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仲野太賀“諭”と草なぎ剛“武志”の兄弟をつなぐ、シリアスとユーモアを織り交ぜた脚本の巧みさ<拾われた男>

WEBザテレビジョン

仲野太賀主演「拾われた男」(毎週日曜夜10:00-10:45、NHK BSプレミアム)の第8話が8月14日に放送。諭(仲野)が知らなかった兄・武志(草なぎ剛)の15年間が明かされていきつつ、家族のかたちが少しずつ変化する様子が描かれた。シリアスな重みとクスっと笑える面白さがある濃密な展開となった。(以下、ネタバレがあります)

■帰国を拒否する兄・武志の理由とは…

本作は、俳優・松尾諭が自らの波乱万丈なサクセスストーリーを書いたエッセーをドラマ化。俳優志望の男・松戸諭が、他人に“拾われ”続けることで夢も恋も掴んでいくヒューマン・コメディ。

ウォルト・ディズニー・ジャパンとNHKエンタープライズの共同制作で、ディズニープラス向けのコンテンツとして日本国内の制作会社との初の共同制作作品となる。NHK BSプレミアムでの放送のほか、ディズニープラスのブランドコンテンツ「スター」で見放題独占配信(毎週日曜夜11時配信)される。

アメリカにいた武志が脳卒中で倒れ、15年ぶりに再会した諭。第8話は、不法滞在である身ながら「日本に帰らない」という武志の思いを知ることに。

■諭は武志が少年の父親代わりを務めていたことを知る

武志の親友・ウッディと共に、武志が長年一緒に過ごした女性・エイドリアンに話を聞く諭。

実は、祖母の具合が悪くなり、諭からの一時帰国できないかというメールを受け、武志は帰国の準備をしていた。そのとき、シングルマザーのエイドリアンが子育てへの不安を訴え、武志はかつて自分を助けてくれた彼女のため「俺がそばにいるよ」と言ったのだった。

とはいえ「もっと別な理由があるんじゃない?」とエイドリアン。すると、エイドリアンを助けていた武志の状況が分かった諭が「ヤバイ…」とつぶやいた。ちょうどそのころ、祖母が亡くなっても連絡がままならなかったことに諭が怒って「もう縁を切ります」とメールを送っていたのだ。エイドリアンは、武志はメールの内容は教えてくれなかったが、「その日から人が変わった」と明かした。

しかし、帰国したくない理由は、エイドリアンの息子・ショーンとの約束があったからだ。ショーンは馬鹿にされた友だちに、武志が有名な野球選手だったとうそをついてしまい、それにのって武志はショーンの誕生日にピッチングを披露し、その球をショーンが打つと言ってしまっていた。その練習中に脳卒中で倒れたのだった。

■諭たちの思いを笑いあり、切なさありですくい上げる巧みな脚本

それから、諭は武志からも過去の出来事の真相を聞いた。

スペシウム光線を「みんなが笑顔になれるおまじない」とショーンに伝えていた武志。諭は幼いころにスペシウム光線をされたのが嫌で仕方なかったのだが、武志の真意はそれも諭のため。母・きく(石野真子)に「土手で拾ってきた子」とキツい冗談を言われて不安がっている諭を笑わせようとしたのだ。

苦手だった武志の真の姿を知っていく諭。ひとまず帰国し、状況を父・平造(風間杜夫)ときくに伝えると、やがて武志の帰郷に備えての考えの違いで、2人がけんかしてしまう。諭の妻・結(伊藤沙莉)と娘・福子(永尾柚乃)も巻き込まれながら、家族のかたちが少しずつ変わっていく。

過去のことが現在につながって、さらに未来へと変化していく様を、シリアスとコメディを織り交ぜて巧みに見せる脚本。また、それを、仲野をはじめとするキャスト陣が絶妙な塩梅で体現する。ウッディ、エイドリアンとの話し合いのときに諭がうろたえたり、病床の武志が諭を笑わそうと麻痺の残る左手を右手で動かしてスペシウム光線のポーズしながら変顔をしたり、ショーンに諭がツッコんだり…、クスっと笑えたり、切なさや温かみにあふれ、45分で濃密な物語が描かれた。

次回、8月21日(日)放送の第9話では、ショーンとの約束を果たすため、武志になり代わり、諭は大芝居をうつ。

※草なぎ剛のなぎは、弓へんに前の旧字体その下に刀が正式表記

◆文=ザテレビジョンドラマ部

 
   

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