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批評家が選ぶ、ウォン・カーウァイ監督作ランキング!色褪せない“フレッシュ”なおすすめ10選

MOVIE WALKER PRESS

1990年代に巻き起こったミニシアターブームを象徴する映画監督の一人として、いまなお多くの映画ファンから熱烈な支持を集めているウォン・カーウァイ監督。躍動感に満ちあふれた映像表現と心奪われるストーリー。そして作品を彩る楽曲のチョイス。初期の作品群では香港映画界の活気を体現し、2000年代以降はそのアート性にさらなる磨きがかかる。唯一無二の作品世界は、クエンティン・タランティーノをはじめとした世界中の多くの映画人に影響を与えてきた。

そこで本稿では、ウォン・カーウァイ監督がこれまで手掛けた長編監督作品10本を、映画批評を集積・集計するサイト「ロッテン・トマト」で批評家の評価が高い順に一挙に紹介していきたい(『楽園の瑕』オリジナル劇場公開版は「ロッテン・トマト」上で未集計のため、再編集版である『楽園の瑕 終極版』を対象とした)。

「ロッテン・トマト」とは、全米をはじめとした批評家のレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積したサイト。批評家の作品レビューに込められた賛否を独自の方法で集計し、それを数値化(%)したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”で表される。好意的な批評が多い作品は「フレッシュ(新鮮)」なトマトに、逆に否定的な批評が多い作品は「ロッテン(腐った)」トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。

中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されるように。映画館に掲示されたポスターに堂々と輝くトマトのマークを見たことがある方も多いだろう。

それでは、ウォン・カーウァイ監督作品の“フレッシュ”10傑を挙げていこう。

■95%フレッシュ『天使の涙』(95)
■91%フレッシュ『欲望の翼』(91)
■91%フレッシュ『花様年華』(00)
■88%フレッシュ『恋する惑星』(94)
■86%フレッシュ『2046』(04)
■85%フレッシュ『いますぐ抱きしめたい』(88)
■82%フレッシュ『ブエノスアイレス』(97)
■78%フレッシュ『楽園の瑕 終極版』(08)
■78%フレッシュ『グランド・マスター』(13)
■45%ロッテン『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(07)

もっとも高い評価となる95%フレッシュを獲得したのは、レオン・ライとミシェル・リー、金城武、チャーリー・ヤン、カレン・モクといった当時の若手スター5人が共演した青春群像劇『天使の涙』。日本ではミニシアターブームの聖地のひとつである渋谷の「シネマライズ」で公開され、5か月間にわたるロングランを記録。ウォン・カーウァイ人気を決定付けた作品だ。

クールな殺し屋の男と、彼に密かな恋心を抱き、“別れ”を予感しながら仕事を依頼するエージェント。そんななか、殺し屋は大雨の日にマクドナルドで金髪の女に出会い、互いのぬくもりを求める。一方、期限切れのパイナップル缶を食べて口がきけなくなったモウは、失恋したての“失恋娘”と出会い恋に落ち、彼女にある提案を持ちかけることに。

ウォン・カーウァイ作品に欠かせない名カメラマンのクリストファー・ドイルのセンスが活きた夜の香港の街並みの情景と、そのなかを疾走する若者たちのスリリングでロマンティックな生き方。元々は『恋する惑星』のなかの1エピソードとして予定されていた物語であり、金城の演じる役名は同作と同じ。異なる作品であっても登場人物や設定などがリンクしている点は、ウォン・カーウァイ作品を観るうえでの楽しみ方の一つではないだろうか。

その代表的な例として挙げられるのは、91%フレッシュを獲得した『欲望の翼』でマギー・チャンが演じた役名が、『花様年華』で同じくマギー・チャンが演じた役柄に引き継がれていること。さらにその『花様年華』でトニー・レオンが演じた役柄は『2046』へとそのまま引き継がれ、同作ではカリーナ・ラウも『欲望の翼』と同じ役柄で登場するなど、事実上の3部作が成立している。独立した作品として観ることができつつも、続編として観ることもできる。一つの作品に二つの見方を与えるというのは実に魅力的だ。

『花様年華』は、ウォン・カーウァイ作品のなかでも極めて高い評価を獲得した珠玉のラブストーリー。初お披露目の舞台となった第53回カンヌ国際映画祭ではトニー・レオンが最優秀男優賞を受賞し、それを皮切りに英国アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど、世界中の映画賞、映画祭で46の賞を受賞。2016年にイギリスのBBCが発表した「21世紀でもっとも偉大な映画100」では第2位に選出され、制作から20年以上経った現在でもその評価は年々高まり続けている。

ほかにも映画ファンが愛してやまない傑作『恋する惑星』をはじめ、アルゼンチンの絶景の中で描かれる2人の男の切ないラブストーリー『ブエノスアイレス』。長編監督デビュー作となった『いますぐ抱きしめたい』と、ほとんどの作品が批評家から高い評価を得ていることがよくわかる。初の英語劇でジュード・ロウと歌姫ノラ・ジョーンズが共演した『マイ・ブルーベリー・ナイツ』だけは低評価に終わったものの、随所に『恋する惑星』を想起させる同作もウォン・カーウァイ作品のファンなら見逃せない一本だ。

トニー・レオンがイップ・マンを演じた武術アクション映画『グランド・マスター』以降、10年近くも新作の長編映画を発表していないウォン・カーウァイ監督。近年はプロデューサーとして、『光にふれる』(12)では台湾のチャン・ロンジー監督を、『プアン 友だちと呼ばせて』(公開中)ではタイのバズ・プーンピリヤ監督と、アジアの若手監督の育成に力を入れながら、自身の監督作としてドラマシリーズを手掛けることなどが報じられている。

また『花様年華』の制作20周年を記念して自らの過去作の4Kレストアプロジェクトにも着手。完成した作品は世界各国で上映されており、日本ではあす8月19日(金)より、特集上映「WKW4K」として『恋する惑星』『天使の涙』『ブエノスアイレス』『花様年華』『2046』の5作品が上映される。

監督自身が「単なる焼き直しではなく、新たに生まれ変わった作品」と語る今回の4Kレストアプロジェクトでは、5作品それぞれの海外版A3ポスターを使用した“ポスタームビチケ”が販売されており、購入したユーザーからSNSを中心に反響が拡散。当時を知らない若い世代からの購入も多く見られたのだという。

すでに『恋する惑星』と5作品セットが完売となっている“ポスタームビチケ”。販売期間は本日18日の23:59までとなっており、気になる方はお早めにムビチケ公式サイトをチェックしてほしい。

そして来たる明日からの上映では、ウォン・カーウァイ映画をスクリーンで観るという、鮮烈で忘れがたい体験を味わってみてはいかがだろうか。

文/久保田 和馬
 
   

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