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教会に集った受難者たちを “生きる重力” から解放する──「重力の光:祈りの記録篇」

キネマ旬報WEB

アートと映像を横断して様々なヴィデオ作品を手掛けてきた石原海監督が、北九州の教会に集った “罪人” たちの姿を捉えたドキュメンタリー「重力の光:祈りの記録篇」が、9月3日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。ビジュアルが解禁された。

 

 

困窮者支援を行うNPO法人〈抱樸〉(ほうぼく)の奥田知志が牧師を務める北九州の東八幡キリスト教会には、様々なバックグラウンドの人々が集まっている。フィリピンで戦争を経験した人、5回の服役後に極道から足を洗うも世間につまはじきにされた人、妻子が出ていき自暴自棄になって多額の借金を背負った人、路上生活を続けるも時代の流れでそれすらままならなくなった人、親や周りの大人たちに殺すぞと毎日言われ続けた人、生きるのが苦しく「早くいなくなりたい」と願っていた人……。映画はそうした9人の“罪人”が演じるイエス・キリストの受難劇と、彼らが歩んできた苦難の軌跡と現在、礼拝や支援活動などを交差させる。

石原監督は北九州に移住後、同教会に通い始め、映画の制作を決意。フランスの思想家シモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』に影響され、「祈ることで一瞬だけ重力から解放されてふわりと浮かぶことができる、その瞬間を祝福するように」人々を見つめ、フィクションとドキュメンタリーの間でそっと光を指し示すような挑戦的な作品を完成させた。30分のインスタレーション版は第15回shiseido art eggに選出され、72分に再編集した本作は第14回恵比寿映像祭で公開、高く評価された。

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痛みと苦しみと苦痛に満ちた世界。なぜわたしたちは生まれてきてしまったのか。神はいるのか。愛とは何か。だがこの作品を受け取ったいま、祈らざるを得ない。わたしの苦しみをとりのぞいてしまうのではなく、弱く愚かなわたしのまま、同じように弱く愚かな他者と共に、どうかちゃんと苦しませてください、と。
──永井玲衣(哲学研究者)

世界中で『神』と祀られるようになった人々は、キリストもムハンマドも釈迦も老子も孔子も、詰まるところ同じことしか言っていない。拙作『典座』でその存在を知り驚嘆した曹洞宗の⻘山俊董老子は、信仰とは苦しみ哀しみから逃れるためにあるのではなく、それらを知ることでようやく信仰への“アンテナ”が立つのだと言っていた。それまで絵空事にしか聞こえなかった言葉は輝きはじめ、重力によって今の姿を留めている私たちを照らす。私たちより先にアンテナが立ち、“道”への入り口に立った人々がここには映っている。
──富田克也(映画監督/脚本家)

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