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【名作インディー振り返り】10年越しの暗鬱かつ美しい『LIMBO』の世界、そして“煽りジャンプ”という新たな学び

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【名作インディー振り返り】10年越しの暗鬱かつ美しい『LIMBO』の世界、そして“煽りジャンプ”という新たな学び

本記事では、過去に発売されたインディゲームをピックアップ!「名作インディー振り返り」と題して、過去の名作ゲームをプレイレポ形式で取り上げていきます。未プレイの方はこの機会にぜひ知ってもらって、そうでない方も再プレイのきっかけにしてみてはどうでしょう。

今回取り上げるのは、2010年7月21日にXbox 360からリリースされたアクションアドベンチャー『LIMBO』。白黒で表現された世界で、少年が暗鬱とした世界を渡る作品です。本作は様々な賞をはじめ、第38回アニー賞も受賞したインディーゲームの名作となっています。

「LIMBO」とは日本語で「辺獄」を意味する言葉。キリスト教世界において“洗礼を受ける前に死んだ子供が行く天国と地獄の間”とされています。ダンテの神曲ではアケローン川を渡って向かった地ですね。本作『LIMBO』でも、序盤に大きな水辺が存在し、死者をあの世に導く「カロンの渡し船」をイメージさせる演出が。

しかし本作は、ほぼストーリー説明がない作品……。Steamページに書かれている「運命に逆らい、妹を探して少年は LIMBO の世界に足を踏み入れる」という一節のみが、明言化された設定です。本作はプレイヤーに「こうではないか?」と物語を推測させることで成り立ち、それが“辺獄の魅力”を醸し出しています。

そして本作はスプラッタ描写が盛り沢山……。白黒の世界で描かれているため、恐怖はやや抑えめですが、グロテスク表現が苦手な方はご注意ください。

◆『LIMBO』発売年プレイバック【2010年Tips】
●2012年に発売されたゲーム
2010年には『デッドライジング2』などがリリース。同年発売の他タイトルは『Call of Duty: Black Ops』『ゴッドイーター』なども発売されました。

●2012年の話題

2010年に開催された第82回アカデミー賞では、「ハート・ロッカー」が作品賞に輝きました。他候補作品には「アバター」「イングロリアス・バスターズ」「第9地区」などがノミネートされています。
あらためて、『LIMBO』はPlaydeadより2010年7月21日にXbox 360からリリース。その後、続く形でPS3/PS4/PS Vita/PC/iOS/Androidなど様々な媒体で展開し、最近では2018年6月にニンテンドースイッチ版が発売されました。

◆10年の時を経て思い出される、美しく鬱々たる世界。そして“煽り”を覚えてしまった筆者……。
今回、『LIMBO』再プレイにあたって筆者が抱いた感想は「変わらないな……」ということ。再プレイなのですから、変わらないのは当たり前で……むしろ変わっていた方が恐怖なのですが、本作に関してはことさらその想いが強くありました。

というのも、本作はその暗澹たる世界観が最大の魅力。少年を操って死にまみれた世界を旅することが恐ろしくあり……同時に美しいのです。数年ぶりの再プレイであってもこういった感覚を味わえるのは、本作がそれだけユニークな魅力を持った作品であるためでしょう。

少年の行動原理は初プレイでは謎に満ちていますが、ゲームをクリアした後にぼんやりと想像することが出来ます。筆者は「少年は純粋すぎる想いを抱いて、辺獄の世界に降りてきたのでは」と考えていました。

純粋な願望を抱いて、猟奇的な世界で冒険をした少年がもう一度目の前に現れ……“彼は変わっていない”との謎の感傷に浸る結果に。思い出を元に感動できるのが再プレイの醍醐味でしょう。

そして、本作を特徴づける“難易度の高さ”も再び味わうことになりました。

「初見絶対殺す」みたいな意思を感じる辺獄で、少年は何度も悲惨な死に方をしていきます。筆者は二度目の辺獄探訪だから余裕でクリアできるはずとタカをくくっていましたが、そんなことはなく……「再プレイでも絶対殺す」という辺獄で、筆者の操作する少年は容赦なく殺されていきます。

