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「料金はもう十分いただいたので」…走行中に料金メーターを切ったタクシー運転手の真意

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「どうしてこんなことになってしまったのか、自分でも気持ちの整理がまだ付いていないんですよ」

和枝がそう言った時だった。料金表示が七〇〇〇円台に入ったのとほぼ同時に、運転手さんがメーターを切ってしまったのだ。慌てて外の景色を見回す和枝。まだ湘南台のイトーヨーカドーの辺り。善行までは電車でまだ二駅分はある。

「どうされたんですか。善行までお願いしたんですけど」

「大丈夫、分かってますよ。ちゃんとお宅までお送りしますから」

「でもどうしてメーターを?」

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「いいんです。料金はもう十分いただいたので」

十五分後には家の前で降ろしてもらったが、料金は、とっくに止まっているメーターに表示された金額しか受け取らなかった。和枝は家に駆け込み、「ちょっと出てきて」と大声で廉を呼んだ。二人で通りに出た時には、タクシーはすでに五十メートル先のT字路を左に折れ、姿が見えなくなるところだった。

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