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1年越しの有観客! 車いすバスケットボールエキシビションマッチで有明アリーナが沸いた

パラサポWEB

「1年前に見たかった光景」(車いすバスケットボール女子日本代表・北田千尋)がついに実現した。東京2020パラリンピック開会式のちょうど1年後である8月24日、有明アリーナ(東京・江東区)で東京2020パラリンピック1周年記念イベントが開催。この会場で熱戦を繰り広げた車いすバスケットボール男女日本代表のエキシビションマッチが行われた。

東京パラリンピック会場の有明アリーナで応援を背にする男子日本代表

1年前は無観客だったが、今回は有観客での開催だ。女子の試合が行われた第一部には約4200名、男子の試合が行われた第二部には約5000名の観客が来場。感染症対策のため、1席ずつ空けての着席となったとはいえ、1年前にはがらんとして広大に見えた有明アリーナが狭く感じるほど人で埋まった。観客はそれぞれが東京パラリンピックの公式マスコット・ソメイティのぬいぐるみを持って来たり、車いすバスケットボール日本代表のレプリカユニフォームを着てきたりと、楽しむための準備は万端といった様子。ノリのいい音楽や光の演出で彩られた会場では、来場者に配られたハリセンを手に、音楽やDJのかけ声に合わせて手拍子をする。その音の大きさと一体感からも、1年前の忘れ物を回収しに来たわくわく感が伝わってきて、試合が始まる前から会場は熱気に包まれた。

そして、招待席には1年前に男子日本代表の快進撃を誰よりも会場で見届けたかったであろう、選手の家族や友人の姿もあった。香西宏昭の父、広実さんは無観客の東京大会を自宅のテレビで観戦した。「銀メダルにはとにかく驚いた。2008年北京パラリンピックの頃から注目してきた日本代表の強いディフェンスを生で見たかった思いはあるけれど、これまでの積み上げが体現されたことが何よりうれしかった」と振り返り、約3年ぶりの生観戦では「円熟味の増してきた宏昭が若手とどう融合できるか、試合が楽しみです」と笑みを浮かべた。

パラリンピック4大会出場のベテラン香西宏昭。この日も存在感を見せた

観客の拍手は車いすバスケットボール日本代表だけに送られたわけではない。セレモニーに登場した東京大会水泳で金メダルを含む5つのメダルを獲得した鈴木孝幸、バドミントン女子ダブルス金メダルの山崎悠麻も拍手を受けて、感無量の様子だった。

「東京大会の反響がすごくて、現在に至るまでいろいろな経験をさせてもらっている。最近は有観客で大会やイベントが行われるようになってきたので、会場やメディアを通してパラスポーツを見ていただきたい。そして、他のメジャースポーツのように、パラスポーツも皆さんの目に当たり前のように触れるものになってくれればと思っています」と鈴木。

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山崎は「東京はたくさんの方に支えてもらい、みんなで作り上げた夢のような舞台でした。11月の世界選手権、そしてパリに向けて頑張ります」とコメントした。

セレモニーで挨拶した東京パラリンピック金メダリストの鈴木孝幸(左)と山崎悠麻

ドリームマッチのメンバー構成は?

選手たちにとって最高の雰囲気の中での試合となった今回、男子日本代表は、当初予定していたオーストラリア代表が出場を辞退したため、日本代表をTEAM WHITEとTEAM BLACKの2つに分けて日本代表同士が戦うドリームマッチとして開催した。

1年前の東京パラリンピックでブレイクした鳥海連志

当日は3日間の合宿の最終日でもあり、チーム分けをしたのは数日前だったという。TEAM WHITEは、日本代表の新キャプテン川原凛、TEAM BLACKは同じく副キャプテンの鳥海連志がそれぞれのチームを率いた。川原、鳥海ともに「手の内を知っている同士だからこその難しさがあった」と声をそろえていたものの、「ミドルポインターが多かったので、トランジションができなかったときも、ハーフコートディフェンスをしやすいと考え、香西や古澤拓也で相手をつり出すことを心がけた」(川原)、「TEAM WHITEと比べると不真面目な人が多いという印象だったので(笑)、コート内外やオフェンスとディフェンスの切り替えを大事にした」(鳥海)と、それぞれがメンバーの特徴を踏まえたチーム作りをして試合に臨んだようだ。

パリ2024パラリンピックに向かう男子日本代表のキャプテン川原凛

メンバー分けを見ても、両チームの実力が拮抗しているのは明らか。その期待通り、勝敗の行方が最後まで見えづらいゲーム展開となった。

第1ピリオドのスターティング5は、TEAM WHITEが川原(持ち点1.5)、古澤(3.0)、赤石竜我(2.5)、秋田啓(3.5)、香西(3.5)。TEAM BLACKは川上祥平(2.0)、鳥海(2.5)、髙柗義伸(4.0)、藤本怜央(4.5)、岩井孝義(1.0)。川上を除く9名が東京大会組だ。それだけに、この日、IPC特別親善大使として会場を盛り上げていた稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人による「TIP OFF」のコール直後からスピード感あふれるプレーでシュートの応酬を繰り広げ、会場のボルテージが一気に上がる。古澤が得意の3ポイントシュートを積極果敢にねらいに行ったり、赤石がファウル覚悟で相手チームを止めに行ったり、藤本が素晴らしい予測でパスカットをしたり、鳥海がスピード感あふれる滑らかなチェアワークでゴール前に切り込んで行ったり、香西が冷静にチームを俯瞰してパスとシュートを使い分けたり、ゴール前の狭いエリアで繊細なパス回しでシュートまでつなげたり……と、見どころが満載。この日、TEAM BLACKを指揮した京谷和幸男子日本代表ヘッドコーチ(HC)も、「東京組が多かった第1ピリオドは質の高いゲームができた」と合格点を出した。

稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人が声を合わせて「TIP OFF!」

未完成の日本代表が目指す場所

一方で、課題も浮き彫りとなった。東京大会終了を機に日本代表を引退する選手もいたことから、日本代表には新たなメンバーも選出されていて、リオ大会代表だった村上直弘以外を除くと、20名中10名と全体の半数を占める。パリへ向けての戦術は、東京から変わらず、素早いトランジションをベースとするベリーハードワークなバスケットボールだ。「その質と精度を高める」(京谷HC)ことに力を注いでいるだけに、東京組と新参組との差があるのは仕方がないと言える。「(新旧メンバー間で)戦略、戦術の理解度が違う。これまでも練習を通じて確認してきたが、ゲームとなると遂行できず、質が落ちる」(京谷HC)状態だ。だからといって、手をこまぬいているわけではない。キャプテンの川原は、「東京までのメンバーが理解している知識を新メンバーは知らない。すり合わせの時間がなかなか取れないので、都度、個別に声をかけたりしている」と努力を重ねている。

ドイツリーグでプレーする藤本怜央。38歳になっても成長を続けている
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