しかし、プレイしているうちに思い出してくる残酷な世界。どう動けばいいか徐々に思い出してきます。(それとミスしないかは別問題ですが)序盤では段々と心に余裕ができて、懐かしい気持ちに満たされました。

本作では序盤の敵として巨大蜘蛛が出てくるのですが、出てきた瞬間「あ~久しぶり!」みたいな余裕しゃくしゃくな気分に。なんだか調子に乗って撃退後、ひたすら煽りジャンプ。

『LIMBO』は、少年を守らねばならないと思う気持ちをプレイヤーの中に沸かせ、それの上で殺しにくる“世界の殺意”のバランスが秀逸な作品です。初プレイでは、そんな世界に敬意と恐怖を抱いて、しんみりとプレイしていたはずでした。なんだか自分がダメになってる気がしますね。昔はこんなゲスな行動してなかったのに……。

そう、10年の時を経て「なんか少年のジャンプモーションが煽りっぽいな……」と気付いてしまったのです。

しかし「煽りジャンプ」は辺獄を甘く見られていた序盤だからこそ出来ていた行為。蜘蛛以上にえげつない罠の数々を潜り抜けていくうちに、そんな余裕なんて吹き飛ばされていました。

それこそが『LIMBO』の魅力。一瞬の油断が死に繋がる世界と、繰り返される少年の死に精神的に追い詰められていく感覚。どうしても彼を無事に先に進ませたいと願ってしまいます。

ゲームオーバーの悲惨な描写が、ダイレクトに死の恐怖と直結している『LIMBO』。少年の幼さと「死への恐怖」のバランスが見事に成り立っています。そこから生み出される庇護欲……。本作を進める原動力のひとつは、「少年を守りたい」というところからも来ているでしょう。

似た感覚を憶えたのはリアルな猫を主人公にしたアクションアドベンチャー『Stray』。こちらも死の描写が胸に来るものになっていました。

本作にて少年に降りかかる落下死や溺死、襲い来る蜘蛛や寄生虫……。「なぜ幼い身でここまでして進まなければならないのだ?」と思ってしまう自分(プレイヤー)と、それとは裏腹に前に進もうとする“少年の決意”。相反するようですが、これこそがエンディングまでプレイしてしまう魅力に違いありませんし、それは再プレイでも劣化し得ない部分でありました。


話は逸れますが、筆者の好きな小説のひとつに「蠅の王」という作品があります。ざっくり言うと「十五少年漂流記」などの「少年が漂流して無人島で頑張って生活」というテンプレを「少年だからこそ、無人島で死ぬ」とした名作です。筆者のウィリアム・ゴールディングはノーベル賞作家であり、ノルマンディー上陸作戦の生き残り。まるで魔王が潜んでいるかのような世界にて、子供の純粋さ、無常をこれでもかと描写します。

『LIMBO』でも、ある意味で同じ“悪魔的な世界”が描かれていました。筆者は再プレイで「蠅の王」と似た“子供の純粋さ”を想起したのです。10年以上経った今、『LIMBO』の少年への理解度が高まった気がします。新たな発見というのは煽りジャンプのみならず、こういうところにもあるのでしょう。

さて、本作はいわゆる“雰囲気重視”な作品です。筆者は「再プレイに相応しいのはやりこみ要素のある作品」と考えていましたが、そんなことはなく、変わらぬ「雰囲気」を再び味わうことにも大きな価値があったと感じます。もちろん本作で練られている「初見殺し」なアクション性もあるのですが、少年を結末まで送り届けたい一心で、結局エンディングまで到達してから本稿を書くことになりました。アクションが下手な筆者でも、クリアまでの所要時間は3時間弱程度。ぜひ、この夏にもう一度『LIMBO』巡りをしてみてはいかがでしょう。

製品名:『LIMBO』
対応機種:Xbox 360/PS3/PS4/PS Vita/PC/ニンテンドースイッチ/iOS/Android
 Steam『LIMBO』(980円 税込)
 PS4版『LIMBO』(1,257円 税込)
 ニンテンドースイッチ版『LIMBO』(980円 税込)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
ジャンル:アクションアドベンチャー



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