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現代でも色褪せない「トータルフットボール」。欧州王者マドリーには周囲を活かす3人の“トータルフットボーラー”がいる

SOCCER DIGEST Web

「トータルフットボール」

 それは1960年代、オランダの名将リヌス・ミケルスが考案した理念である。それをヨハン・クライフがアヤックス、オランダ代表の選手としてピッチの上で体現した。50年以上も昔の話だ。

 しかしながら、まったく色褪せない。その哲学と実践は、今も最新である。
 
 攻撃は守備であり、守備は攻撃であり、二つは対として同時に存在している。そのため、常に良いポジションを取って準備をする必要がある。そこで必要な技術こそ、サッカー選手の土台で、それを維持するために体力が要る。スペースが要求するプレーを選ぶ判断力は不可欠で、「サッカーを知っている」と表現される。しばしば、そこで差がつく。

 トータルフットボールではポジション的に解き放たれ、自由だった。本来的にはFWも、MFも、DFもない。クライフに言わせれば、GKですらフィールドプレーヤーと同等のことができなければならなかった。そのユーティリティ性が変幻のプレーを作り出し、様々なコンビネーションの成熟によって、サッカーを無限にしたのだ。

 例えばラ・リーガ王者で欧州王者にも輝いたレアル・マドリーは、「個人」の色合いの強いチームだが、その個人はトータルフットボーラーだった。
 
 その筆頭が、クロアチア代表MFルカ・モドリッチだろう。ピッチのどこにいても、プレーを動かすことができた。まさにトータルフットボーラーの化身。然るべき場所で、然るべきタイミングで、すべきことを知っているし、してはいけないことも知っている。ボールを受け、弾くとプレーが“走り出す”。何気ないパスに明確なメッセージが込められ、プレッシングにも意味があるのだ。
 
 フランス代表FWカリム・ベンゼマもトータルフットボーラーの系譜の選手だろう。周りを輝かせ、自らも輝くことができる。前線でいつ、どのようにボールを受ければ、プレーが活性化するのか、十分に心得ている。そのインテリジェンスのおかげで、ブラジル代表ヴィニシウス・ジュニオールを覚醒させたとも言える。

もう一人、トータルフットボーラーの称号を与えたいのが、スペイン代表DFナチョだろう。バックラインでは左右センターバック、左右サイドバックなど試合中にもポジションを変えたが、どのポジションであってもクレバーに適応。決して大柄でも、俊足でもないが、賢くうまさのあるディフェンスで、空間や時間を支配した。

 彼らが要所にいることで、周りの選手の持ち味を引き出すこともできた。3人は、ミケルス、クライフが打ち立てたトータルフットボールを十全に発揮することによって、マドリードを覇者にしたのだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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