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【用賀ベアーズ】子ども達のピークは今じゃない、もっと先にある

ベースボールキング

取材に訪れた日の気温は34度。15分に一回程度、給水タイムを入れながら練習を行っていたのは用賀ベアーズ(東京都世田谷区)。チーム創設は1978年。40年以上の歴史を持つチームですが、時代に合った指導法や取り組みが支持され、学年ごとにA〜Dチームを結成できるほど、毎年多くの子ども達が集まっています。なぜこのチームに多くの子ども達が集まるのでしょうか? その理由が知りたくて、6年生のAチームを指導するのが鈴木亮一監督にお話を聞きました。



【活動も監督も別、学年ごとに4チームを編成】
——現在の部員数を教えてください。

チーム全体では64人です。私が監督を務める6年生のAチームは受験などのために6人が休部していて現在は9人です。

——学年ごとにチームを組んでいるんですね。

そうですね。6年生がAチーム、5年生がBチーム、4年生がCチーム、3年生以下がDチームで4チームの編成になり、チームを指揮する監督も別々です。

——学年が上がると一つ上のチームに上がるんですか?

一つ上のチームに上がりますが、監督と子ども達がまるごと上のチームに上がります。学校に例えると、クラスと担任がそのまま上の学年に上がるのと同じですね。

——下の学年の上手い子が上の学年のチームに引き上げられることもあるのでしょうか?

基本的にはありません。上の学年のチームの人数が足りない場合などに下の学年のチームから借り出される場合はありますが、その際も上手い子が優先して呼ばれるわけではありません。

——Aチームの監督がB、C、Dチームを総括した総監督になるのでしょうか?

いえ、Aチームの監督が総監督ということではありません。チームの代表1名と副代表2名がいますので、チーム全体の意思決定は代表を中心に行っています。

——A〜Dチームまで通した、基本的な指導方針を教えてください。

礼儀を大事に、道具を大事に、仲間を大事に、挨拶をしっかり行うなど、健全な子ども達の育成にかかわる部分では共通した方針があります。でも、各チームの方針は各学年の監督に委ねられています。



——大きな大会の優勝を目指す学年のチームもあれば、勝ち負けよりも楽しく野球をやる学年のチームがあったり、その方針も各学年チームを率いる監督さんに委ねられているのでしょうか?

基本的にはそこも監督次第になります。勝負へのこだわりが強い監督もいれば、それ程でもない監督もいます。極端に言えば学年によっては例えば、楽しさだけを追求するチームになることもあり得えます。とはいえ、代々ある程度強いチームには仕上がっていますし、それぞれの監督のやり方が定着すれば、どの学年もある程度のレベルのチームにはなっていると思います。


【子ども達のピークは今じゃない】


——鈴木監督のAチームはどのような指導方針なのでしょうか?

子どもを野球に夢中にさせることですね。夢中になって何かに取り組めると、喜怒哀楽が倍増することになると思うんです。それが子ども達の成長につながりますよね。

——「楽しさ」と「強さ」「勝利」、どちらを求めますか?

日本野球公認規則にも「野球は勝つためのスポーツである」と書いてありますから、試合が始まったら全員で勝つ為にしかやっていません。
試合は勝つと楽しいですよね。楽しいと次へのモチベーションも生まれますし、負けると悔しい。悔しかったら何でダメだったのか考えるようになるし努力もする。そうやって勝ったり負けたりを繰り返しながら子ども達は成長していきます。そういうサイクルが上手く回るように意識して指導を行っています。



例えば、今年の全日本学童のマクドナルドトーナメントの世田谷区の大会は3回戦でサクッと負けてしまったんです。子ども達は世田谷区の代表になるという目標が達成できなかったという悔しさがありました。そこでもう一回気持ちを入れ直して、ジャビットカップの世田谷区大会で優勝することができたのですが、それもやっぱり、負けて、悔しくて、学んで、努力してという結果ですよね。マクドナルドトーナメントの世田谷区の予選で負けたことはもちろん悲しいことなんですけど、でも結果的にそれを糧に成長できたことは子ども達にとっては良い経験だったのかなと思いますね。

——なるほど。とはいえ何が何でも勝つことを目標にしているわけではない?

そうですね。彼等はまだ小学生ですから。彼等の野球のピークって絶対に今ではなく、もっと先にありますよね? 少年野球の試合、大会って野球のピークに向かう途中にある、短期的な目標だと思います。子ども達はそれでも目先の試合、大会を全力で勝ちに行くんですけど、でも大人達はそれらに対して「絶対に勝たねば!」となるよりも、もっと長い目で見て、「この先にあるピークに向けて今できる一番良い指導は何かな?」と考えることが大事だと思っています。
今はまだ伸び伸びと、思いっきり投げて、思いっきり打つ、思いっきり走る。それを土台として「ちょっと考えて野球をやろうね、色んな視点で野球を見ようね」というレベルにいるのかなと思っています。


【野球を知る、仲間を知る、自分を知る】


——先ほどノックを行っていましたが、ポジションをくじ引きで決めていましたね。あれはどういった目的なのでしょうか?

今は「3つの知ること」をテーマに練習をしています。「野球を知ること」「仲間を知ること」「自分を知ること」の3つなのですが、例えば、普段守ったことがないポジションをたくさん経験することで、そのポジションを普段守っている仲間のことを知ることに繋がりますよね。また、自分が普段やっているポジションのプレーを客観的に見ることもできます。そうやって野球を色んな角度から体験させて、野球を知る、仲間を知る、自分を知るという機会を一つでも多く経験させてあげる、そこがあの練習の目的ですね。



——練習頻度と練習時間はどれくらいですか?

基本的には土日だけなのですが、最近は試合が多くて半日練習・半日試合というパターンと、午前1試合・午後1試合というパターン、朝9時頃から11時30頃まで練習をして午後は13時〜16時頃まで練習という3つのパターンがあります。塾や他の習い事もありますから、土日のどこか半日だけしか練習に来れなくても全然OKです。6年生になると特に模試とかも入ってきますから、そこは各ご家庭のペースに合わせて頂いてます。

——子どもの集中力は2時間程度とも言われていますが、長時間の練習でも子どもがだらけないための工夫などはありますか?

練習に勝負事やゲームの要素を取り入れています。例えばノックはエラーをしなかった子が最後まで残れるとか、盗塁練習もランナーチームと守備チームで得点を競ったりとか。あとは、そもそも子どもは集中が続かないと分かっていますから、休憩をいかに多く挟むかですね。

後編に続きます。

(取材・写真:永松欣也)

 
   

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