「ONE PIECE」の映画には、これまでも多くの映画オリジナルの女性キャラクターが登場してきた。いずれも魅力的な容姿や性格、ユニークな”悪魔の”実の能力者たちで、またいつかどこかでお目にかかりたいと思うキャラクターばかり。本稿では、そんな“映画だけではもったいない”女性キャラたちを振り返っていきたい。
■『ねじまき島の冒険』のハニークイーン
「ONE PIECE」映画2作目となる『ワンピース ONE PIECE ねじまき島の冒険』(01)に登場したのが、ねじまき島を根城にするトランプ海賊団の一員であるハニークイーン。金髪ツインテールのナイスバディなお姉さんで、初登場シーンではなんと一糸纏わぬ姿を披露(!)。そのエロカワいさが魅力だ。”トロトロの実”の能力者である彼女は、自身の身体を液状に変えてルフィたちを翻弄する。そのルックスはもちろん、林原めぐみがボイスキャストを務めたことからも再登場の要望が高いキャラクターの一人だ。
■『ONE PIECE FILM Z』のアイン
FILMシリーズ2作目となる『ONE PIECE FILM Z』(12)に登場したアインは、海賊抹殺を企む元海軍大将ゼットが率いる“NEO海軍”の一員で、”モドモドの実”の能力者。手から放つ光に触れたものの時間を12年戻す能力で、劇中ではナミが子どもの姿にされてしまったほか、ロビン、チョッパー、ブルックも能力の餌食に。尾田が「(スタッフから)美人を所望されて描いた」というそのビジュアルは、まさに正統派美女で、キャラクターボイスを篠原涼子が務めた。
■『ONE PIECE FILM GOLD』のバカラとカリーナ
能力のユニークさで光るのは、『ONE PIECE FILM GOLD』(16)に登場した”ラキラキの実”の能力者、バカラだろう。触った相手や物の運気を吸い取ることで、自身の幸運度を上げることができる能力。カジノで絶好調だったルフィの運気を一気に下げただけでなく、病気とは無縁の彼に猛烈な腹痛を引き起こさせ、仲間も啞然とする状況に。また戦闘では、適当に放ったコインが様々な連鎖反応を起こすことで思いもよらない大ダメージを相手に与えるなど、独特かつ厄介な攻撃を仕掛けて一味を苦しめた。
同じく『FILM GOLD』に登場したカリーナは、世界最大のエンタテインメントシティ“グラン・テゾーロ”の歌姫として、冒頭から美しい歌声を披露して話題を呼んだ。ナミとは過去に因縁がある怪盗で、ナミを「泥棒猫」と呼び、逆にナミからは「強欲女狐」と呼ばれている。劇中では、テゾーロのビッグマネーをねらい、麦わらの一味と協力関係を結ぶも、ナミのライバルだけあって一筋縄ではいかず…。最後まで行動の読めないキャラを、かつてFolder5のメンバーとしてテレビシリーズと劇場版短編の主題歌を担当した満島ひかりがチャーミングに演じた。
■『ONE PIECE STAMPEDE』のアン
前作『ONE PIECE STAMPEDE』(19)に登場したアンは、もこもこした緑色のツインテールが目を引く歌姫。”ビジョビジョの実”の能力者である彼女は、イメージを映像化することができ、海賊万博のスペシャルゲストとして場を盛り上げた。実は映画が初出ではなく、もともとは東京ワンピースタワーで行われていた舞台「ONE PIECE LIVE ATTRACTION “3” 『PHANTOM』」に登場したキャラクター。映画では指原莉乃が声を務めたが、舞台ではテレビシリーズで現在活躍中のヤマトの声を担当している早見沙織が演じていた。
■“シャンクスの娘”にして世界的な歌姫のウタ!
ここまで紹介したキャラクターに新たに加わるのが、『FILM RED』のウタだ。幼少期にルフィと会ったことのある彼女だが、とある事件によって突然姿を消してしまう。12年後、世界で最も愛されている歌姫となったウタは、音楽の島、エレジアで全世界に向けたライブを開催。観客として訪れたルフィと再会し、“シャンクスの娘”であることがルフィの口から明かされる。
“シャンクスの娘”というだけでかなりセンセーショナルだが、加えて、歌唱キャストを歌手のAdoが担当することでも話題に。劇中では、中田ヤスタカやMrs. GREEN APPLE、秦基博といったアーティストが提供した全7曲を披露しており、主題歌「新時代」のMVは2609万を超える再生回数を記録している(※8月13日現在)。
また、ウタ自身が「ウタ日記」をYouTubeで配信しており、ライブを開催することや、どんな思いで歌っているかなど、映画につながるような内容を語っている。『FILM RED』の世界と現実の世界がつながったような感覚にさせてくれる試みは新しく、ウタの思いを受け取ったうえで映画を観れば楽しみも倍増すること間違いなしだ。
尾田が「映画製作スタッフ全員“ウタちゃんが大好き”」とコメントしたことでも、そのキャラクター像に期待が高まるウタ。彼女のあふれる魅力を劇場で確かめてほしい。
文/榑林史章