小さくない話題の発端となったのは、エンジェルスを取り仕切る“御大”の決断だ。去る8月23日、2003年にディズニー社から買収して以来、19年もオーナーを務めてきたアート・モレノ氏が球団売却手続きに入ったと発表したのだ。
買い手が決まったわけではなく、いまだ新オーナーが決定したわけではない。それでも長年チームを支えた一方で、その「独断専行」が近年の不振の“根源”と揶揄されたモレノ氏の売却決意には、さまざまな反響が起きた。
そのなかで、とりわけ注目を集めたのが、エンジェルスの大黒柱である大谷翔平の去就だった。23年シーズン終了後に現行契約が満了となる28歳は、他でもないモレノ氏が獲得に尽力したスタープレーヤー。複数球団からトレードを打診されたなかでの今夏のエンジェルス残留も、同氏の意向が多分に影響されたものだった。
ゆえにモレノ氏の退陣によって、今オフにも動きがあるのではないかという声が上がり始めている。エンジェルスと同じロサンゼルスに拠点を置くドジャースの専門サイト『Dodgers Way』は「オーナーの決断によって、オオタニとの話し合いは話題性が大きくなってくる可能性がある」とレポートした。
同メディアは近年のエンジェルスについて「劣悪な野球。そしてフリーエージェント市場においても間違った振る舞いを続けてきた」と指摘。そのうえで「モレノはオオタニを中心に巨大な市場を開拓するために、あらゆる犠牲を払ってきた」とし、“贔屓チーム”の獲得の可能性を追求した。
「モレノの退陣決断によって動き出しが早まる可能性がある。もちろん、エンジェルスのファンはオオタニが青と白のユニホームは見たがらないだろう。だが、ドジャースが球団にとって最高のパッケージを提示した時には、選択の余地はある。跡を継ぐ新体制は、とくに投手の育成や強化に専念し、モレノ時代に築けなかった正しい道を模索するはずだ」
現在のエンジェルスはマイナー組織のトッププロスペクトが充実しているわけではない。それだけに新体制となった場合に、大谷というこれ以上ないタレントを使った再建に舵を切るかもしれない。
はたして、大谷は残留か、退団か――。どのチームにとっても球団の未来を占う決断だけに、その動向から目が離せない。
構成●THE DIGEST編集部
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