が電話中に、2枚の画像を送りつけてきて…?写真を見た女が唖然としてしまった、その内容は

「あの頃の自分が思い描いていたオトナに、ちゃんとなれてる?」

高校卒業から12年。

これは様々な想いを抱えて上京してきた、男女の物語だ。

恋に仕事に、結婚に。

夢と現実の狭間でもがく30歳の彼らが、導き出した人生の答えとは?

◆これまでのあらすじ

エリート弁護士として“勝ち組生活”を送っていた、ムラタク。しかし「東京で、どうやって生きていったらいいのかわからなくなった」と千紘の前でこぼす。

そんなとき「実家にいる父が危篤だ」という知らせを受けて…?

▶前回:エリート弁護士が30歳の女に振られた、想定外の理由とは



夏原千紘、29歳。衝動的な帰省


羽田発、松山行きの飛行機内。私の隣には“ムラタク”こと村林拓也が座っている。

仕事がイヤになり休職することを決めた私は、衝動的に愛媛行きの飛行機へ飛び乗った。…同じく、地元に帰ることになったムラタクも一緒に。

「ムラタクはどうして愛媛に?」

「父さんが倒れた」

離陸したあと、彼はずっと窓の外を眺めている。

「…海、青いな。久々に見たわ」

ムラタクの視線の先には、一面の海が広がっている。大和の命を奪った、忌々しいあの海だ。

「私も3年ぶりに見たな。最後に帰省したの、コロナ前だったから」

「俺は12年ぶりだ。…なんかさ。浩二も亜美も俺らも、地元に吸い寄せられてる気がするな」

ようやく松山空港に到着すると、彼はお土産売り場を見るなり、大はしゃぎし始めた。

「ウェーイ!懐かしいな、海とじゃこ天の匂い!」

昔から変わらないお土産売り場の名物・蛇口からみかんジュース。ムラタクはさっそく、蛇口をひねっている。

「やっぱ、本場のポンジュースはうまい!ほら、千紘も」

「ありがとう」

差し出されたプラカップを受け取って、ゴクゴクと飲み干す。

「千紘ってさ、いつまで愛媛にいる?」

「…まだ決めてない」

「そっか。じゃあ親父のことが落ち着いたら連絡するわ。大和と亜美について、気になることがあってさ」

「えっ。何があったの…?」

ムラタクは多くを語らず、いつものようにウインクすると、タクシーで市立病院へと向かってしまった。


「大和と亜美について、気になることがあってさ」

実家に帰る電車の中でも、ムラタクが残した言葉が、頭にこびりついていた。

― 大和と、亜美か。

私は、大和が死ぬ直前に起きた“ある出来事”を思い返していた。



夏原千紘、18歳。親友と恋人の密会


2010年、9月。

「亜美!一緒に帰ろ」

夏季講習を終えて教室に戻ると、亜美が窓際の席で大和と談笑していた。

「あ、あぁ…。千紘、早かったね…!」

亜美が慌てて、机の中にノートを隠す。

「うん。今日は英語だけだったから。…ってか、大和もいたんだ」

「おっ、おう」

大和も気まずそうな表情を浮かべ、頭をポリポリとかいている。

「え、なに?」

「ほ、ほら!…私、村上春樹にハマってたじゃん?大和に貸してもらおうと思ってさ!これこれ!」

亜美が、大和の机の上にあった本を手に取る。

「…それ、伊坂幸太郎だけど」

「あっ…!間違えた、アヒルだ」

ファッション誌と少女漫画ばかり読んでいる亜美が、村上春樹好きだったとは初耳だ。伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』も、彼女が読み切れるとは思えなかった。

― なんか、怪しいな。

このときなんだか2人が仲良さげだったので、少し嫉妬してしまったが…。当時はそこまで、気にしていなかったのだ。





実家に到着しても、過去の出来事が頭から離れないでいた。

― 12年前のあの日。大和と亜美は、2人で何をしていたんだろう。彼の死に、亜美が関わっている?

