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今晩生配信!映画をたった3日で撮影、編集、完成…「日本ホラー映画大賞」受賞監督の挑戦に密着

MOVIE WALKER PRESS

たった3日で、ホラー映画は完成するのか――?

動画コミュニティサービス「ニコニコ」で8月13日から8月15日までの期間、無謀とも思える挑戦に立ち向かう企画「3日でホラー映画を作ってみよう!」が生配信されている。なんと台本やスケジュール表をはじめ、制作現場のリアルな様子まで、その全貌が視聴者に丸ごと披露されるというのだからおもしろい。今回の監督を務めるのは、『父さん』(21)で「第1回日本ホラー映画大賞」審査員特別賞を受賞した平岡亜紀。MOVIE WALKER PRESSでは、今晩22時から行われる完成作の有料配信を前に、平岡組の奮闘に密着。「撮影2日、編集1日というスパルタなスケジュール(笑)。やりきろうという熱い想いを胸に頑張ります」と意気込んだ平岡監督の、「よーい、アクション!」と元気な声が響いた現場の模様をお伝えする。

■平岡亜紀監督、「3日での制作はかなりのチャレンジ」と驚きつつ、俳優としても参加!

日本最大級の動画コミュニティサービス「ニコニコ」が開催中のホラーイベント「ネットホラーフェスティバル2022」(9月11日まで開催)内で配信されている本企画。令和の新しいホラー映像作家の発掘、支援を目指して立ち上がった、日本初のホラー映画専門のフィルムコンペティション「第2回日本ホラー映画大賞」の連動企画として行われるもので、視聴者はホラー映画のつくり方を制作現場の様子と共に知ることができる。

撮影初日の8月13日は、奇しくも台風8号が関東を直撃。「ニコニコ」の生配信が開始すると同時に大雨が降りだすなど怒涛の3日間を予感させる幕開けとなったが、生配信の画面には「(この企画)昨年もおもしろかったから見にきたよ」「頑張れ!」と視聴者からの温かなコメントが並び、スタッフ陣も一層士気を高めていた。

今回の企画の監督に選出された平岡監督は、「第1回日本ホラー映画大賞」授賞式で審査委員長の清水崇監督から「この作品にはゾッとさせられた」と監督作の『父さん』を絶賛された新鋭。クランクイン直前に意気込みを聞いてみると、「3日間でホラー映画を撮るという企画は、かなりチャレンジな気がしています。オファーをいただいた時はうれしさと同時に、大変そう!という驚きがありました」とにっこり。「何度もロケハンをさせていただいて、そこでなるべくカット割りを決めて今日に臨みました」とハードスケジュールだけに入念に準備をしてこの日を迎えたという。

本企画で撮りあげるホラー映画のタイトルは、ハッシュタグ「#ホラつく」で投稿された案から、平岡監督選定のうえでニコ生アンケートによって決定する…というプロセスを経て、『廻岐』に決定。台本は公式サイトで閲覧することができるが、エレベーターに乗り合わせた男女が謎の地下室に迷い込み、脱出を試みるなかで不気味な出来事に遭遇していく…というストーリーだ。

平岡監督は「貞子やお化けが出てくるタイプの映画ではありませんが、『なんだか気味が悪い』と感じてもらえるような、じっとりとした怖さを出せたらいいなと思っています。人間のせつなさや恐ろしさも表現できたら」と本作に込めた想いを吐露。撮影現場の様子がすべて視聴者に生配信されるとあって、「長回しのシーンも多いので、役者さんたちが頑張っている姿もぜひ見ていただきたいです」とアピールしていた。さらに俳優としても活動している平岡監督は、本作にキャストとしても出演するという。八面六臂の活躍に期待がかかる!

■VTuberの朝ノ瑠璃や伊崎央登、まるぴら個性豊かなキャストが顔をそろえる!

撮影は、平岡監督演じる白岡明美が、自身の担当する作家、高津奈美と電話をしているシーンからスタート。高津奈美役には、VTuberで声優の朝ノ瑠璃が抜てきされた。VTuberとのタッグは初めてだという平岡監督と、「緊張しています」という朝ノだが、演出上のやり取りをするなかでも笑顔が絶えず、現場に明るい空気が流れる。

スタッフの一員になったかのように、視聴者が撮影現場を堪能することができる本企画だが、さらに“アンケートによって劇中で使用されるアイテムが決まる”という、視聴者参加型のイベントも用意された。まず一発目の視聴者セレクトとして、オレンジジュース、カフェラテ、コーヒー、青汁の4アイテムのなかから、平岡監督扮する白岡の飲むドリンクを決めることに。

ここではぶっちぎりで青汁が人気を獲得し、平岡監督は「青汁を飲みながら、お芝居をしながら、監督業も頑張ります(笑)」と青汁の苦味もなんのその。緊迫感あふれる演技を披露した朝ノと掛け合いをすると、すぐさまモニターをチェックするなど、監督・俳優とスイッチを切り替えながらテイクを重ねていく。時間が限られたなかでもこだわりを込め、パワフルかつ粘り強く撮影に挑んでいたのが印象的だ。

