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『ちむどんどん』比嘉家メンバーに感じる不憫さ “成長が制限”されている?

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 また、賢秀(竜星涼)がやってしまった。NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』ではヒロインの暢子(黒島結菜)をはじめとする比嘉家のメンバーに“成長が制限”されているかのような不憫さを感じざるを得ない。

『ちむどんどん』なぜ誰も賢秀を止めない?

 第19週「愛と旅立ちのモーウイ」は、無事に和彦(宮沢氷魚)と結婚した暢子が沖縄料理屋を始める決意をする。初めて自分で書く事業計画書は甘く、これからやることが盛りだくさん。しかし、そんな彼女が自分自身の困難に出くわす前に、彼女の周囲の人間が困難にぶつかってしまった。そしてそれは、決して初めてのものではない。

 まず、賢秀がついにねずみ講に手を出してしまったことだ。我那覇(田久保宗稔)と再会した時は彼を詐欺師としっかり認識し、怒っていただけに何故またこんなことになってしまったのか、本当に残念でならない。これまで何度も彼の勝手さや無知による騒動で周りの人が迷惑し、傷ついてきた。最初こそは反省の色も見せずに、その世間知らずさと傲慢さに視聴者からヘイトを買い続けた賢秀。

 暢子の就職先の社長の息子を殴り、謝ることを拒否して暢子に迷惑をかけた。その後は沖縄の本土復帰に伴う米ドルから日本円への通貨交換の際に、我那覇に金を預ければ倍になるという内容で、賢秀は1000ドルを騙し取られた。そしてボクシングジムでギャランティーを持ち逃げしたり、再び我那覇と紅茶豆腐を使って悪徳ビジネスをしたり。“人をすぐ信じてしまう”という賢秀のキャラクター性を強く描く意図があったとしても、あまりにも騙されすぎている。さらに、ここ最近は家族のためにどうにか逆転したい、迷惑ばかりかけて申し訳ないという賢秀の心情も表に出てきたからこそ、だんだん“賢秀というキャラクター”が学ばせてもらえないことに、不憫さを覚えてくる。

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 それは、彼に限らず他の比嘉家メンバーにも言えることだ。歌子(上白石萌歌)は三線で同じ歌を何度も歌うことばかりのキャラクターになってしまい、体調が良くなることもない。その体調不良キャラを“使って”、暢子の披露宴に智(前田公輝)を連れてくることに成功しているが、本当に体調が悪い人間がああいった嘘のつき方をするのは些かどうなのだろう。智は本当に心配していたのだから、もう少し彼女に怒っても良かったはずだし、披露宴に行きたくない彼を無理やり連れ出してある意味全員で“ネタ扱い”したり、スピーチを無茶ぶりさせるのも智が子供の頃から暢子が好きだった事実を考えると少しかわいそうなことだ。

 賢秀の過ちに再び加担してしまった優子(仲間由紀恵)の成長のしなさぶりも不憫である。優子は過去の戦争の体験を子供たちに語った際に、彼女なりの子供の愛し方が過去の弟との関係性からある程度理解できるようになった。ある意味、彼女のダメな部分の理由が物語として明かされ、それが描かれた後はもう向上していっても問題のないキャラクターなのだ。しかし、再び盲目に息子を信じてしまう母親に逆戻りしてしまった。

 同じようなキャラクターアークを繰り返されているのは、良子(川口春奈)も同じだ。彼女は常に、自分の思い通りにならない問題にぶつかり、それをどうにか自分の思い通りにするために悪戦苦闘する。その過程にたくさんの自分本位な行動、“間違い”が描かれるのだが石川家の問題や晴海(鈴木咲)の育児、学校の生徒との関係性を通して常に毎回同じことになっている。その度に反省する彼女は、賢秀と同じでその反省を生かしたキャラクターの成長を制限されているかのように、エピソード作りのため同じ描き方がされてしまっている。

 人は、特に大人になると簡単には変われない。ある意味、真理ではあるし、それを描こうとしているのであれば『ちむどんどん』はかなりビターな朝ドラ作品というわけになる。しかし、人生に浮上してくる問題の種類はたくさんあって、多角的にそのキャラクターの成長すべき点を描くことはいくらでもできるはずだ。そして、簡単には変われなくても変わる努力や、少しくらい変われた部分を映してあげることもキャラクターにとって大切なことではないだろうか。(ANAIS)

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