そのとき階下から母の声が聞こえてきて、現実に引き戻された。

「千紘!ご飯できたよー」

3年ぶりに戻った実家。私の部屋は年々物置化し、母のダイエットマシーンが鎮座している。

底抜けに明るい母と、市役所で働く寡黙な父。それから5年前に結婚し、近所に住んでいる兄の4人で食卓を囲んだ。

「お兄ちゃん、来てたんだね」

「たまには、な。奥さんと娘は実家に戻ってるし」

上京を夢見ながら、それを果たせなかった母は「最近どんな芸能人に会ったの?」と、私の仕事に興味津々だ。

しかし会話の端々に「結婚はまだ?」「東京でいい人はいるの?」と、悪気はないのだけれど、返事に窮する質問が挟まる。

久しぶりに名前を聞く旧友たちは、結婚したり、子どもを産んだり、マイホームを建てたり…。それぞれの人生の駒を、着実に進めているようだ。

そして「なぜ、私が実家に戻ってきたのか」を、家族は聞くことを避けているようだった。



食事を終えて自分の部屋に戻ると、上司から1通のメールが届いていた。

『実家でゆっくり休んでくださいね。また、夏原が記事を書いてくれるのを待っています』

そのメールに『戻ります』と、返信することはできなかった。

もう一度、私が「取材対象に肉薄して、記事を書こう」という気持ちになれるとは思えない。

正義感に燃えて書き切ったと思った、アイドルYUNAのスクープ記事。それも「結局は、大和の死に折り合いをつけるためだった」と思うたびに、自己嫌悪に陥る。

故郷に戻っても、心のモヤモヤはおさまらなかった。…だって恋も仕事も、すべてを失ったのだから。

― なんだか、浦島太郎になった気分だな。

誰にも会う気分になれず、数日間は実家に引きこもっていた。すると、スマホに着信があったのだ。


着信は、ムラタクからだった。

「お父さん、大丈夫だった?」

「親父、死んだよ。…俺が着いて、すぐ」

「えっ!そうだったんだ…」

「通夜や葬式は家族で済ませて、だいたい落ち着いた」

彼の声に、いつもの陽気さはなかった。

「俺さ、親父から逃げるように上京したんだ。『事務所を継げ』って言われると思ってたから。せっかく苦労して弁護士になったのに、金にならない揉め事の仲裁なんてやりたくねー!って」

「うん」

「でも…。葬式のあと、お袋から聞いた。親父は、俺が家を継ぐことなんて望んでいなかったって。俺が東京で頑張ってること、周りに自慢してたってさ」

電話から聞こえてくる声が、震えているように感じた。



「なんだったんだろうな…。反発して、親父みたいになりたくないって東京で頑張って。こんなことだったら、もっと早く親父と向き合えばよかった」

― 私も、同じだ。大和の死を理由に愛媛を飛び出して、結局東京で何を得られたのかわからないまま、今ここにいる。

励ます言葉を探していると、ムラタクの声のトーンが急に低くなった。

「それで、本題」

「えっ?」

「ちょっと今からLINE送るんで、見てくれる?」

間を置かず、彼から2枚の写真が送られてきた。

1枚目は『高校生、誤って海に転落か』と書いてある、地方新聞の切り抜き。日付は2010年9月12日となっている。おそらく、大和に関する記事だろう。

「…何これ、どうしたの?」

「親父の書斎で見つけた。どうやら弁護士として、大和のことを調べてたみたいで。で、2枚目も見てみて」

そう言われて、2枚目の画像を開いた瞬間。心臓がドクドクと音を立て始めた。



「うそ…。なん、で」

スマホ画面に映し出されたのは、ある取材依頼のメモ。そしてそこに書かれていたのは、予想もしなかった人物の名前だったのだ。

――――――――――――――――――――――――

相談者:高原亜美(18歳)
相談内容:友達が死にました。逮捕されないか、知りたいです。

――――――――――――――――――――――――

「…行こう。亜美のところに」

ムラタクの声が、やけに遠くから聞こえてくる。

私は体中の力が抜けていくのを感じながら、その場に立ち尽くしていた。



▶前回:エリート弁護士が30歳の女に振られた、想定外の理由とは

▶1話目はこちら:交際2年目の彼氏がいる30歳女。プロポーズを期待していたのに…

▶Next:9月13日 火曜更新予定
大和は生きていた?彼の死に隠された真実に迫る、千紘とムラタクだったが…


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