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『ルックバック』や『さよなら絵梨』にハマった人へ……魅力的な読み切り&短編漫画を紹介

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 2021年7月19日に人気漫画アプリ「少年ジャンプ+」で公開された直後から話題を呼び、「このマンガがすごい!2022(オトコ編)」では1位を獲得するなど大きな注目を集めた、藤本タツキ氏の読み切り漫画『ルックバック』。今年発表された『さよなら絵梨』の反響も非常に大きなものであった。

 読み切り漫画には、連載作品とはまた異なる魅力がある。本稿では読み切りをはじめとする短編漫画の一部を取り上げ、ショートショート的漫画の魅力に迫りたい。

『式の前日』

 「このマンガがすごい!2013(オンナ編)」第2位に選ばれたことでも話題となった穂積氏の『式の前日』。本作は7本の読み切りが収録された1冊の短編集となっている。

 表題作である『式の前日』は、結婚式を明日に控えたふたりの男女が描かれる読み切りだ。結婚式の前日を共に過ごすふたりであるが、どこか不穏な空気が漂い、新婦である女性が涙を流す姿も描かれる。彼女が涙を流した背景にあるふたりの秘密は、最後の3ページで明かされることとなる。

 『式の前日』をはじめ、本作に収録された読み切りは終盤に意外な展開が描かれるものばかり。物語の結末を知る前には驚きや衝撃を覚え、結末を知ってから読み返すと最初とは異なる印象を覚える。数十ページのなかで緻密に展開が組み立てられた作品の数々は、ページ数の少ない読み切りならではの感動体験を得られる1冊だ。

『グッバイ・ハロー・ワールド』

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 幅広い分野で活動する北村みなみ氏がテックカルチャー・メディア「WIRED」にて発表した作品が収録された『グッバイ・ハロー・ワールド』。メタバースや安楽死、同性カップルの子育てなどを題材に、少し先の未来に存在しているかもしれない世界を描く読み切り作品が収録された1冊だ。

 そのなかで大きな伝染病が流行し、他者との肉体的接触を避ける生活様式が根付いた世界を描く『リトルワールドストレンジャー』は、コロナ禍の現代を彷彿とさせる作品であろう。パンデミックが収束したあとも登場人物は「コクーン」と呼ばれる小さな個室で過ごし、自身の意識を移した飛行物体を操作することで通学や仕事、他者との交流をしながら日々を過ごす。

 ただコクーンを用いた暮らしを選ばず、身体を動かして生活をする“アウトロー”と呼ばれる人も少数派として存在している。主人公である少女はアウトローである男性との出会いから、肉体を動かすという(作中の世界における)難儀な行動について考えることとなるのだ。

 2020年に求められた新しい生活様式は、2022年のわたしたちにとって新しいものではなくなった。主人公の少女と似た境遇となった今だからこそ、作中で登場する“アウトロー”の姿や少女の変化はこれからの新しい生活様式を考えるきっかけとなるかもしれない。そのほかの作品も含め、少し先の未来を考えるきっかけをいくつも与えてくれる1冊といえるだろう。

『ひきだしにテラリウム』

 『ダンジョン飯』などで知られる九井諒子氏の短編集『ひきだしにテラリウム』もすごい。作品のクオリティはもちろんのこと、200ページ程の1冊に33本の読み切りが収録されているのである。

 短いものだと2ページのみで構成される数々の作品は、その世界観もさまざま。『ダンジョン飯』を彷彿とさせるファンタジー作品だけでなく、現実的な世界を舞台とした作品やSFチックなものなどーー。まさしく色とりどりのテラリウムが並べられた引き出しを覗き込んでいるかのような気分になる1冊である。

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