このランキングは傘下のマイナーリーグにどれだけ有望株(プロスペクト)を抱えているかを測るものだ。端的に言えば、チームの将来性を測るランキングと言ってもいい。たとえば、2021年に2位、今季開幕前のランキングでは1位だったマリナーズは、フリオ・ロドリゲス、ジョージ・カービーら若手の台頭で21年ぶりのプレーオフ進出が有力なところまできている。
最新版のランキングでトップに立ったのは、ここ数年地道に再建を進め、着々とプロスペクトを蓄えてきたオリオールズ。その後は2位ドジャース、3位ガーディアンズ、4位ダイヤモンドバックス、5位レッズと続く。
今回のランキングは、8月2日のトレード・デッドラインの動きも踏まえたもの。そのため、夏の移籍市場で主力を放出した代わりに多くの有望株を得たチームの順位が上がっている。そのなかで、「明暗」がくっきり分かれたチームが2つある。ナショナルズとエンジェルスだ。
2019年に球団創設以来初の世界一に輝いたナショナルズだが、昨季途中にマックス・シャーザー(現メッツ)、トレイ・ターナー(ドジャース)らを放出して再建モードへ移行。この夏は、23歳にしてすでにMLB屈指のスラッガーとなったホアン・ソトと強打の一塁手ジョシュ・ベルをパドレスへトレードし、代わりに有望株5人を含む6人を得た。 ソトの放出は、ナショナルズのファンに大きなショックを与えたに違いない。だが、ファーム組織ランキングの順位は、開幕前に全30球団中26位だったのが今回一気に14位まで急上昇した。
パドレスから得たロバート・ハッセルとジェームズ・ウッドの両外野手は、同じ『Baseball America』の最新版プロスペクト・ランキングでともにトップ40位以内に入っている(ハッセルが23位、ウッドが37位)。また、すでに「プロスペクト枠」は卒業しているものの、まだ21歳の快足遊撃手CJ・エイブラムスや、23歳の先発左腕マッケンジー・ゴアもソトのトレードで獲得しており、将来の見通しは一気に明るくなった。
一方で、エンジェルスはというと30球団中29位。開幕前の順位も29位で、つまるところまったく改善されていない。
エンジェルスは今夏に、クローザーのライセル・イグレシアスをブレーブス、先発投手のノア・シンダーガード、若手外野手のブランドン・マーシをフィリーズへ放出。だが、一連のトレードで得たプロスペクトらしいプロスペクトは、強打の捕手ローガン・オーホッピーだけ。打撃・守備ともに高い評価を得て、最新版のプロスペクト・ランキングでは80位に入っているが、彼だけではファーム組織を劇的に改善するまでにはとても至らない。
ナショナルズはチームの顔でもあったソトの売り時を逃さず、最高値がつくタイミングでトレードしたことで「未来を買った」。だが、エンジェルスは大谷を放出しなかった代わりに、課題のファーム組織向上はまたも先送りとなった。この決断が、数年後の両チームの命運を大きく左右する気がしてならない。
構成●SLUGGER編集部
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