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ハリウッドをリードする鬼才、ジョーダン・ピールのスゴさとは?

MOVIE WALKER PRESS

3年ぶりの新作となる『NOPE/ノープ』(8月26日公開)が北米週末興行ランキングで初登場1位を獲得したジョーダン・ピール監督。10代後半からコメディアンとして活躍し、テレビシリーズ「キー&ピール」などで名を馳せた彼は、2017年の監督デビュー以後、個性的な3本の監督作を送りだし、いずれもヒットを記録。批評家からも絶賛されており、いまやハリウッドで十指に数えられる重要な映画監督といえる存在になった。

ピールの作品でテーマとして描かれているのは、人種差別、格差、分断…といったアメリカ、ひいては世界が抱える現代の社会問題だ。しかもホラー/スリラーというジャンルムービーとしてのおもしろさも追求しており、社会性と作家性とエンタメ性が見事に両立している。そして、すべてがオリジナル脚本であり、いま一番最新作が観たい監督と言っても過言ではないほど。そんな彼の新作『NOPE/ノープ』公開に備え、監督作の魅力に注目しつつ、フィルモグラフィを振り返ってみよう。

■いきなりアカデミー賞受賞!衝撃の展開に震撼のデビュー作『ゲット・アウト』

記念すべき監督デビュー作は、世界的ヒットメーカーのジェイソン・ブラム製作のもと作られた『ゲット・アウト』(17)。製作費約450万ドルという低予算にもかかわらず、世界興行収入は約2億5000万ドルを超える大ヒットを記録。さらに第90回アカデミー賞で主要4部門にノミネートされ、脚本賞を受賞している。

物語を一言で説明すると「黒人の主人公が、白人彼女の実家に挨拶に行ったらヤバかった」というもの。アフリカ系アメリカ人の主人公クリスは、恋人のローズの実家で過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人たちの不可解な行動に違和感を覚える。そして催眠術、奇妙なパーティなどの逸話が絡み、怒涛の展開&衝撃のクライマックスへ向かっていく。

半世紀前の作品である『招かれざる客』(67)でも描かれた「黒人と白人の結婚」というテーマを扱いつつ、あからさまな人種差別主義者ではなく「オバマ支持者だから人種差別などしない」と言い放つリベラルな白人の偽善を暴くという点で、より複雑化した現代の黒人差別問題を鋭く風刺している。そして、本作が監督の実体験に基づいているというのもポイント。白人の母や白人の妻(チェルシー・ペレッティ)がいるピールですら、黒人として差別的な体験をしている現実こそ、真の恐怖かもしれない。

■“わたしたち”に襲われる!?邪悪な分身の恐怖を描く『アス』

再びジェイソン・ブラムとタッグを組んだ監督2作目『アス』(19)は、『それでも夜は明ける』(13)でオスカー女優となったルピタ・ニョンゴが主演を務めるサプライズ・スリラーだ。「私なりの解釈で“邪悪な分身”を描いた最高のドッペルゲンガー映画を作りたかった」とピール自身が語るように、“最大の敵は自分”というテーマを掲げ、格差社会の歪曲を見せつけた意欲作となっている。

主人公アデレードは、夏休みを利用して幼い頃に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家に、夫と2人の子どもたちと共に訪れる。彼女はビーチへ出掛けるが不可解な出来事に見舞われ、幼少期のトラウマがフラッシュバックしてしまう。その夜、家の前に自分たちとそっくりな4人組の“わたしたち”が現れる。なぜ自分たちそっくりなのか、一家は生き延びることができるか。数々の伏線と謎、サバイバルのスリルとバイオレンスの衝撃が結び付いた快作だ。

ホラー/スリラー映画ファンでもあるピール監督ならではの、細部にちりばめられた名作へのオマージュを楽しむことができる一方で、根底に込められた階級差別や格差社会への批判も痛烈。ネタバレとなってしまうため詳細は控えるが、物語の後半にはとある“地下”が登場。これは同時期の『パラサイト 半地下の家族』(19)や『ジョーカー』(19)などと重なる表現としても興味深い。

■田舎町で“最悪の奇跡”が起こるサスペンス・スリラー『NOPE/ノープ』

そして最新作となる『NOPE/ノープ』で描かれるのは、巨大飛行物体にまつわる恐怖と、“最悪の奇跡”だ。田舎町で牧場を営む主人公OJは、半年前に飛行機の部品の落下による衝突事故で父を失ったが、そんな“最悪の奇跡”を受け入れられず、なにより事故の際に目撃した飛行物体を忘れられずにいた。牧場の共同経営者である妹エメラルドはOJの話を聞き、その巨大飛行物体を撮影して、“バズり動画”を世に放つことを思いつく。

『ゲット・アウト』で主演を務めたダニエル・カルーヤと再タッグを組んだほか、クリストファー・ノーラン監督作品のカメラマンとして知られ、『ダンケルク』(17)ではアカデミー賞撮影賞にノミネートされた撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマを迎え、ピール監督史上もっとも大きなスケールの物語となった。監督自身も「こんなに広範囲に及ぶ物語を伝えようと試みたのは初めてだ」と振り返っており、どのような仕上がりになっているのか、日本公開が楽しみだ。

なお、『NOPE/ノープ』の公開を記念し、レンタルビデオショップ ゲオでは「予習・復習レンタルキャンペーン」を現在実施中。期間中に対象作品『ゲット・アウト』『アス』の2本を店舗もしくはゲオ宅配でレンタルすると、抽選で豪華賞品が当たる。すでに観ている人も、まだ観ていない人も、この機会にジョーダン・ピール監督の過去作を鑑賞して、新作に備えてみては?

文/月刊シネコンウォーカー編集部
 
   

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