子どもの「心の不調」、どう対応?
夏休み終盤から休み明けは、心が不安定になる子どもが増え、自殺が多発する時期とされます。コロナ禍で迎えた3年目の夏休み。親や周囲の大人たちは、子どものどのような点に注意すればよいのでしょうか。精神科専門医の田中伸一郎さんに聞きました。
新学期が始まる不安と期待、親子で対話
Q.夏休み終盤から休み明けにかけて、心が不安定になる子どもが増え、自殺も増えるといわれます。考えられる要因は。
田中さん「以前から、夏休みの終盤から休み明けは、子どもの心身の不調が出やすく、また子どもの自殺が多いとされてきました。それには特定の要因があるわけではなく、さまざまな要因が複合的に影響していると考えられています。
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子どもの不調に影響があるものとして重要なのが、生活リズムの乱れです。長期休みになって登校していない状況が続き、昼くらいまで寝て過ごしたり、だらだらと夜更かししたり、ゲームや動画視聴の時間が増加して運動量が減少したり、食生活が乱れたりして、生活習慣が変わってしまうことが、特に問題です。
夏休みの宿題が終わっていないことを含め、その他さまざまな要因が絡んで、心身の不調につながります」
Q.コロナ禍で迎えた3回目の夏休みですが、これまでと比べて、子どもたちに変化は見られますか。
田中さん「文部科学省のデータによれば、コロナ禍に入って視力低下が進み、肥満傾向の子どもが増えていることが明らかになりました。先述のように、夏休み期間中は特に、ゲームや動画視聴の時間が増加して、子どもの運動不足が目立つようになります。画面を見る時間が増えれば、それだけ目のピント調節に負担がかかりますし、運動不足が続けば、それだけ体重が増加しやすくなります。
また、本年度は通常の授業が多く行われ、子どもたちもマスク着用、うがいと手洗いの徹底などの新しい生活様式に慣れてきています。しかし、クラスメートとの関係の悪化、教師とのトラブル、いじめ、学習の遅れの心配など、コロナ禍の影響で生じた問題への対応は十分ではありません。教師も家族も、子どもたちの心身の不調に気付きつつも、どのような対策を打ち出せばいいのか、学校現場では試行錯誤している状況です」
Q.夏休み終盤、親や周囲の大人は、子どもたちとどのように接すべきでしょうか。