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【漫画】「アパートの一室で切腹しようとした」“生きづらさ”と戦いつづけた作者の半生に共感する人続出

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【漫画】「アパートの一室で切腹しようとした」“生きづらさ”と戦いつづけた作者の半生に共感する人続出

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、作者の実体験をもとにした『腹を切って死のうとした話』をピックアップ。現在は夫とカナダで暮らす漫画家の武村沙紀さんが、“生きづらさ”と戦ってきた自身の半生を描いた今作。Twitterに投稿するやいなや5万件以上のいいねが集まり、「泣いてしまいました」「勇気をもらえました」「本当に救われました」など、同じ境遇や経験を持つ人たちからの反響が数多く寄せられた。この記事では、作者の武村さんにインタビューを行い、今作を描いたきっかけや、背景について語ってもらった。

■人の目や評価が気になる…“取り繕った私”が本当の自分を見つけるまで
「アパートの一室で私は切腹しようとした」――物語の冒頭、あまりに強い言葉のインパクトに驚き、一気に引き込まれる。

現在カナダ暮らしのエッセイ漫画をWebにて公開している武村沙紀さんは、実はつい数年前まで、普通の社会生活や経済活動をすることができない、いわゆる“生きづらさ”を抱えていた。人から受ける評価や社会的価値に支配され、自分を取り繕う癖がついたことで、思考と心が完全に分離してしまっていたという。そんな彼女が、社会の中で必死にもがき苦しみながらも前に進んでいく様子が、この作品の中には赤裸々に描かれている。

仕事を辞めて実家に引きこもった“うつ期”から、一念発起してカナダやインドに渡った“生まれ直し期”、好きなことを見つけ居場所を見つけた“現在”に至るまで、自問自答を繰り返しながら、さまざまな挑戦を重ねてきた武村さん。

一度はこの世から消えてしまおうとまで思い悩んでいたところから、どのようにして立ち直り、今に至ったのか。その過程を深く知るべく、今作を描いた経緯や、当時の心境、伝えたいことなどについて本人に語ってもらった。


■子供ができて「与えてもらう立場から与える立場になる」ことを意識するように
――「腹を切って死のうとした話」を描いたきっかけがあればお教えください。
現在はカナダ暮らしのエッセイ漫画を描いているのですが、今になって過去の体験を明かそうと思ったのは、子供ができたからです。ひとつの章が終わり、次の章を始める覚悟みたいなものをしたくなったんです。

――お子さんが産まれる前に、過去を振り返る必要があった?
子供という明確な未来を育てることに、いよいよ与えてもらう立場から与える立場になることに今までとは違うことが始まると感じたんです。今まで私は心で動きまわり、自分勝手に生きてきました。そのたびに多くの方に優しさをもらい、人の輪の中で生かされてきました。私は人から優しくされるとすぐ恩返しをしようとしてしまうのですが、ある人にお返しをしようとしたら「それは自分ではなく次の人に渡してくれ」と言われて、痺れたというか、ハッとしたんです。私の中には今まで会った人たちの優しさがあって、それを人に渡すこともできるんだ、もらうばかりではなく私からも渡すことで、優しい輪を広げたり繋げられるんだ、と気付きました。そういった経緯があり、過去の体験を明かすことで、誰かに何かを渡せたらと思いました。

――漫画作品とは言え、自身の過去や心の内を赤裸々に曝け出すというのは勇気が要ることだと思うのですが。
心の内を下手に隠したり、嘘をつく方が私にとっては後悔が大きいです。曝け出したほうが何かあっても何を言われてもそれが真実なので、しょうがないとスッキリしていられます。見せるなら見せる、食べてもらえるなら全部いてまえ! という気持ちです。一方で、実生活では友人に「たけさん(武村さん)は自分のことをあまり話さない」と言われたりします。それは、自分が話すよりも人の話を聴くのが面白くて好きだからというのと、自分の話はもう自分が知っていることで(笑)、自分の話なんておもろいんか? と疑っているところがあるからだと思います。だから、喋っている最中に人の意識が自分に向いているのに気付くと「まずい!この人の貴重な時間を私のおもろいんかおもろないんかわからん話に使っている!」と焦って喋るのがむっちゃ下手くそになります。その点、漫画を描くことは自分との対話なので焦ることもなく、自分のペースでできるのが良いです。喋るのが苦手なので作品で出す、みたいなものかもしれません。