エレベーターに乗り合わせる男女を演じるのは、上島信彦、伊崎央登、まるぴ、柴田明良の4人。「よろしくお願いします!」と元気に現場入りを果たし、「手を振って」という視聴者からのお願いにも笑顔で応えていた彼ら。ビルの真っ暗な地下室に迷い込むシーンでは、暗闇とじっとりとした暑さもホラー映画の雰囲気を盛り上げる。

“後ろを振り向くとパジャマ姿の老人、和夫が立っている”というドキリとするような恐怖描写もあるが、台本上で和夫は「あぁぁ…」といううめき声を出すことになっているところ、平岡監督が「和夫がなにも言わずに立っているほうが怖いのでは」と思いつき、俳優陣も「それならばセリフは、こうしたほうがいいかも」などそれぞれがアイデアを出しながら、どんどんホラー映画としての魅力を増幅させていく。視聴者にとっては、新鮮な恐怖描写を生みだすためにどのような工夫が施されているのかなど、貴重な一コマを目にできるはずだ。

スタッフの話し合いによって「ここのシーン、まとめて撮っちゃいましょう」など臨機応変に効率よく撮影できる方法を見つけていく瞬間もありつつ、どんな時も現場を盛り上げていたのが、平岡監督の「もう一回お願いします」「バッチリです!」と周囲に声をかける溌剌とした姿。背筋が凍るような怖い映画を撮りながらも、現場は気持ちのよいコミュニケーションが続いていた。

■「映画づくりって大変だけれど、おもしろそうだな」と感じてほしい

視聴者も撮影クルーを応援したり、ツッコんだりしながら現場を見守っていたが、改めて本企画の醍醐味について、「日本ホラー映画大賞」を主催するKADOKAWAの小林剛プロデューサーに話を聞いた。

小林プロデューサーは「本企画を通して、たくさんの人に『ホラー映画ってこうやって撮っているんだよ』ということをきちんと伝えることができたら、“映画を撮る”ということに対してのモチベーションを上げてくれる人もいるのではないかと感じています。昨年から始めてみた試みですが、思っていた以上にたくさんの方々に見ていただくことができました」と口火を切り、「撮影現場を丸ごと見ることって、普通はできないことですよね。しかも本企画では、誰でも台本も読むことができて、撮影のスケジュール表も把握できる。つまり視聴者の方々が、スタッフと同じ情報を持ったうえで、スタッフの気持ちになって現場に張り付くことができるわけです。『映画づくりって大変だけれど、おもしろそうだな』と感じていただけたら、とてもうれしいです」と心を込める。

「第2回日本ホラー映画大賞」の応募開始を10月3日(月)に控え、新しい才能や若い世代の参入を待ち望んでいるという小林プロデューサー。「『撮ってみたい』という初期衝動を起こすことって、とても大切だと思っていて。いま映画はスマホを使って一人でも撮ることができるし、編集ソフトも安価で手に入る。やろうと思ったら、取り組むことができるもの。昨年の『第1回日本ホラー映画大賞』でニューホープ賞を受賞した中野滉人監督も、自分の部屋をロケ地にして、脚本、撮影、編集、出演までお一人でやられていました。『やってみよう』と思う人が増えたら、そのぶん、これまで隠れていたすごい才能を見つけることができるかもしれません」と、未来に思いを馳せる。

実写作品とアニメーション作品両方を対象とした「日本ホラー映画大賞」では、大賞受賞者には応募作品のリメイク版、または完全オリジナル新作映画で2023年以降に商業デビューが確約されている。またアニメ部門賞をはじめ、審査員特別賞や運営委員会パートナーによる各賞が設けられており、大賞ならびに各賞に選考された作品は劇場公開や配信展開も予定されている。実際、平岡監督が審査員特別賞を授賞した『父さん』も、8月18日(木)から8月21日(日)までの4日間、EJアニメシアター新宿にて開催される「第1回 日本ホラー映画大賞 授賞作品 特別上映会」で上映予定となっている。

小林プロデューサーの感じる、平岡監督作品の魅力は「とても品のいいホラーでありながら、それでいてものすごく怖い」ということ。「本企画で撮りあげる映画は、短編でありながらも、ドラマにきちんとひねりがあって、怖さのポイントもしっかりと意識したつくりになっています。撮影段階からご覧になっている方には『このシーンは、監督の演出に力が入っていたな』と思いながら本編を観ていただくと、とてもおもしろいと思います」と語りつつ、「監督、スタッフ、役者さんも頑張ってくれています。本当に完成するのか心配ではありますが(笑)、ご期待ください」と呼びかけていた。

現在編集作業真っ只なかの平岡監督最新作『廻岐』は、ついに今晩、8月15日22時より有料配信される。本当に完成したのか。どのような作品としてお披露目となるのか…。前代未聞の生配信を、ぜひ見届けてほしい!

取材・文/成田おり枝

※伊崎央登の「崎」は立つ崎が正式表記
 
   

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