鷲尾さん「『耳あかのせいでかゆくなる』とよく勘違いされますが、耳あかが原因で耳の中がかゆくなることはありません。耳あかは、もともと耳から自然に出ていく仕組みになっています。そのため、綿棒などで耳(皮膚)に触れる行為は逆効果で、悪影響でしかありません。
耳の中は自分で見ることができないので、触らないことが鉄則です。また、耳掃除は、基本的に自分でやらずに耳鼻咽喉科に依頼してください。
耳がかゆいときに『耳掃除』ということで綿棒や耳かきを使えば、罪悪感が薄れますが、基本的にはかゆみがあっても我慢することが大切です。もし我慢できれば、かゆみがひどくなることはありません」
Q.花粉が多く飛ぶ春は、耳あかの色が濃くなることがあります。耳あかの色によって、耳の中の状態が分かるものなのでしょうか。耳あかの色によって、耳の病気を疑うべきケースがあったら、教えてください。
鷲尾さん「かゆみと耳あか自身の変化には、大きな関係はないと思います。あくまでも耳あかの症状は、遺伝などの体質が大きく関与していると言われています。
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ただし、耳あかに膿(うみ)などの分泌物が混ざった場合は、耳あかが変化したものかもしれません。その際は耳の病気を疑う必要があります。例えば、外耳炎や中耳炎などが考えられます。
耳の中はあくまでも見えない部分なので、自己判断はせずに、変だと思ったら、耳鼻咽喉科を受診してください」
Q.耳の中のかゆみを防ぐために、普段から取り組むべき対策について、教えてください。
鷲尾さん「耳の中のかゆみを防ぐポイントは、ずばり『触らないこと』です。綿棒や耳かきで触らないことはもちろん、自分で薬を塗ることなどもおすすめしません。あくまでも薬を使うのは、触らないようにするためです。
薬を使う場合は、使ったり使わなかったりを繰り返すのではなく、必要な時期に必要な量をしっかり使用し続けるようにしましょう。そのためには、自己判断するのではなく、耳鼻咽喉科で診察してもらってください」