――今作を描く上で特にこだわった点や、「ここを見て欲しい」というポイントがあれば教えてください。
「評価」「成果」「社会的価値」を求めて結果に執着していた人間が、自分にしか見えない、頼りない心から生き直すところです。自分で自分を好きになり、精神的な自立に向かう心の動きを見ていただけたら嬉しいです。

――「共感した」「生きる勇気をもらった」などのコメントが多く寄せられていますが、そういった反応をどう捉えていますか?
(自分と)似た人はいる気がする…くらいに思っていたので、予想しなかった量の反響にかなり驚きました。「描いてくれてありがとう」と言われた嬉しさと、今苦しんでいる人が沢山いることの両方に泣きました。描いたものは公に発表した時から私の手から離れます。手から離れた作品が、こんなに沢山の人に届いたこと、心で受け取ってもらえたことがありがたかったです。

■生きづらさの一番の原因は「取引の意識」にあった
――反対に、批判的なコメントもあったと聞きますが、それについてはどうお考えですか?
内容が内容なので、賛否が出るだろうなと思っておりました。特に「環境に恵まれているくせに」という意見については、本当にそう思います。日本に生まれ紛争の心配も無く、両親がいて何不自由なく育ててもらい、こんなに恵まれているのに、明日食べるものに困ってもいないのに、なぜ自分はこんななのだ、申し訳ない、とずっと思っていました。そして、それと同時に物質的豊かさと心の充足との違いや、自殺の多さについてもずっと考えていました。私が好きだった音楽家のAviciiや映画監督のトニー・スコットは、凄い才能を持ち、その分野で成功して富も名誉も手に入れたのに自殺してしまいました。なぜ人は充分に生きられる環境にいても自ら死を選んでしまうんだろう、肉体は生きられても心が死んでしまうのは何故だろう、と。自分の話に戻すと、私と同じ家庭で育った姉は鬱になることもなく、家庭を持ち、子を育てながら働いています。それなのに、私が心を病んだのは何故か。明確な原因はわかりませんが、誰のせいでもないと感じています。強いて言えば私の、自分にこだわりすぎる気質でそうなったとしか分かりません。

――現在、過去の武村さんと同じように社会生活を送れず悩んでいる方々へ伝えたいことはありますか?
これは作品内に収まりきらなかったことなのですが…私が布団から出られなかった時や無職の時、考えていて特につらかったのが「自分は社会から外れてしまった」ということでした。どこにも所属していなくて、何の肩書きもなくて、自分は社会から浮いている気がしていました。心細くてどこかに居場所が欲しいと思いました。でも、漠然と大きなイメージがある社会も元をたどれば小さなコミュニティの集まりで、その小さなコミュニティの中にひとりひとりの人間がいて成り立っています。始まりはひとりの人間です。布団の中から出られない自分も、既に社会の一部でした。問題は、「社会から外れた」と感じさせている社会の構造や、人との繋がりの意識が希薄な自分の心でした。誰しも人間はひとりでは生きられません。私もそれまで多くの人に助けられ、支えられて生きてきました。なのに、繋がりの実感が不充分だったのです。業務をこなして報酬を得るのが取引ですが、私は生活や人間関係にも取引の意識を持ち込み、義務と成果や結果ばかりを求めて、生きる楽しさや愛を見失い動けなくなりました。「こうでなければ愛されない」「こうすれば愛される」と思っていました。それが、繋がりの実感の希薄さの原因です。人と人の心は取引では繋がらないし、愛も取引で得られるものではありません。人と繋がり愛し愛されることは、形にも数字にも残らない些細な思いやりの積み重ねと、自分の心を素直に見せることでした。生きる楽しさは得る結果では無く、心の望みに手を伸ばすことそのものでした。肩書きや社会的な位置は関係がなく、自分の心で関わったものが繋がりとなり居場所となるのだと分かりました。今苦しんでいる人が少しでも、疎外感や取引の意識から解放されることを願います。あとは、しんどい状態から少し心に余裕がでてきたら、旅することを猛烈におすすめします。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも読んでくださってありがとうございます。メッセージを頂くたびに飛び上がって喜んでいます。良かった、面白かった、一言でも凄く嬉しいです。ひとつひとつにお返事を返せませんが、全て読んでいます。出産を終えたばかりで、なかなか漫画が更新できなくてすみません! 今後もおもしろいものを描いていきますので、これからも応援をよろしくお願いします。

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